
たらこ唇(唇が前方に出ている)などと言われる分厚い唇が、「歯列矯正により唇が薄くなる」可能性があります。周囲の人は特に気にしていなくても、ご本人にとってはコンプレックスになっているという事は多いです。どのようなお口の状態の場合が治療可能かご説明します。
唇の突出感が矯正で薄くなる?
矯正治療は歯並びや噛み合わせを正しい状態にするために、歯に装置を付けて移動させます。その結果、唇が薄く見えるようになる場合がありますが、直接的に唇の厚さに対してアプローチするわけではありません。
口呼吸や前突が原因で唇が前に出ているように見える場合は、どのような治療法を行えば、唇や口元の突出感が気にならなくなるのでしょうか。それには、アンカースクリューと呼ばれる補助装置を使用したワイヤー矯正が一般的です。
歯の表側にワイヤーやブラケットを装着する事に抵抗があるという患者さんには、裏側に付ける舌側矯正という方法もあります。裏側からの矯正は費用が高いというデメリットがありますが、周囲の人から装置が見えないというメリットが大きいです。歯科医師やスタッフとのカウンセリングの際に、「唇が気になっている」というお悩みをきちんと伝えましょう。
唇の厚みの原因は?

唇の分厚さ以外の原因として、考えられる主なものは以下の2つです。
1. 口呼吸を行っている
口で呼吸を行っていると、鼻呼吸の方に比べて、口が開いている時間が多いです。そうなれば、通常よりも口を突き出し気味にしてしまったり、自分の意識ですぼめようとするくせがつきます。自然と口を前に出す傾向が定着し、唇が分厚い印象を与えてしまい、横顔のEラインを保てない事が多いです。口呼吸で唇のお悩みを持つ方は、上顎の唇より下顎の唇が分厚くなる可能性が高いですね。
2. 出っ歯になっている
口元が出ている状態は、前突や出っ歯と言われる状態です。舌のくせや指しゃぶり、おしゃぶりなどの習慣で出っ歯になり、唇が押し出され分厚く見えてしまうことがあります。前歯で唇が常に前方に押されている場合は、矯正治療で前歯の前突を解消しない限り、唇の厚さは消えませんです。
唇が薄くなる矯正とは?
「矯正をすると、唇が薄くなるって本当?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、矯正治療の種類や歯の動かし方によっては、矯正後に唇の印象が変わることがあります。特に、「口元が前に出ている」「口が閉じにくい」といった状態の方は、矯正によって唇が薄く見えることがあるのです。
1. 矯正で唇が薄く見える理由
矯正治療で唇の厚みが変わって見えるのは、個々のケースにもよりますが、主に歯の位置や口元のバランスが変化するためです。
→ 結果として、唇が薄く見えることがある
→ 口が閉じやすくなるが、唇の厚みが少なくなったように感じることも
つまり、もともと前歯が前に出ていることで唇が厚く見えていた場合、矯正によって歯が後退すると、相対的に唇が薄く見えるようになるのです。
2. どんな矯正が唇を薄く見せる?
以下のような矯正方法は、唇が薄くなる可能性があるとされています。
1. 抜歯矯正(出っ歯の改善)
- 出っ歯(上顎前突)を改善するために、抜歯をして歯を後ろに動かす矯正
- 歯が下がることで口元のボリュームが減り、唇が薄く見えることがある
→ 「口ゴボ(口元の突出)が気になる」「口を閉じにくい」
2. 非抜歯矯正(拡大矯正)
- 抜歯をせず、歯列を広げてスペースを作る方法
- 口元のボリュームは比較的維持されるため、唇の厚みはあまり変わらない
→ 「唇の厚みをキープしたまま歯並びを整えたい」
3. インビザラインなどのマウスピース矯正
- 軽度の歯並び改善に適しており、抜歯矯正ほど大きな口元の変化は少ない
- ただし、前歯を後ろに引っ込める治療をすると、唇が薄く見えることもある
→ 「口元を少しだけ整えたい」「目立たない矯正がいい」
3. 唇が薄くなるのを防ぐには?
逆に、「矯正で唇が薄くなるのは嫌…」とおっしゃる方もおられます。その場合は、治療によって唇の見え方に変化が起こるかどうかを事前に歯科医師と相談することが大切です。
唇の厚みを保ちたい場合は、非抜歯矯正の選択肢を検討する
シミュレーションを見ながら、仕上がりのイメージを確認する
特に、口元の印象を大きく変えたくない場合は、慎重に治療計画を立てることが重要ですね。
歯列矯正で唇の見た目が変わらない場合とは?
