
他人から出っ歯と言われたことが原因で、前歯が急に気になりだして、歯を見せて笑うのが怖くなってしまう方もおられます。歯科医師から見ると治療が必要なほどではない場合も多いのですが、ご本人にとっては大問題です。
出っ歯(上顎前突)を治すにはどのような方法があるのかについてご説明します。
出っ歯といわれてショック。どうやって治す?

普段からご自分の歯並びを鏡で見て、「少し前歯が出ているかもしれないけど、矯正するほどひどくないのでは?」と思っておられた方が、他人から「あなた出っ歯ね」と言われたらかなりのショックを受けると思います。
矯正治療が必要ない程度の場合もある
他人から出っ歯と言われて、歯並びが急に気になるようになって相談にみえられる方もおられます。治療するほどの不正咬合ではない場合も多いのですが、歯医者が「あなたは矯正治療の必要はありませんよ」と言っても、ご本人にとっては大問題で、治療の必要がないと言われても到底納得できません。
ほんの1~2ミリでもいいから前歯を引っ込めたいという気持ちになるのも無理はありません。医学的にどうであれ、見た目のコンプレックスとは、ほんの些細なことで芽生えてしまうのです。
前歯だけの歯並び矯正なら部分矯正が可能な場合も
奥歯に問題がなく、前歯だけが出ている状態であれば、出っ歯の程度にもよりますが部分矯正が可能な場合があります。
部分矯正は前歯8本程度のみを動かす矯正治療で、全体の矯正と比べると治療期間や費用が少なく済むのが特徴です。
ただ、奥歯の噛み合わせや歯並びに問題があったり、前歯をかなり大きく引っ込める必要がある場合は、部分矯正の適応にはなりません。部分矯正で治療可能かどうかは、歯科医院の矯正相談で実際に歯列を診てもらって診断してもらいましょう。
不正咬合の程度によっては、前歯をかなり後ろに下げなければならない場合があり、全体矯正が必要になります。また、歯の重なりが大きかったり、奥歯の咬合や歯並びの状態によっても、部分矯正が不可で、全体矯正になる場合もあります。
出っ歯を放置した場合のリスクとは?
「自分の歯並びが少し出っ歯気味だけど、特に困っていないし放置しても大丈夫かな?」
そんな風に思われている方もおられるかもしれませんね。
しかし、出っ歯をそのままにしておくことで、思わぬリスクが生じることをご存知でしょうか?実は、見た目だけでなく、歯の健康や日常生活にもさまざまな影響を及ぼす可能性があるのです。
1. 口が閉じにくくなり、口呼吸になりやすい
出っ歯の方は、無意識のうちに口がポカンと開いてしまうことが多いです。そうすると、自然と口呼吸になりやすくなります。
口呼吸には、以下のようなデメリットがあります。
- 口の中が乾燥し、歯垢や細菌が増えやすくなる
- 風邪やウイルスに感染しやすくなる
- 口臭が強くなりやすい
「気にしていなかったけど、口呼吸が増えているかも?」と思われた方もいるのではないでしょうか?こうした習慣が続くと、歯だけでなく全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
2. 前歯が折れやすくなる
出っ歯の場合、前歯が通常より前に出ているため、衝撃を受けやすいのが特徴です。
例えば、転んだり、スポーツをしているときにボールが当たったりすると、「前歯が折れてしまうリスクが高い」のです。
特に、大人の歯は一度折れると自然に元通りにはなりません。場合によっては、被せ物やインプラントが必要になることもあります。
「そこまで考えたことがなかった…」という方も多いかもしれませんね。しかし、将来的なリスクを考えると、早めの対処が重要です。
3. 歯周病やむし歯のリスクが上がる
「出っ歯があると、歯磨きがしづらい」と感じることはありませんか?
実は、前に出ている歯は歯垢が溜まりやすく、歯磨きが不十分になりがちなのです。
その結果、次のようなリスクが高まります。
- むし歯になりやすくなる
- 歯周病が進行しやすくなる
- 口臭が悪化する
特に、歯周病が進行すると最終的に歯を失う可能性もあります。
「そんなに大げさな話なの?」と思われるかもしれませんが、歯科の現場では実際にそのようなケースも見られます。
4. 顎関節症の原因になることも
出っ歯の方は、噛み合わせが不安定になりやすい傾向があります。その影響で、顎関節症(がくかんせつしょう)を引き起こすリスクが高まることが分かっています。
顎関節症になると、次のような症状が現れることがあります。
- 口を開けると顎がカクカク鳴る
- 口を開けづらくなる
- 顎や顔の周りに痛みが出る
「単なる歯並びの問題が、こんな症状につながるの?」と驚かれる方も多いのですが、
噛み合わせのズレが顎に負担をかけることで、このようなトラブルが生じるのです。
5. 見た目の印象に影響を与える
最後に、出っ歯を放置すると、見た目の印象にも影響が出る可能性があることも覚えておきたいポイントです。
- 横顔が「口ゴボ」になりやすい
- 笑ったときに前歯が目立ちやすい
- 口元のバランスが崩れやすい
「見た目はあまり気にしていないから…」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、実は歯並びが整うことで、顔全体の印象が変わり、自信を持てるようになったという方も多くおられます。
出っ歯をそのままにしておくことで、さまざまなリスクが生じることが分かりましたね。
「自分にも当てはまるかもしれない…」と思われた方は、早めに歯科医院で相談されることをおすすめします。ご自身の健康や見た目を守るためにも、適切なタイミングで治療を検討することが大切です。
出っ歯を治すための矯正装置について
矯正治療で実際に歯に付ける装置についてご説明します。なお、矯正治療は保険のきかない自由診療となります。
ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットと呼ばれるボタンのようなものを貼り付けて、そこにワイヤーを通して引っ張り、歯並びを治していきます。
ワイヤー矯正は目立つから嫌だとおっしゃる方もおられますが、当院のブラケットはセラミック製で、歯に馴染む白色をしているのであまり目立ちません。ワイヤーも別料金にはなりますが、白いワイヤーを使うことも出来ます。
ワイヤー矯正は歯並びの治療の中では価格が安いためリーズナブルです。
裏側矯正

