インビザライン

インビザラインとワイヤー矯正の違いや特徴

 

インビザラインとワイヤー矯正の違いとは?

歯並びの治療では、インビザラインとワイヤー矯正が良く使われます。それらがどう違うのかを比較しながらご説明します。装置の選択の際に、比較する材料としてご利用ください。

インビザラインとは

インビザライン

インビザラインは、透明なマウスピース型の装置を使用した方法です。アライナー(マウスピース)は患者さんの歯型データによってオーダーメイドで製作され、1~2週間毎に新しいマウスピースに交換しながら、少しずつ歯を正しい位置に移動させます。

インビザライン

主な特徴とメリット

  • 見た目の自然さ・・透明で目立ちにくいため、矯正をしていることがほとんど分かりません。
  • 取り外し可能・・食事や歯磨きの際は取り外して普段通り行えます。
  • 痛みが少ない・・歯を少しずつ動かすため、痛みや違和感が少ないと言われています。

ワイヤー矯正とは

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる金属やセラミックの小さな固定具を歯に貼り付け、ワイヤーで結びつけて歯を動かす伝統的な方法です。

主な特徴とメリット

  • 矯正力が強い・・歯に強い力をかけることが出来るため、複雑な歯並びや咬み合わせの問題も効果的に解決できます。
  • コストパフォーマンス・・矯正の中では一般的に治療費が安価です。
  • 見た目・・従来の金属のブラケットは目立つため敬遠されがちでしたが、セラミックのブラケットを使うとあまり目立ちません。

インビザラインとワイヤー矯正の違い

最大の違いは、装置の形状です。その他にも目立ちやすさや痛みなど、メリットとデメリットを比較して、違いや特徴をよりはっきりさせられるように表で比較してみましょう。

比較項目 インビザライン ワイヤー矯正
装置の形 ●透明なマウスピース ●ブラケットとワイヤー
取り外し ●自分で取り外しできる
●一日22時間程度は装置をつける必要がある
●歯に固定されていて自分では外せない
目立ちやすさ ●透明で殆ど目立たないため見た目が良く、審美的に優れている ●金属のブラケットとワイヤーはかなり目立ちやすく見た目は良くない。
●白いワイヤーとブラケットの場合は金属に比べるとあまり目立たない
矯正していることが他人にわかるか ●殆どわからない ●金属の場合ははっきりわかる
白いワイヤー、ブラケットの場合は遠くからだとわからない
痛み

●1枚のアライナーで0.25ミリだけ歯を移動させるため、動かす距離が小さく、あまり痛みはない(個人差があります)

●ワイヤーを取り替えて調整した時には歯を移動させるための力が普段よりも大きくかかり痛みが出る
歯磨きのしやすさ ●アライナーを取り外して歯磨きをするので歯磨きしやすい ●食べ物がブラケットやワイヤーに引っかかるので歯ブラシだけでは歯磨きしにくい
食事のしやすさ ●食事の時はアライナーを外すので普段通りに食事できる ●ブラケットとワイヤーをつけたままなので噛みにくい
全ての不正咬合に対応しているか ●担当の歯科医によっては抜歯矯正に対応出来ない場合もある ●殆ど全ての不正咬合に対応している
治療前に歯の動きを確認できるシステムはあるか ●コンピュータ上でクリンチェックと呼ばれる3Dシステムを使って歯の動きをチェック出来る ●歯の動きを確認するためのシステムはない
通院回数 ●1~2カ月に一度 ●1カ月に一度
ブラケットやワイヤーが外れる可能性があり、その際には診療を受けなければならない
治療期間 ●1~2週間に1度マウスピースを交換して治療を進めていき、マウスピースの使用枚数は患者さんの不正咬合の状態によって変わる
●期間は半年~1年前後の方が多い
●ワイヤー矯正では重度の不正咬合の患者さんの場合が多いため期間は1年半~2年以上の方が多い
費用 ●ワイヤー矯正よりはやや高い ●ワイヤーの場合は装置の中では安い部類に入る
白いワイヤーは少し追加の料金がかかる

インビザラインが向いているのはどんな人?

以上のような違いから、インビザラインに向いているのは、治療中の見た目をとても気にされる方ということになります。他にもいくつかあげられます。

インビザラインとワイヤー矯正

インビザラインが向いているのは・・

  • 目立つ装置を使うのは絶対に嫌な方
  • 見た目をとても気にする方
  • 1日の装着時間(22時間以上)をきちんと守れる方
  • アライナーをきちんと管理できる几帳面な方
  • 日ごろから間食の少ない方
  • 仕事上ワイヤーの装置をつけられない方

インビザラインに向いてないのはどんな人?

