
歯並びをきれいにしたい方で、目立たない装置を希望される患者さんにおすすめの裏側矯正ですが、患者さんにとって気をつけたい点がいくつかありますので、ご説明します。
裏側矯正とは?
裏側矯正(舌側矯正)とは、矯正装置を歯の裏側(舌側)に装着する方法です。通常の表側矯正とは異なり、装置が外から見えないため、矯正していることをほとんど気づかれません。
この矯正方法には、以下のような特徴があります。
- 見た目が気にならない → 笑ったときや話しているときも矯正装置が見えません。
- 歯の表側にダメージが少ない → 金属ブラケットによる表側の摩耗がなく、むし歯のリスクが軽減されます。
- どんな不正咬合にも対応可能 → 出っ歯やガタガタの歯並びなど、幅広い症例に適応できます。
裏側矯正のメリットとデメリット
「目立たない」という大きなメリットがある一方で、裏側矯正にはいくつかの注意点もあります。メリット・デメリットをしっかり理解して、自分に合った矯正方法を選びましょう。
メリット
- 矯正していることがバレにくい
→ 社会人や接客業の方でも気にせず矯正ができます。 - 歯の表面にダメージが少ない
→ 矯正中に歯の表側が削れるリスクが減ります。 - むし歯になりにくい
→ 表側矯正に比べて歯垢がつきにくいと言われています。
デメリット
- 発音に影響が出ることがある
→ 装置が舌に触れるため、慣れるまで「サ行」や「タ行」が発音しづらい場合があります。 - 治療費が高め
→ 表側矯正より技術的に難しく、オーダーメイドの装置を使用するため、費用が高くなる傾向があります。 - 治療期間が長くなることがある
→ 表側矯正よりも歯の動きがゆっくりになることがあり、治療期間が長引くこともある。
裏側矯正ではどんな点に気を付けたらいいの?

裏側矯正で治療中に患者さんが気をつけるべき代表的なものは、以下の4つです。
- 歯みがきがしにくい
- 食べにくい
- 発音しづらい
- 痛い時がある
それぞれ、工夫の余地がありますので、ご説明します。
1. 歯磨きがしにくい
基本は「食べたら歯磨きする」です。間食した後も、サッと磨くことをおすすめします。外食時は化粧室に駆け込むことになりますが、出来るだけ食後に歯磨きするようにしましょう。
一番ていねいに歯磨きして頂きたいのは、就寝前です。寝ている間は唾液の分泌が減って、お口の中に細菌が繁殖しやすくなります。そのため、寝る前に歯磨きをしてお口の中から細菌を減らし、きれいにしましょう。
効果的な歯磨きのコツ
- タフトブラシを使う → 小さなヘッドの歯ブラシを使うと、装置の間も磨きやすくなります。
- フロスや歯間ブラシを併用する → 通常の歯ブラシでは届きにくい部分を補えます。
- フッ素入りの歯磨き粉を使う → むし歯予防のために、フッ素配合の歯磨き粉を選びましょう。
「意外と面倒くさい?」と思われるかもしれませんが、慣れればそこまで大変ではありません。
矯正装置をつけた時の歯磨きのポイント
歯とワイヤーの間・・歯ブラシを縦にしたり斜めにしたりして、ブラシの毛先が歯とワイヤーの間に入るようにして、力を抜いで小さく動かします。
汚れが取れにくい場所は、ワンタフトブラシの毛先を当てて、小刻みに動かします。
2. 食べにくい
硬い食べ物を噛んだり、前歯で噛み切ったりすると、痛みが出る時があります。矯正装置が歯から外れたり変形してしまうこともありますので、裏側矯正中は出来るだけやわらかい食べ物を選びましょう。
野菜は生で食べると硬いですが、軟らかく煮込むと楽にたくさん食べれます。煮物やポトフにするのがおすすめです。
繊維質の野菜やえのきなど、歯の間に挟まりやすい食べ物は、矯正装置にひっかかりやすいので、取り除くのが大変です。ひっかかりやすい食べ物は、小さく切るなど、注意して料理しましょう。
避けたほうがよい食べ物
- 硬い食べ物(せんべい、ナッツ類) → 装置が壊れる原因になることがあります。
- 粘着質のあるもの(キャラメル、ガム) → 装置にくっついてしまい、取れにくくなることがあります。
- 繊維質の多いもの(ほうれん草、春雨) → 歯の裏に絡みやすく、取り除くのが大変になります。
食事の際のコツ
- 小さめにカットして食べる → 大きいものを丸かじりせず、小さく切って食べると負担が少なくなります。
- よく噛んで食べる → 矯正中は噛む力が不均等になりやすいため、ゆっくり咀嚼することが大切です。
食事が制限されるのでは?と不安になる方もおられるかもしれませんが、工夫すれば問題なく食べられます。
3. 発音しづらい