裏側矯正は歯の裏側にブラケットとワイヤーをつけますので、他人からは矯正装置をつけているのが見えません。しかし歯の裏側に装置をつけることで舌が動く場所が狭くなってしまうため、違和感を感じる方もおられます。慣れるまでは発音がしにくくなるのも裏側矯正のデメリットです。
マウスピース矯正

透明のマウスピースを1日22時間歯に装着して歯を動かしていきます。当院ではインビザラインを使用します。
マウスピースはかなり近づいて見なければつけていることがわかりません。そのため、他人に矯正治療中であることを知られずに治療をすすめることが出来ます。ただし、食事や色のついた飲み物を飲むときにはマウスピースを外さなければなりません。
マウスピースを洗って清潔を保ちながら、1日に決められた時間、必ずマウスピースを装着する必要があります。装着をサボると治療が進まず、マウスピースが歯に合わなくなってしまいます。
そのため、マウスピース矯正はきちんと自己管理が出来る方に向いています。
出っ歯とはどんな状態のこと?

出っ歯の方には以下のような症状があります。
- 唇が閉じにくい。完全に閉じるために唇に力を入れなければならない。
- 横顔を見ると口元が前に出ている
- 奥歯を噛んだ時に上の前歯が下の前歯よりも5ミリ以上前に出ている
特に最後の「5ミリ以上出ている」場合は、出っ歯の傾向が強くなりますので、矯正での治療を検討する場合があります。

出っ歯になっている原因は主に3つ考えられます。
- 歯が前突している(歯が前方に傾いている)
- 骨格が前突している(上顎の骨格が前に出ている)
- 歯と骨格が前突している(上顎の骨格が前に出て、歯が前方に傾いている)
1.は部分矯正だけで治る場合があります。
2.3.は骨格性の出っ歯のため、矯正装置をつけて治療しても期待するほど出っ歯が改善しない場合があります。その場合は外科手術が必要なケースとなります。
これ以外に下顎が後退しているために上顎は正常でも出っ歯に見えるケースもあります。
【動画】出っ歯の治療方法「歯だけが原因の場合」
まとめ

歯科医師から見ると矯正治療をするほどではない状態でも、患者さんの強いご希望がある場合は、少しだけ歯を引っ込めるための部分矯正を行うときもあります。
また、出っ歯は軽度でも、歯が斜めになっていたり、他の歯と重なっている場合は、全体矯正になることもありますので、ご承知おきください。