主に前歯だけの歯並びを治す部分矯正には、治療に適したタイミングはあるのでしょうか?ライフイベントの節目など、部分矯正のタイミングについてご説明します。
部分矯正をする主な年齢やタイミングは?
進学、就職、成人式、結婚式などの様々なライフイベントのタイミングで部分矯正を受ける方が多いので、ご説明します。
高校2年~3年生
高校卒業後の進路が決まり、大学デビュー等の新しい環境での生活に向けての準備として歯並びを治す人もいます。
20歳前後
成人式で写真を撮るにあたって歯並びをきれいにしたい人や、海外留学に行く前に歯並びを治したいという人もいます。大人の矯正治療は20代の人が最も多いです。
大学3年~4年生
就職活動に向けて、履歴書や面接での印象を良くしたいという人や、就職が決まって社会人になる前に歯並びを治したいという人もいます。
社会人2年~3年目
仕事が少し落ち着き、美容や健康にある程度自由にお金を使えるようになったタイミングで歯列矯正を検討する人も多いです。
結婚が決まった時
女性に多いのが、結婚式への準備の一つとして部分矯正をするケースです。全体的に歯を動かすと期間は2~3年もかかりますが、部分的に歯並びを治すだけなら結婚式に間に合う可能性が高いです。
出産した後
出産後、職場復帰までの家にいる間に歯並びをきれいに整えたいというニーズがあります。
子供の幼稚園受験、小学校受験
両親の面談のある幼稚園受験や小学校受験に向けて、少しでも印象を良くしたいと歯並びを整えるお母さんもいます。
30代半ば~40代
アンチエイジングや美容への関心が高まる時期で、歯並びが気になっていたけれど今まで治療するタイミングがなかった人が、歯並びの治療を始めることがあります。子供の矯正治療に合わせて矯正をするお母さんもおられます。
50代~60代
50代~60代は、歯並びが長年気になっていたので、部分的な治療で治るならやってみたいという人が始めるタイミングです。重度の歯周病にかかっていない限り治療は可能です。
全ての年代に共通して、一度矯正治療を受けたけれど、何年かたって歯並びが後戻りしたので、再治療したいというニーズがあります。後戻りの治療は全体矯正ではなく、部分矯正で可能な場合が多いです。
部分矯正と全体矯正は何が違うの?
部分矯正では、2~8本程度の限定的な歯の矯正を行いますが、全体矯正では全ての歯を動かし、噛み合わせも整えることができます。
また、部分矯正では基本的に抜歯矯正は行いませんので、歯を大きく動かすことが出来ません。そのため、治療可能なのは、軽度のすきっ歯、出っ歯(上顎前突)やガタガタ(叢生)、受け口(反対咬合)等となります。
全体矯正では抜歯矯正を行うことが多く、出っ歯や受け口を大きく引っ込めたり、八重歯を治すことも可能です。
しかし、骨格性の出っ歯や受け口の場合は、歯を動かす治療だけでは口元の突出感を失くすことができませんので、外科矯正の適用となります。
部分矯正のメリットとデメリットは?
部分矯正にはメリットとデメリットがありますので、両方を考慮してから治療を受けましょう。
メリット
- 主に前歯の気になる部分だけを治せる
- 全体矯正と比べると期間が短い
- 全体矯正と比べると費用を抑えられる
- 動かす歯が少なく大きく動かさないので痛みが少ない
デメリット
- 咬み合わせを治すことが出来ない
- 重度の不正咬合にはには対応できない
- 歯と歯の間を削ってスペースを作る場合が多い
- 歯を大きく動かせないので全体矯正と比べて仕上がりが劣る場合がある
部分矯正に適した年齢やタイミングに関するQ&A
部分矯正を検討する適した年齢やタイミングは人生の様々な段階に存在します。高校2年から3年生、20歳前後の成人式や大学進学、大学3年から4年生の就職活動時、社会人2年から3年目、結婚が決まった時、出産後、子供の幼稚園や小学校受験の際、30代半ばから40代のアンチエイジングや美容への関心が高まる時期、そして50代から60代にかけても部分矯正を検討する人がいます。特にライフイベントの節目や美容、健康への関心が高まる時期が適したタイミングとされます。
部分矯正は、限られた数の歯(通常2~8本程度)を対象に行う矯正治療です。これに対して全体矯正は、全ての歯を含む噛み合わせも整える包括的な治療を行います。部分的な治療では基本的に抜歯を行わず、軽度の不正咬合の修正に適しています。一方で全体矯正は、出っ歯や受け口の大きな修正や、抜歯矯正も含めたより複雑な治療を可能にします。
部分的に歯並びを治すメリットは、主に前歯の気になる部分だけを短期間で治療できること、全体矯正に比べて期間と費用が少ないこと、および治療範囲が狭いため痛みが少ないことがあげられます。特に、特定のライフイベントに向けて迅速に歯並びを改善したい場合や、費用と治療期間を抑えたい場合に適しています。
まとめ
部分矯正は、気になる部分(主に前歯)の歯並びを整えます。全体矯正と比べて短期間で治療が終えられることと、全体矯正よりも費用が抑えられることから、進学、就職、成人式、結婚式などライフイベントの様々なシーンでのニーズがあります。
部分矯正は軽度の不正咬合にしか適用出来ませんので、まず部分矯正が可能かどうか、歯科医院の矯正相談をお受け下さい。
歯の部分矯正に関して適切な年齢やタイミングについては、様々な要因に基づいて決定されます。
1. 成人における部分的矯正治療
成人においては、部分的な矯正治療を選択することが一般的です。総合的な3年間の矯正治療を85歳の個人に提供することは賢明ではないかもしれませんが、3ヶ月の治療を受けることで、その人の生活の質や口腔健康が改善される可能性があります【Faber, 2016】
2. 小児における早期矯正治療
小児の場合、クレフト(口唇裂・口蓋裂)を持つ患者において、早期矯正治療が歯列弓と歯槽骨の発達に与える影響については合意が得られていません。6.5歳の平均年齢で矯正治療を受けた後、9.2歳で活動的な治療を終了した28人の子どもたちを対象とした研究では、6歳未満で治療を開始したグループAは、6歳以上で治療を開始したグループBと比較して、顎間距離の増加が大きかったことが示されました【Cassi et al., 2017】
これらの研究から、歯の部分矯正治療に最適な年齢やタイミングは個人の状態や治療の目的に応じて異なることが分かります。成人の場合は短期間の部分的治療が有効であることが示唆されています。一方で、小児の場合は早期矯正治療が歯列弓と歯槽骨の発達に良い影響を与える可能性があると考えられます。