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矯正でEラインはキレイになるか?

矯正でEラインはキレイになるか?

きれいな口元をあらわすEラインという言葉を聞かれたことがおありでしょうか。矯正歯科では、歯列をきれいに整えるだけでなく、患者さんは審美的なことをとても気にされますので、Eラインを整えることも大切な目標と考えています。

Eラインを整えるためには出っ歯や八重歯、ガタガタの歯などの不正咬合を治療することが大切です。

Eラインとは

Eラインの説明図

Eラインというのは鼻の先と顎の先を結んだ線のことです。厳密にはエステティックラインといいますが通常はEラインと呼ばれていて、一般の方もこのEラインという言葉はわりとご存知の方も多いと思います。

欧米人は鼻が高いので、鼻の先と顎の先を結んだEラインは前にくるだろうということは想像がつきますが、日本人の場合は殆どの方が、鼻の先と顎の先を結んだ線よりも唇が少し出ています。それが日本人の平均です。

Eライン-欧米人と日本人の横顔

欧米人の方は欧米人の方は鼻が高いということもあって、むしろこのEラインよりも唇がやや下がっている感じです。そのため横顔を見ただけで日本人か欧米人かすごくわかりやすいです。

欧米人が美人で日本人が美人じゃないとか思っているわけではありません。矯正治療をして八重歯や乱杭歯などの歯並びが治ったというだけでなく、骨格的に横顔がきれいになるというのは素晴らしいことだと思います。

矯正治療をする目標として唇をEラインのジャストの位置にもってこれるように治療をしています。Eライン上に唇の先端があると、やはり美人できれいに見えます。

【参照文献】
好まれない側貌について-種々の上下顎関係におけるE-lineと下口唇の位置との関係-

唇をEライン上にもってくるためにはどうするか

出っ歯の場合は4番の歯を抜歯して下げる

出っ歯の人は歯を抜いて前歯を下げるためのスペースを作ります。そのスペースへ歯を動かしていって、1,2,3番の歯を少しずつ後ろへ下げていき、出っ歯を治療します。

上あごの歯列

歯医者は歯を番号で呼んでいて、(左)1234567 (右)1234567とあり、その中の、4番の歯を抜きます。4番の歯を抜いて出来たスペースに、3番から3番の6本の歯を後ろに下げていきます。

矯正治療をすると、歯の角度が変わるだけではなく上あごは骨格ごと下がるので、出っ歯はきれいに治ります。

八重歯の場合は4番の歯を抜歯して歯をきれいに並べると同時に下げる

3番の歯が外側に飛び出て八重歯になっている方がおられますが、八重歯がひどい方でしたら、八重歯を正しい位置に戻すために、4番を抜いて出来たスペースを使います。

ただし4番を抜いた1本分のスペースしか使えませんので、3番から3番までの6本の歯が互いにかなり重なっていたとしたら、後述するミニスクリューやIPR(ディスキング)といったオプションによって効果的に前歯を下げていきます。

前歯は矯正でどれだけ下げられるのか

出っ歯の症例

前歯を下げる時には、一般的には4番の歯を抜いて、そのスペースを利用して歯を引っ込めていきます。どれだけ下がるかは、歯を抜いて出来たスペース分しか下がりません。

しかも、3番から3番までの6本の歯がかなり重なって叢生になっていたとしたら、歯を抜いて作ったスペースを使って、それらの歯をきれいに並べることになります。つまり、前歯の重なり具合が大きい場合は、歯を下げるためにスペースを使うことが出来ません。

前歯を下げるための治療方法

ワイヤー矯正

 

前歯を下げるための効果的な矯正治療をご説明します。

ワイヤー矯正では奥歯を固定源にして、前歯を引っ張って後ろに下げるのですが、実はその反作用で奥歯が少し前に動いてしまいます。

4番の歯を抜いて出来たスペースの70%くらいは前歯が後ろに下がって、残りの30%は奥歯が前に行ってしまいます。4番の歯を抜きさえすれば、前歯が下がってEラインがきれいになるというわけにはいかないのです。

70%しか下がらないものを 100%下げるのが、これからご説明するインプラント矯正です。

ミニスクリュー

ミニスクリューは、主にワイヤー矯正のオプションとして行います。

前歯を後退させる時に、前歯を後ろに引っ張る為の固定源となる奥歯が、ぜったいに動かなければ良いのですが、実際には僅かですが前に動いてしまいます。

そこで、絶対に動かない固定源として、ミニインプラントというものを使用します。

ミニインプラントはチタン製の直径1.5ミリ、長さ7~9ミリ程度のネジのような形をしています。
これを歯茎に埋め込んで、前歯6本を引っ張って下げていくための固定源として使います。

ミニインプラントは動きませんので、4番の小臼歯を抜いて作ったスペースを全て前歯を後ろに下げるために使うことができます。

ミニスクリュー+IPR

スライス矯正

ミニスクリュー(ミニインプラント)を使えば、前歯をかなり下げることが出来ますが、前歯の重なりがきつい場合は、歯を並べるためにスペースを使ってしまいますので、前歯をあまり下げることが出来ません。

その場合には、IPR(ディスキング、スライス)という方法を併用します。

IPRは前歯の左右を少し削って小さくします。具体的には、1.5ミリあるエナメル質の部分を0.25~0.50ミリだけ削ります。これを前歯1本1本に対しておこないます。

歯を削って出来たスペースを使って歯の重なりをきれいにし、同時に4番の歯の抜歯によって出来たスペースを使って歯を後ろに下げていきます。このようにすると、かなり高い確率でEラインが整います。

前歯をスライスすると、虫歯になりやすくなるのでは?とご心配になられる方もおられますが、スライスしたことが原因で虫歯になることはありません。どちらかといえば、歯が重なった状態の方が虫歯や歯周病になるリスクが高まります。

【動画】矯正でEラインはキレイになるか!?

まとめ

Eラインをきれいに整える為には、出っ歯や八重歯を治療して前歯を下げることが必要です。

出っ歯や前歯を下げるのは4番の歯を抜いてスペースを作り、そのスペースを利用して歯を動かしていくのが一般的な治療法となります。その際に効果的に前歯を下げるために、オプションとしてミニスクリューを歯ぐきに埋め込んで固定源とする方法があります。

それでもスペースが足りない場合は、前歯の両端を僅かに削るIPRというオプションを追加します。骨格が前に出ている方は、外科矯正で骨格ごと下げる方法もあります。

どの方法でも前歯がある程度下がってきれいな歯列になることでEラインを整えることができます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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