裏側矯正

裏側矯正はしゃべりづらい?裏側矯正と滑舌について

裏側矯正はしゃべりづらい?裏側矯正と滑舌について

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

裏側矯正治療の際には歯の裏側に装置を付けます。装置があるために舌が動きにくくなり、慣れるまでには滑舌に影響が出てしまうこともあります。裏側矯正と滑舌についてご説明します。

裏側矯正は滑舌にどんな影響があるの?

裏側矯正インコグニト

 

裏側矯正はしゃべりにくいということが良く言われますが、確かに滑舌に影響します。

母音を発音する時の舌や口の動き

あいうえお、の母音を発音する時には、以下の2つの条件が組み合わさって発音されます。

  1. 舌と口の天井の距離・・口の中が広いか狭いか
  2. 舌が動く位置・・舌の前方か後方か

子音を発音する時の舌や口の動き

子音の発音は、母音よりも複雑で、舌のどの部分(舌の先端、前方、後方)がどの方向に動くかが組み合わさり、舌がどのように戻るかによって、音が変わります。

発音する時は、無意識に唇や舌を動かしますので、全てを意識して発音するのは、逆に難しいといえます。

これらの発音する場所が正しい位置でない場合は、音が変わってしまいます。

http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ykawa/art/2018_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%81%AE%E9%9F%B3%E5%A3%B0.pdf

裏側矯正でしゃべりにくくなる理由

裏側矯正は歯の裏側にブラケットとワイヤーをつけて、ワイヤーに力を加えることで歯を少しずつ動かしていきます。

装置が歯の裏側にあるため、表側からは殆ど見えないのが、裏側矯正のメリットですが、お口の中が装置によって狭くなり、舌を動かしにくくなります。

この「舌が動きにくくなる」ことが、滑舌が悪くなる原因のひとつになります。

特に発音しにくい音は?

裏側矯正では、舌が動かしにくくなりますので、「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」の発音がむずかしくなります。

これらの音は、①前歯の裏に舌を接触させる動き②前歯の裏に舌を接近させる動き、の2つの動きが必要になりますので、矯正装置が邪魔になって正しい発音が難しくなります。

滑舌を良くするトレーニングとは?

発音練習

滑舌が悪くなったと感じた場合は、スムーズに発音するための練習が必要になります。練習によって音を出すことに慣れると、自由に発音ができ、滑舌が元の状態に戻ることもあります。

滑舌をよくするためのトレーニング1.舌を思い切り出す

舌を滑らかに動かすために、思い切り舌を出して、舌の筋肉を鍛えましょう。やり方は、「上を向いた状態で天井に向けて舌を思い切り突き出す」だけです。その後、舌を戻して正面を向きます。

これを繰り返すと、舌の筋肉が鍛えられ、滑らかに舌を動かすことが期待できます。

滑舌をよくするためのトレーニング2.母音の発音をする

母音

日本語の発音の基礎となるのが「あいうえお」の母音です。これらの母音がうまく発音できないと、聞き取りにくい発音になってしまうことがあります。

言葉を全て母音だけ発音するトレーニングをすると、はっきりとした発音が出来るようになります。例えば、「おはよう」は「おあおう」となります。

劇団員の方などもこの方法で練習されるそうです。

滑舌をよくするためのトレーニング3.早口言葉

早口言葉

早口言葉をいくつか言ってみて、言いにくい言葉があれば、繰り返し練習します。速さにはこだわらず、口や舌をしっかりと動かして発音することを心がけましょう。

裏側矯正と滑舌に関するQ&A

Q

裏側矯正が滑舌に影響を与える具体的な理由は何ですか?

A

裏側矯正は、歯の裏側に装置を取り付けるため、口内の空間が狭くなり、舌の自由な動きが制限されます。これが滑舌に影響を及ぼす主な原因です。

Q

裏側矯正で特に発音が難しい音はどのようなものですか?

A

裏側矯正では、「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」など、前歯の裏に舌を接触させたり、接近させる音が難しくなります。これらの音は装置によって口内のスペースが制約されるため、発音が難しくなります。

Q

滑舌を改善するためのトレーニング方法はありますか?

A

滑舌を改善するためのトレーニング方法はいくつかあります。まず、舌の筋肉を鍛えるために舌を思い切り出して、上を向いた状態から天井に向けて舌を突き出し、戻す方法があります。また、母音の発音を練習したり、早口言葉を言って口や舌を動かすトレーニングも効果的です。

まとめ

歯のキャラクター

矯正治療中は装置を歯に付けたりお口に入れたりしますので、滑舌に影響が出ることがあります。特に裏側矯正では歯の裏側に装置があるために、舌の動きが悪くなり、子音の発音がしづらくなることがあり、慣れるまでに時間が必要になります。

営業職の方やセミナー講師、アナウンサーなどの喋る職業の方は、装置による滑舌への影響も考えて適切な装置を選びましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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