骨格が原因で出っ歯になっている方の治療法についてご説明します。
目次
骨格が出ている程度によって「軽度」「中度」「重度」に分かれる
骨格が原因の場合には、骨格が出ている程度が「軽度」「中度」「重度」の三つに分かれます。
出っ歯といっても上顎の骨格が少しだけ出ている場合は「軽度」になります。骨格がまあまあ出ている場合は「中度」。かなり出ている場合は「重度」ということになります。
骨格が出ている程度によって、治し方は全く違いますので、まず患者さんがこの三つのうちのどれに該当するかの診断が必要になります。
骨格が出ている程度が「軽度」の方の場合の治療方法
骨格自体が前に出ていても、程度が軽度の場合は、それほど大きな突出はありません。そのため、歯自体の角度を少し変えたり、歯自体を綺麗に並べ、歯を少し引っ込めるだけで十分治ります。
軽度の方は治し方が簡単で、装置を歯に付けて歯列矯正を行います。その方法としては、「ワイヤー矯正」「裏側矯正」「マウスピース矯正」の3種類ありますので、患者さんご自身のライフスタイルに合った装置を選択されると良いでしょう。
骨格の出っ張りが軽度の方は、抜歯をしなくても治療が可能になる場合があります。その場合は前歯の両端を僅かに削って、歯を動かすためのスペースを作ります。この処置はIPR(ディスキング、スライス)といい、痛みが出ない程度に少し削るだけですので、痛みはなくご心配は要りません。
歯を動かすためのスペースを作るのに抜歯が必要な場合は、「ワイヤー矯正」か「裏側矯正」が歯を大きく動かせて治療期間が比較的短くなります。「マウスピース矯正」でも可能ですが、ワイヤーとブラケットを歯に付ける矯正と比べて少し期間が長くなります。最終的には担当医とご相談の上、お決めいただければと思います。
骨格が出ている程度が「中度」の方の場合の治療方法
骨格が出ている程度が中度の方では、上顎の前歯をかなり引っ込めなければいけません。そうすると、上下の噛み合わせが治ります。
では、具体的にどう治すかというと、中度の方の場合は、歯を後ろに引っ込めるためのスペースが必要になりますので、残念ながらほぼ全ての方に抜歯が必要になります。
中度の方の場合、前歯6本は全体が出っ歯になっていますので、骨格と前歯共に後ろに下げる必要があります。そのため前歯の中央から4番目の小臼歯と呼ばれる歯を抜歯します。歯を抜くと、左右に歯1本分のスペースができます。
そのスペースを利用して前歯全体を後ろに下げて行けば、綺麗な歯列になります。骨格が出ている程度が中度の方の場合でしたら、出っ歯はこのやり方で綺麗に治ります。歯に付ける装置は「ワイヤー矯正」「裏側矯正」が適しています。「マウスピース矯正」で治療出来るかどうかはケースバイケースですので、担当医にご相談ください。
骨格が出ている程度が「重度」の方の場合の治療方法
ところが骨格が出ている程度が重度の方の場合は、装置を歯に付けて歯を動かすだけでは不十分です。その理由は、歯を後ろに下げる量が多いので歯を大きく動かさなければいけないという問題もありますが、重度の方の場合、歯列はきれいになっても、口元が全体的に前に出ている感じが残ってしまいます。
この場合は、セットバックと呼ばれる外科手術を行うことで上顎の骨格自体を後ろに下げ、口元全体が前に出ているのを治します。外科矯正を行うことで、口元全体のボリューム感がなくなり、横顔がきれいなラインになります。
当院で行っている外科矯正は「セットバック」と呼ばれる術式で、全身麻酔が必要ですが、入院なしの日帰り手術で治療が可能です。詳しくは下記のリンク先のページをご覧ください。
▼セットバック手術に関してはこちらで詳しく解説しています。
【動画】出っ歯の治療方法 骨格が原因で「中度」の場合
出っ歯の治療方法 骨格が原因で「中度」の場合に関するQ&A
出っ歯の治療方法は軽度、中度、重度ではそれぞれどのように治療されるのでしょうか?
出っ歯の治療方法は軽度、中度、重度の段階に分かれます。軽度の場合は歯自体の角度を調整し、中度の場合は抜歯と歯を後ろに引っ込める治療が必要です。重度の場合は外科手術が追加されます。
出っ歯の治療で「軽度」の患者にはどのようにアプローチするのですか?
軽度の出っ歯では、歯の角度調整や歯列の整列を行い、歯を少し引っ込めます。矯正装置を歯につけて比較的簡単な治療が行われます。
中度の出っ歯の治療はどのようにするのですか?
中度の出っ歯では、歯を後ろに引っ込めるためのスペースを作るために小臼歯の抜歯が必要です。その後歯に矯正装置をつけて歯列を後ろに下げていきます。
まとめ
骨格が原因の出っ歯の治療方法について解説しました。出っ歯は骨格の程度によって「軽度」「中度」「重度」に分類され、それに応じて方法が異なります。
軽度の場合は歯の角度や配置を微調整し、簡単にできます。中度の場合は上顎前歯を引っ込める必要があり、小臼歯を抜歯してスペースを作り、小臼歯よりも前の歯を後ろに配置していきます。重度の場合は、歯列だけではなく口元全体の骨格も考慮し、外科手術で上顎を後ろに下げるセットバック手術が必要です。骨格の程度に合わせた適切な方法を選び、出っ歯の問題を解消します。
どの程度に該当するのかは、矯正相談で担当医が診断し、ご説明します。