子供の歯並びの治療にかかった金額が医療費控除の対象になるかどうか、ご心配な方へ、以下でご説明しております。
目次
歯の治療にかかった費用が医療費控除の対象となるかの判断
1. 歯の治療は、セラミックやジルコニア、ゴールド等の高価な材料を使用することが多いため治療費も高額になりがちです。それらの高価な材料は保険がきかないので全額自己負担の自由診療となります。
しかし日常的には行われないような特別な治療法や手術など、一般的に支出される水準を著しく超えていると判断されるものは医療費控除にならない場合があります。
2. 発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正は、医療費控除の対象になります。中学生くらいまでの治療は小児矯正として扱われますが、美容目的など見た目を良くするためだけの歯の治療にかかる費用は、大人も子供も控除の対象になりません。
3. 矯正治療のための通院費も医療控除の対象になります。通院した日を確認できるように記録しておき、自宅から医院まで公共交通機関(バス、電車等)を利用した場合は交通費の金額も忘れないように記録しておくようにしておきましょう。
自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場料金は医療費控除の対象になりません。(タクシー代も基本的には対象にはなりませんが、交通機関が使えない事情がある場合は認められるケースがあります)
医療費控除の対象となるかの最終的な判断は、お住まいの管轄税務署が行います。疑問がある場合は事前に税務署にお問い合わせください。
医療費控除とは?
医療費控除は、1/1~12/31の一年間に支払った医療費が10万円以上だった場合に確定申告で手続きをすれば適用され、所得税から還付される制度です。
- 医療費には自費診療も含まれます。
- 年収が一定額以下の方は医療費が10万円以下でも医療費控除の対象になります。
- 医療費控除を受けるためには確定申告が必要ですが、確定申告をする本人の医療費の他、生計を一にする配偶者や親族の医療費も合算することが出来ます。
- 夫婦共稼ぎの世帯の妻が扶養家族から外れている場合も、妻の医療費を夫の医療費と合算して合計額で控除を受けることが出来ます。
- 医療費控除を受けるためには、医療費の領収書を保管しておきましょう。
医療費控除の対象となる歯科治療は?
インプラント、矯正、補綴(ほてつ:セラミックなどで作られたインレーやクラウン)などの治療にかかった医療費は、医療費控除の対象になります。もちろんお子さんの矯正治療にかかる費用も医療費控除の対象です。
確定申告の際に医療費控除を申請すると、所得金額や治療費の額に応じて支払った治療費の一部が還付されます。
デンタルローンで支払った場合はどうなるの?
矯正歯科治療をデンタルローンやクレジットカードの分割払いにしている方は多くおられると思います。デンタルローン、クレジット払いも医療費控除の対象になりますが、金利手数料は控除の対象外です。
ローンやクレジット払いの場合はいつ医療費控除の申請をすればいいのかというと、ローン会社との契約が成立した年に全額分の医療費控除が認められます。
どれだけお金が戻ってくるの?
確定申告で書類を提出して、支払いをした医療費の申告をしても、10万円を超える治療費がすべて返ってくるわけではありません。医療費控除額は所得税の軽減額ではなく、医療費控除額に所得税の税率を掛けた額が医療費控除額によって実際に減税される額になります。
控除額は、(支払った医療費-保険等で補填された額)-10万円、もしくは所得金額の5%(いずれか低い金額)となります。※控除額=還付額ではありません。
還付額が決定したら、銀行の口座に振り込まれます。所得額によって税率が変わりますので、具体的な計算方法や還付金額の例は、以下のページをご覧ください。また、確定申告には申告するための期間が設けられていますので、ご注意ください。
子供の矯正は医療費控除の対象になるかに関するQ&A
子供の歯列矯正治療は医療費控除の対象ですか?
はい、子供の歯列矯正治療は医療費控除の対象になりますが、美容目的の歯の治療は対象外です。
通院費用も医療費控除の対象になりますか?
通院費用も医療費控除の対象になりますので、通院日や公共交通機関の交通費を記録しておく必要があります。但し、自家用車のガソリン代や駐車場料金は対象外です。
デンタルローンで支払った場合の医療費控除はどうなりますか?
デンタルローンやクレジット払いも医療費控除の対象ですが、金利手数料は控除の対象外です。医療費控除はローン契約が成立した年に全額分が認められます。
まとめ
発育段階にあるお子さんの不正咬合の治療にかかる歯列矯正の治療費は、ほぼ医療費控除の適用になります。確定申告は①税務署に持参する②確定申告会場で申告する③郵送する④インターネットで申告するなど、以前と比べて現在はかなり簡単に申告できるようになりました。1年間で10万円以上の医療費を支払った方は、ぜひ医療費控除の制度を利用しましょう。
不明な点は国税庁のホームページをご覧になるか、お住いの管轄の税務署にご相談ください。