裏側矯正は矯正装置の中でも滑舌に影響があるといわれます。それは、歯の裏側に装置を付けるので、お口の中が狭くなり、舌の動きが制限されたり、装置に舌が引っ掛かったり、上下の歯の間から息が抜けてしまったりして、スムーズな動きを妨げるからです。
ブラケット自体は小さなものですが、全ての歯に付いていることと、ブラケットとワイヤーの間に凹凸があるので、舌を動かせるスペースが少なくなり、滑舌に影響します。
特に発音しにくいのはサ行、ザ行、タ行、ダ行、ナ行、ラ行などですが、次第に慣れて発音出来るようになってきます。
どうすれば慣れやすい?
- ゆっくり発音を意識する → 最初は舌の動きに慣れないかもしれませんが、1〜2週間ほどで自然と適応します。
- 早口言葉の練習をする → 「さしすせそ」などの発音が難しい方は、ゆっくり発音練習をしてみるのもおすすめです。
- 口のストレッチをする → 口を大きく動かすことで舌の動きがスムーズになり、発音しやすくなります。
最初は少し大変かもしれませんが、殆どの患者さんは1ヶ月ほどで慣れてしまいます。
4. 痛い時がある
矯正装置を歯に付けると、歯を動かす力が働きますので、痛みがおこることが多いです。痛みの殆どは一時的なものですので、調整後1~5日程度は我慢が必要です。痛みで日常生活に支障をきたす時は、痛み止めを服用しましょう。
装置が頬などに当たって痛かったり、装置が当たって口内炎が出来てしまった場合は、対処出来る場合がありますので、医院にご相談ください。
痛みや違和感を和らげる方法
- ワックスを使う → 矯正用のワックスを装置に貼ることで、舌への刺激を軽減できます。
- 口内炎対策をする → 口の中が荒れやすい場合は、ビタミンBを摂るのもおすすめです。
- 痛み止めを活用する → 矯正の調整後に痛みを感じる場合は、市販の痛み止めを適量使いましょう。
裏側矯正が向いている人
「どんな人に裏側矯正がおすすめ?」と気になる方も多いかもしれません。以下のような方には特に向いていると言えるでしょう。
- 人前で話す機会が多い方 → 接客業や営業職など、見た目を気にされる方に最適です。
- 成人の方 → 大人の矯正治療として選ばれることが多いです。
- 矯正装置の見た目が気になる方 → 「矯正はしたいけど、目立つのがイヤ」という方にぴったり。
ただし、舌の動きが気になりやすい方や、早く矯正を終わらせたい方には、表側矯正やマウスピース矯正のほうが向いているかもしれませんね。

まとめ

裏側矯正で気をつける点をご説明しました。事前に歯磨き、食事、発音、痛みなどの問題への対策を知っておくと、矯正装置をつけた瞬間から、慌てずに対処できます。
気をつけるべきポイント
歯磨きはタフトブラシやフロスを使って丁寧に
硬い・粘着質な食べ物はできるだけ避ける
装置の当たりによる痛みはワックスや痛み止めで対策
矯正完了後の後戻りを防ぐため、リテーナーをしっかり装着する
「意外と大変?と思われるかもしれませんが、慣れてしまえばそこまで気にならなくなりますよ!
裏側矯正を検討している方は、ぜひこれらのポイントを参考にしてみてくださいね。」