出っ歯を自力で治すことは困難ですが、その原因が口呼吸や舌で歯を押す癖である場合は、癖を治すことで不正咬合がこれ以上ひどくなるのを食い止めることが出来ますので、ご説明します。
出っ歯になってしまう癖とは?
既にかなり重度の上顎前突になってしまっている方の場合は、矯正治療をおすすめします。しかし、やや出っ歯に見える程度の軽度の場合は、癖を治せばそれ以上ひどくなることを食い止めることが可能です。
1. 前歯の裏を下で押す癖
無意識に前歯を舌で押しているかもしれませんので、舌が定位置であるスポットに当たっているかどうか、確認してみましょう。
正しい舌の位置は?
食事の時以外は、舌は「スポット」と呼ばれる位置に収めるようにしましょう。スポットは、上顎の前歯のつけ根よりもやや喉の奥側の、僅かなへこみのある所です。スポットを意識しながら舌全体を上顎にくっつけます。
舌で前歯を押すと、僅かな力であっても継続して押すことで、少しずつ出っ歯になってしまいます。そのため、舌で前歯を押さないように気を付けることが大切です。
2. 指しゃぶりの癖
2~3歳くらいの子供で指しゃぶりをしている場合は、それを治さないと、永久歯が出っ歯になってしまいます。
指しゃぶりをすると、親指で上の前歯を前に押す力がかかるため、僅かな力であっても歯に力がかかり続けると、歯を動かして出っ歯にする力となります。
3. 口呼吸の癖
鼻で息をせずに、常に口で息をしている状態を口呼吸といいます。口呼吸の方は、舌の位置が下に下がっていることが多く、舌や頬の筋肉が発達していないために上顎が小さく、舌が収まるだけのスペースがないために口が開いてしまうというケースもあります。
子供の口呼吸を改善する装置としては、マウスピース型の矯正装置があります。主に夜に装着して、昼間はほんの数時間付けるだけなので、子供にあまり負担をかけずに口呼吸を治すことが出来ます。
その他には、お口の周りの筋肉の動きを改善するためのガムを使ったトレーニングや「あいうべ体操」も効果的です。
子供の指しゃぶりの癖を予防するためには?
子供の指しゃぶりの癖を防ぐ方法は幾つかありますが、それらは全ての子供に対して効果的であるわけではありません。少しずつ試してみてはいかがでしょうか。
1.指しゃぶりの原因の特定と対処
指しゃぶりは、ストレスや不安を和らげる為に行われることが多いです。例えば、弟や妹が生まれて来たことで親に構ってもらえずに寂しさを感じているなら、親が子供との時間を増やすようにしましょう。
2.指しゃぶりをしていることを意識させる
子供は指しゃぶりをしていることに気づいていない場合があります。親が子供に指しゃぶりをしていることを優しく指摘して、指しゃぶりを続けると口や歯がどうなっていくのかを教えると良いでしょう。
3.指しゃぶりの代わりを考える
指しゃぶりの代わりにぬいぐるみや毛布などの口に入れないものを与えて、子供の寂しさ紛らわす対象を指しゃぶり以外のものに向けさせましょう。
一般的な出っ歯の原因は?
出っ歯には様々な原因があります。そのうちのいくつかは癖によるものです。
- 親からの遺伝によるもの
- 舌で前歯を押す癖によるもの
- 指しゃぶりによるもの
- 口呼吸によるもの
- 柔らかいものばかり食べている
- 猫背である
- 親知らずによるもの
出っ歯の原因である癖をなおすに関するQ&A
出っ歯を起こすような癖をなおすことは、今後出っ歯を進行させないために重要です。特に口呼吸や舌で歯を押すことが原因の場合、それらを治すことで出っ歯の進行を防ぐことができます。
出っ歯になりやすい癖には、前歯の裏を下で押す、口呼吸、指吸い、爪噛みなどがあります。これは無意識に行われることがあり、少しずつ出っ歯を引き起こす原因となります。
子供が指しゃぶりをすると、親指で上の前歯を前に押す力がかかります。この力が歯に継続的に加わることで、歯を動かして出っ歯になる可能性があります。
まとめ
出っ歯の原因には様々なものがありますが、まず不正咬合を引き起こすような癖がないかチェックし、原因となりそうなものがあれば治すようにしましょう。癖をそのままにしておいては、せっかく矯正治療で歯並びを治したとしても、また出っ歯になってしまいます。
それ以外の原因で出っ歯になっている場合は、その原因によって治療方法が違ってきますので、担当医にご相談ください。
出っ歯(前突歯)は、特定の癖が原因で発生することがあります。以下の研究がその関連性を示しています。
1. 舌の癖と上顎前突 舌を前歯間に突出させる癖は、上顎前突や開咬の原因となり得ます。この習慣は、口腔筋機能の不均衡を引き起こし、結果として不正咬合を引き起こす可能性があります。舌を前歯間に突出させる癖は、スピーチセラピー、筋機能療法、舌のエクササイズ、矯正装置の使用など、様々な方法で治療することができます。【Rusdiana, Goenharto, & Asdika, 2018】
2. 口腔習慣と不正咬合の関連 口腔習慣、例えば指しゃぶりや舌を前歯間に突出させる癖、唇噛みや爪噛みなどは、歯列弓の位置異常や噛み合わせのずれを引き起こし、顎の正常な成長や顔面筋肉の機能に干渉することがあります。これらの悪い習慣は、特に幼児期や混合歯列期によく見られ、結果として不正咬合を引き起こす主要な原因となることがあります。【Ali, Soni, Kaur, & Bagga, 2021】
これらの研究から、特定の口腔習慣が出っ歯の原因となる可能性があり、早期の診断と介入により不正咬合の発生を防ぐことができることが理解されます。