インビザラインは歯ぎしりや食いしばりの癖がある方にはアライナーが壊れるリスクた高く、適応出来ないケースがありますので、ご説明します。
目次
インビザラインは薄いので歯ぎしりに弱い
インビザラインのアライナーは、歯ぎしり専用のナイトガードと比べると薄く出来ており、厚さはわずか0.5ミリ程度です。そのため、歯に装着した時の違和感が少ないというメリットはありますが、歯ぎしりによって強い力がかかってしまうと、破損してしまう恐れがあります。
一時的なストレスなどによって歯ぎしりが起こっている場合はインビザラインでの矯正治療が可能になる場合がありますが、歯ぎしりが癖になっていて何年も続いている場合は、インビザラインではなく、ワイヤー矯正、裏側矯正等の他の矯正装置で治療を行うことをお勧めします。
歯ぎしりでインビザラインのアライナーが壊れてしまった時はどうしたらいい?
アライナーが壊れた時は、直ぐに歯科医院にご連絡下さい。
インビザラインのアライナーは、1枚で歯を約.25ミリ動かすように設計されています。アライナーが壊れてしまうと、一時的に1つ前のアライナーか、または1個先のアライナーを歯につけて、そのまま治療を続けることがあります。
アライナーを作り直す際には、新しいアライナーが届くまでに2週間程度かかりますので、その間はリテーナーと呼ばれるマウスピースを作製して、現在の歯並びから歯が動かないようにする場合もあります。
歯ぎしりの種類
歯ぎしりには、主に以下の2種類があります。
- グラインディング・・上下の歯をギリギリと横にすり合わせる
- タッピング・・上下の歯をカチカチと縦に噛み合わせる
どちらも無意識下で起こる為、自分で気づきにくく、他人からの指摘で気づくことが多いです。
歯ぎしりの癖がある方でもインビザラインでの矯正治療は出来るのかどうかについてご説明します。
歯ぎしりは放っておいてもいいの?
歯ぎしりをするととても強う力が働き、歯の表面が擦り減ったり、歯が欠けたりすることもあります。もちろん歯根にも影響があります。歯周組織に重大な影響が出る前に、歯科医院で歯のチェックを受けるようにしましょう。
歯ぎしり・食いしばりによる歯への悪影響
歯ぎしりは寝ている間に無意識に歯を擦り合わせてギリギリと音をたてます。歯と歯に強い力が加わるため、下記のような様々な悪影響を与えます。
- 歯の象牙質が擦り減って知覚過敏を起こす
- 詰め物・被せ物が外れやすい
- 歯が折れたり欠けたりする
- 歯茎や歯根がダメージを受ける
- 歯周病になりやすい
- 顎関節症になるリスクが高い
- 顎の筋肉が発達してエラが張る
- 頭痛や肩こりの原因になる
歯ぎしりは治せないの?
歯ぎしりは原因が不明とされており、効果的な治療方法がないのが現状です。そのため、歯ぎしりから歯や顎を守るために就寝中にナイトガードと呼ばれるマウスピースを付ける対症療法が一般的によく行われています。ナイトガードは保険適用です。
しかしナイトガードは歯ぎしりから歯を守るためのもので、歯ぎしりそのものを止めることは出来ません。歯ぎしりを起こさなくするためには、顎の筋肉に無毒化したボツリヌス菌を注射し、筋肉の動きを弱めて歯ぎしりをしないようにするという方法も用いられます。ボツリヌス菌の注射は自費診療となります。
歯ぎしりしていてもインビザラインで矯正は可能なのかに関するQ&A
一時的な歯ぎしりがある場合、インビザラインでの矯正治療は可能です。ただし、長期にわたる歯ぎしりの癖がある場合は他の方法がお勧めされます。
インビザラインのアライナーは非常に薄いため、歯ぎしりによる強い力がかかると破損する可能性が高まります。厚さはわずか0.5ミリ程度で、歯ぎしりに対する耐久性が限られています。
歯ぎしりや食いしばりは歯に多くの悪影響を与えます。これには歯の象牙質の擦り減り、詰め物や被せ物の外れやすさ、歯の折れや欠け、歯茎や歯根のダメージ、歯周病のリスク増加、顎関節症、エラの張り、頭痛や肩こりの原因といったものが含まれます。
まとめ
歯ぎしりによってインビザラインのアライナーが破損して歯にはめられなくなってしまうと、矯正治療が治療計画通りに進まなくなってしまいおます。そのため、歯ぎしりの癖のある方は、その程度によってインビザラインではなく、ワイヤー矯正などで歯並びを整える治療をご提案させて頂くこともあります。
歯ぎしり(ブラキシズム)がある場合でも、インビザラインを用いた矯正治療が可能かどうかについての直接的な研究は見つかりませんでした。しかし、関連する研究がいくつかあります。
1. インビザラインの治療成果と効果に関する研究
Papadimitriouらの2018年の研究では、インビザラインを用いた矯正治療の臨床的有効性について検討されています。この研究は、インビザラインが軽度から中程度の不正咬合の非抜歯治療において、従来の矯正治療に代わる有効な手段であることを示しています。[Papadimitriou et al., 2018]
2. ブラキシズムの治療法に関する研究
GuaitaとHöglの2016年の研究では、ブラキシズムの現在の治療法について概説されています。この研究では、ブラキシズムの治療にはさまざまな治療法(行動療法、口内装置、薬物療法など)が用いられているものの、ブラキシズムを完全に止める治療法は確立されていないことが示されています。[Guaita & Högl, 2016]
これらの研究から、ブラキシズムがある場合でもインビザラインを用いた矯正治療が可能である可能性がありますが、ブラキシズムの程度や症状によっては、特別な配慮や追加的な治療が必要になる場合も考えられます。具体的な治療計画は、矯正歯科専門医との相談の下で決定されるべきです。