
インビザラインで歯を効率よく動かすために、歯にアタッチメントと呼ばれるコンポジットレジンの突起物を付けます。その目的やどうやって歯に付けるのかについてもご説明します。
インビザライン治療では、多くのケースで「アタッチメント」と呼ばれる小さな突起を歯の表面に装着します。これは、歯をより効果的に動かすための重要な役割を果たすものです。
しかし、「どんな素材で作られているの?」「どうやって歯に付けるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
目次
インビザラインのアタッチメントとは?

- インビザライン専用の小さなレジン(歯科用プラスチック)製の突起
- 歯の表面に接着し、マウスピースとのフィット感を高める
- 特定の方向に歯を動かしやすくするための補助装置
アタッチメントは3~5mm程度の大きさで、白いコンポジットレジンですので、近づいてみない限り、あまり目立ちません。歯にかける力の方向や向きによって、四角や丸などの様々な形があり、どの歯にどの種類のものを付けるかは、クリンチェックで作製する治療計画の中に含まれています。
アタッチメントの役割
- アライナーが浮かないように歯にしっかりと密着させる
- 歯を動かす方向に力をかけて動かしやすくする
- 複雑な動きを補助し、歯を効率的に動かす
1.アライナーが浮かないように歯にしっかりと密着させる
インビザラインでの矯正では、アライナー(インビザラインの透明なマウスピース)の形通りに歯が動いていきますので、アライナーと歯はピッタリと合った状態ではありません。そのため、歯にマウスピースを付けただけの状態では、アライナーが歯から浮きやすくなります。歯の表面とアライナーの表面がツルツル滑って浮きやすくなることもあります。
アタッチメントを付けることで、マウスピースが歯から動かずに固定されます。
2.歯を動かす方向に力をかけて動かしやすくする
アライナーの装着後、歯をよりしっかりと動かすために、アタッチメントを付けて歯に力を加えます。付けた場合と付けない場合では、付けた方が歯が良く動くようになります。
アタッチメントを歯の表面につけることで、歯をクリンチェックの通りに動かすことが出来、治療計画通りの歯並びに整って行きます。
3.複雑な動きを補助し、歯を効率的に動かす
通常のマウスピースだけでは難しい「歯をねじる動き」や「大きく後方へ動かす動き」が、アタッチメントを装着することでスムーズに行えるようになります。
アタッチメントを歯に付ける手順
インビザラインのアタッチメントは、担当の歯科医師が患者さんの歯1本1本に接着します。
1. まず、歯の表面の汚れを除去し、磨いてきれいにした後、歯面を乾燥させます。
アタッチメントをしっかり歯に接着させるために、歯の表面を清潔にすることが大切です。
- 歯の表面を研磨し、汚れや歯垢を除去
- 接着剤がしっかり付くように乾燥させる
2. アタッチメントの位置決め
歯にコンポジットレジン(歯科用プラスチック)がしっかりと着くように、歯面にエッチングという薬剤を塗布して水で洗い流します。
アタッチメントは、歯の動きに応じて正確な位置に装着する必要があります。
そのため、専用の「テンプレート(アタッチメント用のマウスピース)」を使用します。
- インビザライン専用のテンプレート(ガイド)を歯に装着
- テンプレートには、アタッチメントを付ける場所の小さな型がある
このテンプレートに沿ってアタッチメントを配置することで、正確な位置に装着することが可能になります。
3. レジン(歯科用プラスチック)を塗布
- テンプレートのくぼみにレジンを充填
- 光硬化型の材料を使用し、仮固定
アタッチメントは歯の色に近いコンポジットレジンという材料で作られており、装着後もほとんど目立ちません。
コンポジットレジンを専用のアライナーに充填した後、歯に装着して光を照射して固めます。アラインテクノロジー社から送られてくる治療計画書に従って、付ける予定の歯全てにつけていきます。
3.光照射で硬化させる
アタッチメントがしっかりと歯に固定されるよう、特殊な光(LEDやUVライト)を照射して硬化させます。
- 数秒〜数十秒程度の光照射で硬化
- 強度があり、マウスピースの着脱でも剥がれにくくなる
4.テンプレートの取り外し&仕上げ
- テンプレートを外し、余分なレジンを削って調整
- 最後に表面を滑らかにして完了!
このように、短時間で痛みもなくアタッチメントを装着することができます。
アライナーを外すと、歯にアタッチメントがついた状態になっていますが、そのままでは表面がザラザラし、汚れがつきやすい状態になっています。そのためレジンの表面をきれいに研磨してツルツルの状態にします。
アタッチメントを付けてからインビザラインを装着すると、今までよりも少し締め付け感を強く感じるようになりますが、2~3時間ほどで慣れますのでご心配はいりません。
また、アタッチメントを付けてからは、アライナーをを取り外す際に今までよりも力が要ります。慣れるまでは外しにくいかもしれませんが、慣れてしまえば簡単に取り外しができるようになります。
アタッチメント装着後の注意点
アタッチメントを付けた後は、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
① マウスピースの着脱に慣れる
アタッチメントを付けると、マウスピースの脱着が少し難しくなることがあります。
特に、最初の数日は「外しにくい!」と感じる方も多いですが、慣れれば問題ありません。
💡 コツ
- 爪を使ってマウスピースの縁を少しずつ浮かせる
- マウスピースリムーバー(取り外し補助器具)を使用する
- 前歯からではなく、奥歯から少しずつ外すのがポイント
② 食事後の歯磨きを徹底
アタッチメントは歯の表面に付いているため、食べかすが付きやすくなります。
💡 注意点
- 食後は歯磨きをしっかり行う
- アタッチメント周辺の汚れを意識して磨く
- デンタルフロスを活用することで、歯と歯の間も清潔に保てる
③ 硬いものを食べる際は注意
アタッチメントは強度がありますが、強い衝撃を受けると外れてしまうことがあります。
💡 避けるべき食べ物
- ナッツや氷を噛む
- ガムやキャラメルなどの粘着性の高いもの
- フランスパンなどの硬いパン
万が一アタッチメントが取れてしまった場合は、そのまま放置せずに歯科医院へ相談しましょう。
【動画】インビザラインアタッチメント
アタッチメントが取れてしまった時は?
アタッチメントは歯からポロリと取れてしまうことがあります。その場合はすぐに歯科医院に連絡をし、再度付けるためにすぐに受診するべきか、それとも次回までそのままで良いのか、担当医の指示に従って下さい。
取れた時の対処
- どの場所が取れたのか歯科医院に連絡する
- すぐに付けなおす必要がある場合は出来るだけ早めに受診する
- 歯の動きに影響がない場合は取れたままで治療を進める
アタッチメントが当たると口内炎になる?

