インビザラインはマウスピース型矯正装置を歯に装着して歯を動かして歯列を整えていく矯正治療です。たまに起こるトラブルに「アライナー(マウスピース)が歯にはまらない」という装着トラブルがあります。その場合はマウスピースが「浮く」という状態になっています。
目次
マウスピースが浮いてしまってはダメな理由
マウスピース矯正では、透明なマウスピース型の矯正装置を使用して歯を徐々に動かし、歯並びや咬み合わせを改善します。マウスピースが歯から浮いてしまうと問題が生じる主な理由は下記のようなものです。
1. 矯正力の低下
マウスピースがしっかりと歯にフィットしていないと、歯を動かすための適切な圧力をかけることができません。これにより、矯正治療の進行が遅れたり、期待される結果が得られなかったりする可能性があります。
2. 不快感や痛み
マウスピースが浮いてしまうと、歯や歯茎に不適切な圧力がかかり、不快感や痛みを引き起こすことがあります。これは、治療の継続を困難にし、患者の満足度を下げる原因となります。また、意図しない方向に歯が動いてしまうこともあります。
3. 摩耗や損傷のリスク
マウスピースが歯にフィットしていない場合、使用中に摩擦が増加して摩耗や損傷につながる可能性があります。これにより、作り直しが必要になったり、治療計画が遅れたりすることがあります。
4. 衛生問題
マウスピースが歯に適切にフィットしていない場合、食べ物のかすや細菌が歯の間に入り込みやすくなります。これは口腔衛生の問題を引き起こし、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。
マウスピースが歯から浮いてしまう場合は、矯正歯科医に相談し、フィットの状態を確認してもらい、新しく作成することをお勧めします。適切なフィット感は、快適で効果的な矯正治療のために非常に重要です。
浮いてる場合はどうすればはまる?
アライナーが浮いている場合は、早く歯科へ来院されることをおすすめしますが、それが難しい場合もあると思います。では、予約した次の診療日まで自分でなんとか対応したいと思われた場合、どうすればいいのでしょうか。
1.アライナー・チューイーをしっかり噛む
まず、アライナーチューイを前歯から奥歯までしっかりと噛んでください。おおよその目安としては1つの歯について5回ほど咬めると理想的です。お口全体でおおよそ5分程咬んでください。
2.アライナーの装着時間を守る
当院ではアライナーの装着時間は1日22時間を推奨しています。この装着時間が守れないと、治療計画通りに歯が動きませんので、アライナーが歯から浮いてしまうということが起こりやすくなります。出来る限り1日の装着時間を守るようにしましょう。
3.1つ前のアライナーを使用する
ご自分でできる対処法としては、1つ前のアライナーを使用するという事です。約3日程延長して装着することで、新しいアライナーが綺麗にはまることがあります。ただ、延長して装着した場合は日程のずれもありますので、次回来院の際にクリニックの担当医にその旨をお伝えください。
浮いているときは歯医者でどんな処置をするの?
マウスピースが浮いてしまった場合はリカバリー処置やアライナー作製等を行います。
リカバリー処置には、セクショナルワイヤーやゴムかけなどをします。セクショナルワイヤーとは、浮きの原因となる一部だけずれた箇所を、ワイヤー矯正するとお考え下さい。ズレている周辺にブラケットを接着し、ワイヤーを装着する方法です。
あとはゴムかけという方法で歯にボタンを接着して、ゴムをひっかけ正しい位置に歯を動かす方法です。ゴムかけで上手く誘導できれば、追加のアライナー作製をせず次の計画に進むことができます。
ただ、リカバリー処置でもまだ浮いたりずれたりした際は、クリニックで追加のアライナーを作製する必要があります。追加アライナーが届く迄の期間分、全体の矯正期間が延びることになりますが、追加アライナー作製により歯の動きを良い方向へ導くメリットがあります。
インビザラインが歯から浮いてしまう時にチェックするポイント
インビザラインのアライナーが歯から浮いてしまって、きちんとはまらない場合、治療計画通りに歯が動かない可能性があります。そして、更に次のマウスピースもきちんと歯にはまらないということも考えられます。
そのため、アライナーが歯から浮く、はまりにくい、などのはっきりとした違和感がある場合は、すぐに歯科医院に相談しましょう。場合によってはアライナーの作り直しになり、新しいアライナーが届くまでの間、矯正治療が全く進まないということにもなりかねません。
また、「1日22時間以上の装着」がしっかり守れているかもチェックしましょう。装着時間が短い場合には、歯がうまく動きませんので、次第に歯に合わなくなるということが起こります。
マウスピースの浮きの原因は?