「矯正をすると唇の形が変わる場合があるって聞いたけど、自分の場合はどうなんだろう?」と気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。実は、歯の移動量や治療方法によって、唇の見た目が変わる場合とほとんど変わらない場合があります。
矯正治療をしても唇の見た目が大きく変わらないケースについてご説明します。
矯正で唇の見た目が変わるのはなぜ?
歯列矯正で唇の形が変わることがあるのは、歯の位置が口元のボリュームに影響を与えるからです。
- 前歯が後ろに下がると、唇も引き込まれて薄く見えることがある
- 逆に、歯が前に出ると唇が押し出されて厚く見えることも
しかし、すべての矯正治療で唇の見た目が変わるわけではありません。以下のようなケースでは、矯正をしても唇の印象がほとんど変わらないことが多いです。
唇の見た目が変わらないケース
1. 非抜歯矯正をした場合
抜歯矯正では歯を後ろに下げることが多いため、口元が変化しやすくなりますが、非抜歯矯正では歯並びを整えるだけなので、口元のボリュームはほぼ変わりません。
- 歯列の幅を広げる矯正(拡大矯正)をした場合
- 歯のデコボコを整えるだけで、前後の移動が少ない場合
このような治療では、唇の形や厚みはほとんど変わらないでしょう。
2. 奥歯の噛み合わせを調整する矯正をした場合
矯正治療は「見た目の歯並びを整える」だけでなく、「噛み合わせを改善する」ために行うこともあります。
- 奥歯の噛み合わせを調整する矯正(臼歯部の矯正)
- 歯の高さを調整する矯正
このような矯正では、前歯の位置が大きく変わらないため、唇の形に影響を与えにくいのです。
3. マウスピース矯正(インビザラインなど)で軽度の矯正をした場合
マウスピース矯正は、比較的軽度な歯並びの改善に適しているため、抜歯を伴う大きな歯の移動をすることが少ないです。
- 軽度の叢生(歯のガタガタ)を整える
- 軽いすきっ歯を治す
こうしたケースでは、前歯の移動量が少ないため、唇の厚みや形に大きな影響は出ないでしょう。
4. もともと口元の突出が少ない場合
もともと口元がそこまで前に出ていない方は、矯正をしても唇の見た目が変わりにくいです。
- もともとEラインが整っている
- 出っ歯や口ゴボの症状が軽い
このような場合は、矯正をしても唇の厚みや形に大きな変化はない可能性が高いです。
矯正治療を行っても唇の見た目が変わらない場合もあります。それは、唇そのものが分厚い方です。そのような方は、残念ながら歯列矯正を行っても治りません。どうしても気になる場合は、美容整形外科などの専門的なクリニックに通院し、唇自体に外科的治療を行う事をおすすめします。
ただ、歯並びや噛み合わせで口元の突出感(一般的に口ゴボと呼びます)があるのでしたら、矯正治療により唇が薄くなる可能性はあります。
自分で改善?唇が薄くなる方法
上記以外で自分自身で唇の厚さを改善する方法をご説明します。口呼吸が原因で唇が出て見える場合は、鼻呼吸に変えるようにしましょう。口呼吸は無意識で行いがちですので、鼻での呼吸を意識的に行うよう努力しましょう。そして、お口を閉じた際に、お口をきゅっと横に広げるイメージで口角を上げていくと魅力的な口元になります。
また、お口の周りには筋肉が多く存在します。口輪筋、口角挙筋、口角下制筋、上唇頬筋、上唇尾翼挙筋、下唇下制筋、頬筋、大頬骨筋、小頬骨筋などそれぞれに役目があります。お口の筋肉を動かすことによってお顔のリフトアップに繋がり、唇の厚さの見え方が改善する可能性があります。
まとめ

あと一つ重要な事を申し上げます。それは、患者さんご本人が気にされている程、周囲の方が唇を気にしていないという可能性もあるという事です。厚いぽってりとした唇が素敵だと思われる方もおられます。
ただ、噛み合わせが悪く咀嚼機能や顎関節に影響がある方は、早めに歯科医院への受診をおすすめします。歯並びがもともと気になっておられる方、横顔のEラインが気になる方、唇が薄く見えるようにしたい方も、一度お気軽に矯正歯科でおなあy身を相談されてみてはいかがでしょうか。