普段はアタッチメントの上にインビザラインのアライナーを付けて完全にマウスピースで覆いますので、アタッチメントが直接お口の粘膜に当たって刺激されることはありません。
しかし、お食事の際にアライナーを外すと、アタッチメントの表面には角もあるため、粘膜を傷つけて口内炎になることがあります。粘膜に当たる部分が傷になって口内炎を起こすようでしたら、歯科医院にご相談ください。
アタッチメントはどうやって歯から外すの?
歯をすべて動かし終えたら、レジンリムーバーを使ってアタッチメントを歯から外していきます。外した後の歯面はザラザラしていますので、研磨して滑らかにします。
この際に、歯のエナメル質を少し削ります。人によってはエナメル質が薄く、知覚過敏を起こす場合もあります。そのため、アタッチメントを外してすぐにホワイトニングを行う時は、知覚過敏でしみる場合がありますので注意しましょう。ホワイトニングをしたい時は、少し期間をおいてからにしましょう。
アタッチメントの除去方法
- 歯科用の特殊なドリルで削り取る
- その後、歯の表面を滑らかに磨いて仕上げる
- 除去後も歯の表面に跡が残ることはほぼない
処置は短時間で済み、痛みもほとんどありません。
まとめ

インビザラインのアタッチメントについて、付け方、外し方、注意点などをご説明しました。インビザラインで治療計画通りに歯を動かしていくためには、アタッチメントを歯に付けなければなりません。それによって、より正確に歯に力が加わり、歯が動くようになります。