まず、前歯が大きい原因についてご説明します。
大きく原因は2つあります。
1. 相対的に大きく見える場合
2. 本当に大きい場合
まず 1 からご説明します
前歯、特にど真ん中の2本の前歯は「中切歯」と言います。
最近ではお口(アゴ)が小さい方が多い為、歯が全てキレイに並びきらずに、歯が重なってしまうことが非常に多いです。
そして、歯が重なった時は、殆んどの場合で中切歯の横の歯(「側切歯」と言います)が、後ろに引っ込んでしまいますので相対的に大きく見えるのです。
また、側切歯が生まれつき小さいことも結構あります。矮小歯(わいしょうし)と言います。この場合も中切歯が大きく見えてしまいます。
その為、中切歯自体の大きさは普通でも相対的に大きく見えてしまいます。前歯が大きく見える原因の8割方の理由がこれです。
▲正面から見ると中切歯が大きく見えますが、
相対的に大きく見えるだけです。
前歯の大きさ(横幅)は平均で、男性8.7mm、女性が8.2mmです。ですのでこれより0.5mm以上大きい場合は、本当に大きいということになります。
▲前歯の横幅が大きい方
前歯が大きいのを治すのは、大きく3つ方法があります。
歯を少しだけ削ります。これをスライスと言います。これを行うと、非常に単純明快に歯が小さくなります。
歯は内側に象牙質があり、外側にエナメル質があります。スライスするのはエナメル質の部分で、エナメル質の厚さの1.5mmのうち側面の0.25mm〜0.5mmを削ります。
歯を削ったら歯に悪いことはないのか心配されると思いますが、歯の健康や寿命には全く問題のない範囲内で削るため、スライスによる歯へのダメージはありませんのでご安心ください。
歯をスライスする際には少し振動がありますが、エナメル質には神経はありませんので痛みに関しての心配はいりません。
スライスすることで虫歯になるのではと心配される方もおられますが、虫歯になることはありません。スライスした面は十分研磨します。むしろ歯並びが悪い状態の方が、虫歯や歯周病の危険が高くなります。
スライス(ディスキング)はヨーロッパではメジャーな方法で、当院でも歯を並べるスペースを作る際はできるだけ抜歯せずにスライスで行っています。
この3つで殆んどは解決します。
▲スライスしてから矯正した方
▲スライスして前歯の横幅を小さくしてから矯正した方
▲歯の長さを短くして矯正した方
▲前歯の形を整えてから矯正した方
▲前歯の向きを変えて、全体矯正で前歯を引っ込めて、
前歯を相対的に小さく見せた方
歯は歯冠と歯根からなり、表面はエナメル質で覆われています。
大きい歯の場合、通常はエナメル質が分厚くなっていて、その内側の象牙質が大きいことはあまりありません。
歯の横幅を小さくするためにエナメル質をスライスできる量は約0.25mmで、横幅が大きい歯の場合は0.25〜0.5mmまで削ることができます。
前歯が長い場合の治療法はワイヤー矯正です。矯正治療では形状記憶合金ワイヤーを使用して歯の長さを調整します。
前歯がない状態は上1番が長く、上2番が短いのでワイヤーに段差ができます。ワイヤーはまっすぐな元の形状に戻る性質があるため、上1番が短くなり、上2番が長くなります。
また、歯ぐきは歯に連動して動くため、歯が下がれば歯ぐきも下がります。
歯が長すぎる場合には歯の先を0.25mmほど削ることもあります。