インビザラインの最大のメリットは「取り外しができる」ことによる安心感です。しかし同時に、毎日の装着時間を守るのは必須ですし、アライナーを外す度に洗うなどの「管理」が必要になります。

インビザライン洗い方

アライナー(マウスピース)を清潔に保つために、1日に数回アライナーを洗う必要があり、意外と手間がかかります。

洗うタイミングは、食事や歯磨きの際にアライナーを外した時です。それを面倒くさいと感じる方には、マウスピースは向いていないといえます。

マウスピースを外す

また、アライナーをつけたままでは飲食に制限があります。アライナーがついた状態では、噛んで食べる物は一切食べられません。間食やおやつでもマウスピースを外して食べる必要があります。

飲み物にも制限があり、透明で色の付いていない飲み物以外は、マウスピースを一旦外す必要があります。お茶、コーヒー、紅茶などの色のついた飲み物は、飲んだ時にアライナーの中に入り込んではっきり見えてしまいますし、それによってアライナーを変色させてしまうためです。

  • すぐに治療を始めたい方
  • 自分の性格はめんどくさがりだと言える方
  • 物を置き忘れることが多い方
  • 物をよく壊してしまう方
  • 歯磨きせずに寝てしまうことが時々ある方
  • 間食が多い方
  • 歯磨きや入浴を面倒くさいと感じている方

要は、インビザラインのアライナーの付け外しを患者さんご自身で行って頂かなければなりませんので、きちんとマウスピースを清潔に管理出来、1日22時間の装着時間を守れるということが重要です。ご自身だけでは自信がない方は、ぜひご家族の方の力を借りてください。

インビザラインに向いている症例は?

インビザラインはアライナー(マウスピース)1枚につき、0.25ミリずつ歯を動かしていきます。そのため、大きく歯を移動させるような計画を立てると、アライナーの枚数が多くなり、全体の期間も長くかかります。

そのため、歯をあまり大きく動かさないような軽度の出っ歯や叢生、すきっ歯、受け口などに向いています。八重歯など歯の重なりが大きい場合や、重度の出っ歯、受け口の場合は、抜歯矯正になることが多く、抜歯したスペースを利用して歯を大きく動かしていきます。抜歯矯正はワイヤー矯正に向いているといえます。過蓋咬合もワイヤー矯正での治療をおすすめします。

上の歯をインビザライン、下の歯をワイヤーで矯正治療することもある

上の歯は目立つのでインビザラインで治し、下の歯はあまり目立たないのでワイヤー矯正で治すという方法もあります。

この場合は歯科医院が独自に治療費を定めており、上下ともにマウスピースで治療するよりも少し費用が抑えられて少なくなる場合が多いため、歯科医院にてご確認ください。

インビザラインとワイヤー矯正どちらを選べば良いの?

装置を選ぶ際には、患者さんの不正咬合をより効果的に治せる装置が良いのですが、患者さんのご希望にそったものでなければなりません。

どちらの装置にするか決めかねている時には、以下のポイントを参考にしてください。

1. 装置の見た目

より目立たない装置をご希望の場合は、インビザラインをお勧めします。ワイヤー矯正もセラミックのブラケットとホワイトワイヤーを使えば、そう激しく目立たない為、実際に歯科医院で装置の模型を見てお決めください。

2. 費用

一般的に、インビザラインよりもワイヤー矯正の方がやや治療費が安い傾向があります。部分矯正の場合はワイヤー矯正の方がかなり安くなるため、価格についても歯科医師にお尋ねください。

3. 治療期間

抜歯矯正の場合は歯を大きく動かしますので、ワイヤー矯正の方が治療期間が短くなります。インビザラインはワイヤー矯正と比べてより少しずつ歯を動かしますので、期間はやや長くなります。

4. 痛み

インビザラインはアライナー1枚当たりの歯の移動距離が決まっており、ゆっくりと歯を動かすため痛みが出にくいという特徴があります。ワイヤー矯正は早く動く半面、歯にかかる力が強いために痛みが出やすいです。

まとめ

歯のキャラクター

インビザライン(マウスピース型装置)とワイヤー矯正の違いについてご説明しました。歯並びによって使用する装置がある程度決まってしまう場合もありますが、患者さんご本人の性格でも、装置によって合う、合わないがあります。ご自身でよく考えたうえで、装置を決めましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

▶プロフィールを見る