歯並びをきれいにしたい方で、目立たない装置を希望される患者さんにおすすめの裏側矯正ですが、患者さんにとって気をつけたい点がいくつかありますので、ご説明します。
裏側矯正ではどんな点に気を付けたらいいの?
裏側矯正で治療中に患者さんが気をつけるべき代表的なものは、以下の4つです。
- 歯みがきがしにくい
- 食べにくい
- 発音しづらい
- 痛い時がある
それぞれ、工夫の余地がありますので、ご説明します。
1. 歯磨きがしにくい
基本は「食べたら歯磨きする」です。間食した後も、サッと磨くことをおすすめします。外食時は化粧室に駆け込むことになりますが、出来るだけ食後に歯磨きするようにしましょう。
一番ていねいに歯磨きして頂きたいのは、就寝前です。寝ている間は唾液の分泌が減って、お口の中に細菌が繁殖しやすくなります。そのため、寝る前に歯磨きをしてお口の中から細菌を減らし、きれいにしましょう。
矯正装置をつけた時の歯磨きのポイント
歯とワイヤーの間・・歯ブラシを縦にしたり斜めにしたりして、ブラシの毛先が歯とワイヤーの間に入るようにして、力を抜いで小さく動かします。
汚れが取れにくい場所は、ワンタフトブラシの毛先を当てて、小刻みに動かします。
2. 食べにくい
硬い食べ物を噛んだり、前歯で噛み切ったりすると、痛みが出る時があります。矯正装置が歯から外れたり変形してしまうこともありますので、裏側矯正中は出来るだけやわらかい食べ物を選びましょう。
野菜は生で食べると硬いですが、軟らかく煮込むと楽にたくさん食べれます。煮物やポトフにするのがおすすめです。
繊維質の野菜やえのきなど、歯の間に挟まりやすい食べ物は、矯正装置にひっかかりやすいので、取り除くのが大変です。ひっかかりやすい食べ物は、小さく切るなど、注意して料理しましょう。
3. 発音しづらい
裏側矯正は矯正装置の中でも滑舌に影響があるといわれます。それは、歯の裏側に装置を付けるので、お口の中が狭くなり、舌の動きが制限されたり、装置に舌が引っ掛かったり、上下の歯の間から息が抜けてしまったりして、スムーズな動きを妨げるからです。
ブラケット自体は小さなものですが、全ての歯に付いていることと、ブラケットとワイヤーの間に凹凸があるので、舌を動かせるスペースが少なくなり、滑舌に影響します。
特に発音しにくいのはサ行、ザ行、タ行、ダ行、ナ行、ラ行などですが、次第に慣れて発音出来るようになってきます。
4. 痛い時がある
矯正装置を歯に付けると、歯を動かす力が働きますので、痛みがおこることが多いです。痛みの殆どは一時的なものですので、調整後1~5日程度は我慢が必要です。痛みで日常生活に支障をきたす時は、痛み止めを服用しましょう。
装置が頬などに当たって痛かったり、装置が当たって口内炎が出来てしまった場合は、対処出来る場合がありますので、医院にご相談ください。
裏側矯正とは?
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーをつけて歯を正しい位置に動かしていき、歯並びを整える矯正治療です。
当院ではドイツで開発されたインコグニトとよばれる矯正装置を使用します。インコグニトは患者さんの歯型を元にお一人おひとりオーダーメイドでブラケットが作製されますので、歯のカーブにぴったり合っていて、違和感の少ない装置になっています。
裏側矯正は歯の裏側に装置をつけるので、他人から見えにくいのもメリットです。出っ歯の矯正に向いていて、他の複雑な不正咬合にも対応出来ます。しかし裏側矯正が適さない不正咬合もありますので、担当医にご相談ください。
裏側矯正をする際に気をつけることに関するQ&A
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付け、歯を正しい位置に移動させて歯並びを整える歯科矯正治療の一種です。この方法は他人から見えにくいため、特に出っ歯の矯正に適しており、当院ではオーダーメイドのブラケットを使用します。
裏側矯正を希望する患者さんに気をつけるべき点はいくつかあります。まず、歯磨きが難しくなるため、歯の健康を保つために注意が必要です。また、食事内容が制限され、発音にも影響が出ることがあります。矯正装置を装着した際に一時的な痛みも発生するため、我慢が必要です。
裏側矯正中の歯磨きを行う際のポイントは、歯とワイヤーの間を注意深く磨くことです。歯ブラシの毛先を縦に入れたり斜めに動かしたりして、力を抜いて小刻みに動かすことが大切です。また、汚れが溜まりやすい場所にはワンタフトブラシを使うと汚れを除去しやすくなります。
まとめ
裏側矯正で気をつける点をご説明しました。事前に歯磨き、食事、発音、痛みなどの問題への対策を知っておくと、矯正装置をつけた瞬間から、慌てずに対処できます。
裏側矯正に関する論文を2件ご紹介します。
1. 舌側矯正の患者選択と診断上の考慮事項
舌側矯正における診断と治療計画に関する特別な考慮事項についての論文です。一般的な要因、歯周病、歯肉、歯、骨格に関連する要因など、舌側矯正の影響を受ける可能性があるさまざまな要素について議論されています。特に、クラウンや大きな修復物の存在、歯槽骨の不一致、垂直、前後、横断的な特徴などが考慮されます。舌側矯正の適用範囲には、外科的矯正や補綴前矯正も含まれています [Echarri, 2006]
2. 舌側矯正器具の特徴
舌側矯正は比較的新しい矯正治療法であり、従来の器具を受け入れたくない成人患者に特に適しています。技術は管理が難しく、経験豊富な矯正歯科医によってのみ使用されるべきです。患者は困難を経験する可能性がありますが、これらは通常、改善された審美性によって十分に補償されます [Muirden, 1991]
これらの論文から、舌側矯正を検討する際には、特に患者の歯の状態や歯周組織の健康に注意を払う必要があります。また、舌側矯正は従来の矯正治療よりも技術的に難しいため、経験豊富な矯正歯科医による処置が必要です。患者は、装置の見た目に対する不快感や話しにくさなどの問題に直面する可能性がありますが、これらは審美性の向上によって補われることが多いです。