矯正治療を始める前に
16.歯がないところがあります。矯正できますか?
矯正の治療では、歯をきれいに並べるスペースを作るために健康な歯を抜歯しなければならないケースがあります。
既に歯がないところがある方は、抜歯する代わりにもともと歯のないスペースを利用して歯を動かす場合もあります。
上下の歯の咬みあわせや歯並びの見た目をトータルで考えた治療を行っていきますので、歯がない部分のスペースを利用せず、矯正治療後にインプラントやブリッジをお勧めする場合もあります。
また、ミニスクリューを併用すれば、あらゆるケースにも対応できます。
こちらの「ミニスクリュー 4.固定源となる奥歯の本数が少ない場合」をご覧ください。
歯は欠損したまま放っておくと隣の歯が倒れこんできたり、相手の歯が伸びてきたりします。歯列矯正をするのか、他の治療をするのか判断が必要になりますのでできるだけ早めに歯科医にご相談ください。
17.セラミックの歯が入ってますが、矯正できますか?
差し歯があっても基本的には矯正治療に支障はありません。
ただ、セラミックの差し歯の場合、ブラケットの接着力がやや落ちるために外れやすくなる場合があります。
ブラケットが外れるとワイヤーも外れてしまいますので、どうしてもブラケットが外れてしまうときはセラミックの歯を一時的に仮歯に交換し、治療後に再びセラミックを付けなおすこともあります。
ブリッジをしている場合は、ブリッジをしている歯を動かしたい場合はブリッジを一旦外し、歯を移動させた後に再び付けなおす場合があります。
差し歯の場合も、治療が終了した際に新しい噛み合わせや見た目に合わせて差し歯を新しく作り直すこともあります。
歯の神経を抜いていても大丈夫ですか?というご質問をいただくこともありますが、差し歯の場合歯の神経を抜いていても歯の根っこはあります。歯の周囲の組織がしっかりしていることが歯を動かすときに大切なことですので歯列矯正に問題はありません。
18.ブリッジの歯が入ってますが、矯正できますか?
ブリッジをしていても歯列矯正は可能です。
矯正治療では歯を動かして並べるためのスペースが必要で、スペースを作るために抜歯しなければならない場合もあります。
仮に本来抜く歯が健康な歯で、その隣の歯が神経がない場合、隣の歯の方を抜く場合があります。 どちらを抜くかは、矯正認定医がメリット・デメリットを考慮して決定します。
歯が動くことにより歯ぐきの形や咬みあわせが変わってしまう場合には、矯正治療終了後にブリッジを作り直すときもあります。
ブリッジがセラミックの場合はブラケットを貼り付ける接着剤が付きにくく外れてしまうことがありますが、再度接着し直せば問題はありません。
歯列矯正とブリッジの治療を考えていて、まだ治療前でしたら歯の全体をみて治療計画をたてますので、ブリッジをする前にまずは矯正歯科へご相談ください。
19.矯正すれば顎関節症は治りますか
顎関節症はあごに痛みがあったり、口が開けにくかったり、あごを動かしたときに音がなったりする症状があります。
子供から大人まで発症する可能性はありますが、20代〜30代の若い女性に多い傾向のある疾患です。
咬みあわせや歯並びが良くないことが原因で顎関節症になったのではないかと考える方も多いと思いますが、顎関節症にはさまざまな原因があると考えられていて、咬みあわせ以外にも歯ぎしり、ストレス、ほおづえ、片方ばかりで噛む癖、また強く打った外傷や急に大きく口を開けたことなど色々な因子が合わさり引き起こされます。
その因子が積み重なって限界を超えた時に発症すると言われています。
顎関節症の原因が咬みあわせ(歯並び)にある場合には歯列矯正により症状が軽減したり治ることもありますが、悪い咬みあわせ以外のことが原因であったり、顎関節自体が何らかの障害をすでに受けている場合は治りにくい時もあります。
20.矯正するのに歯を抜く必要はあるのですか?
あごの大きさが、歯の大きさに対して小さくなっている場合などは、歯を抜き、歯をきれいに並べるスペースを確保することがあります。
抜歯する歯は、前から4番目(第1小臼歯)になることが多いです。
もちろん、小学校低学年から矯正を始めた場合は、体の成長・発育を利用できるため、抜歯をしなくてもいいことがあります。
あごが小さく抜歯する必要がある場合は、精密検査により歯を抜く必要があるかどうか詳しく検討してから行います。
親知らずは必ず抜くの?
親知らずは生え方の状態やこれから動かしたい歯の位置によって、抜く場合と抜かない場合があります。親知らずを抜くのは以下のような場合です。
- 親知らずが斜めや横向きに生えていて、他の歯を押している時。
- 親知らずの手前の歯(第二大臼歯)を矯正治療によって後ろに移動させたい時。
この二つ以外の場合は歯科医師の判断で治療に良いと思われる方法をとるため、必ずしも親知らずを抜歯する必要はありません。