適合不良
歯の移動が計画通りに進んでいない
矯正の計画通りに歯が移動しないと、インビザラインが合わなくなることがあります。
- アタッチメントの問題・・アタッチメント(歯に付ける小さな突起物)がしっかりと接着されていない場合、インビザラインが正しく装着されないことがあります。
使用方法の問題
- 装着時間不足・・22時間以上の装着時間を守っていないと、矯正効果が十分に発揮されず、浮きが生じることがあります。
- 不適切な装着方法・・インビザラインを正しくはめ込まず、部分的にしか装着できていない場合、浮いてしまうことがあります。
浮いていると感じる時、まず考えられる原因は、アライナーと呼ばれるマウスピースの装着時間が足りていないということです。
インビザラインでは1日22時間装着していただくのが大前提なのですが、装着時間を何日も守れないでいると、装着時間の累積が治療計画よりも減ってしまい、歯が計画通りに動かなくなることが考えられます。
インビザラインは1~2週間で次のアライナーに交換していきますが、歯が予定通り動かなければ、クリンチェック(ドクターが行う3Dソフトでの治療計画の作成)と実際の歯とのギャップはどんどん開き、アライナーが浮いてしまう、または完全にはまらなくなるということが起こります。
装着時間が短くならないように、しっかりと1日22時間以上の装着を守ることが重要です。
材質の問題
- インビザラインの変形・・熱湯や熱源に近づけたことでインビザラインが変形し、歯にフィットしなくなることがあります。
動きにくい歯がある
クリンチェックで治療計画をたてる際には、理論上の理想的な歯の動きをソフトが作り出します。しかし実際には、動きやすい歯と動きにくい歯があり、患者さんによっても歯が動きやすい方と、動くのに時間がかかる方がおられます。
実際に治療を始めてから明らかに動きにくい歯があるとわかった場合は、治療計画を見直す必要があります。
インビザラインはどれ位、歯にはまればいい?
「どれくらい歯にはまればいいの?浮いている状態はどんなもの?」と思われる方が多いと思いますのでご説明します。iteroや型取りでご自分のお口にぴったりのマウスピースを使用するのですが、治療を開始して間もない方はアライナーがうまくはまってくれない場合があります。
アライナーの交換直後に1~2mm程度の浮きであれば、次第に歯に馴染んでくるとは思いますが、アライナーを交換してから1週間以上たっているのにまだ2㎜程度浮いている場合は、すぐに医院の矯正担当医に連絡し、ご相談ください。アライナーが無理な力をかけてしまった事により破損している場合があります。
矯正医のチェックの際にアライナーを確認して浮いてしまう原因を突き止め、リカバリー処置や、アライナーの作製し直しをご提案する場合もあります。
マウスピースが歯から浮いてしまう場合に関するQ&A
マウスピースの浮きの原因は?
浮いている原因は、アライナーの装着時間が足りないことが考えられます。1日22時間以上の装着を守ることが重要です。他の原因として、動きにくい歯があることも考えられますので、早めの受診をおすすめします。
インビザラインはどれ位、歯にはまればいい?
アライナーの交換直後に1~2mm程度の浮きは正常です。しかし、1週間以上たっても2㎜程度浮いている場合は医院に相談する必要があります。
浮いてるマウスピースを自分で何とかできる?
対処する方法として、アライナー・チューイーをしっかり噛む、装着時間を守る、1つ前のアライナーを使用するなどがあります。しかし、難しい場合は医院の担当医に相談することをおすすめします。
まとめ
マウスピースが浮いた場合どのような原因が考えられるか、患者さんご自身で出来る対処、医院で行う対処等についてご説明しました。実際に治療をお考えの方に、参考になればと思います。