歯科矯正全般

歯列矯正に満足していますか?

歯列矯正に満足していますか?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

近年、大人の矯正患者さんが増えています。矯正治療は子どもがするものと思っておられるかもしれませんが、大人の矯正患者さんも大勢来院しておられますので、矯正治療を始めた動機や満足度などの意識調査(当グループ独自調査)の結果をご紹介します。

歯列矯正に満足していますか?(当グループ独自調査による)

アンケート

大阪矯正歯科グループでは、18歳~69歳までの歯列矯正経験のある全国の284人の男女の皆さんに対して、満足度調査を行いました。(2022年9月6日~9月13日)

「矯正して良かった」が94%

矯正して良かった

矯正して良かったと答えた方が、全体の94%でした。大人になってからの矯正治療は、目的意識がハッキリしているため、殆どの方がその目的に対して満足できる治療結果となられたようです。

矯正治療は2年程度かかる場合が多く、歯磨きや食事などにも気をつけなければなりません。そのような苦労の末にきれいな歯並びになったことに、多くの方々が満足しておられます。

矯正治療をしようと思った動機は「見た目」が85%

何を求めて矯正した

85%の方が、見た目(歯並び、口元などの外見)と答えておられます。これらのことから、歯並びや口元の印象が外見に及ぼす影響は大きいと判断出来ると思います。

大人になって矯正治療を受けようと思った動機は?

女性

実際には、大人になってから矯正治療を行った方々が矯正しようと思ったきっかけは、様々あります。そのため、専門の書籍に掲載された「大人になって矯正治療を受けようと思った動機」をご紹介します。

  • 子供の時、矯正治療を希望しなかった
  • 子供の時、矯正治療を知らなかった
  • 子供の時、近くに矯正歯科医がいなかった
  • 子供の時、矯正治療をしたが途中でやめてしまった
  • 子供の時、矯正治療をしたが後戻りした
  • 経済的に矯正歯科治療をする余裕がなかった
  • 不正咬合が他の疾患の原因になった
  • 補綴処置などの前準備として矯正が必要になった
  • 大人になってから、見た目が気になるようになった

「矯正歯科治療 歯並びコーディネーター入門書」日本成人矯正歯科学会編による

矯正治療後に満足する人と満足できない人の違いとは?

矯正治療を終えた後、満足する方とそうでない方の違いには、以下のような要素が関係しています。

満足しやすい人の特徴

事前にしっかりリサーチしている
→ 矯正方法の違いやメリット・デメリットを理解したうえで治療を受けている。

理想と現実のギャップが少ない
→ 「完璧な歯並び」を期待しすぎず、現実的な目標を持っている。

治療中の不便さを受け入れている
→ 矯正期間中の痛みや違和感も「必要な過程」として受け止めている。

後戻り防止をしっかりしている
→ 矯正後のリテーナー(保定装置)の重要性を理解し、しっかり装着している。

満足できない人の特徴

思っていた仕上がりと違う
→ 事前に治療の限界や仕上がりのシミュレーションを確認していない。

矯正中のストレスが大きすぎた
→ 口内炎ができたり、痛みに耐えられず途中で治療を諦めた。

後戻りしてしまった
→ 矯正後にリテーナーを怠り、元の歯並びに戻ってしまった。

 

矯正治療後の満足度は、事前のリサーチや期待値の調整、治療後のメンテナンスによって大きく左右されます。満足する方は、矯正の仕上がりや治療中の不便さを理解し、リテーナーの装着などケアを継続しています。

一方、満足できない方は、仕上がりの理想と現実のギャップや、治療中のストレスにより後悔しがちです。矯正を成功させるには、事前の十分なカウンセリングと、治療後の適切なケアを意識することが重要ですね。

「思ったより満足できない…」と感じる理由とは?

矯正治療後に「こんなはずじゃなかった…」と感じる理由には、以下のようなものがあります。

① 仕上がりに不満がある

  • 期待していた歯並びと異なった。
  • 噛み合わせの違和感が残っている。

 解決策
治療前に矯正医としっかり相談し、デジタルシミュレーションを活用する。

② 歯の後戻りが起きた

  • リテーナーをサボってしまった。
  • 矯正後のメンテナンスを怠ってしまった。

解決策
保定期間の重要性を理解し、リテーナーを適切に装着することが大切です。

③ 矯正治療の影響で違和感が残る

  • 歯茎が下がってしまった。
  • 顎関節に違和感を感じるようになった。

 解決策
矯正治療を受ける前に、歯茎や顎関節への影響についても確認しておくことが大切です。

矯正治療で後悔しないためのポイント

矯正治療に満足するためには、事前の準備や治療中の意識がとても重要です。

1. 事前にしっかりカウンセリングを受ける

矯正方法には、ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、さまざまな種類があります。
それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を選びましょう。

2. 治療後のメンテナンスを怠らない

矯正が終わった後は、リテーナー(保定装置)を装着することで後戻りを防ぐことができます。
矯正が終わったからといって油断せず、定期的な健診を受けることも大切です。

3. 矯正後の審美性にこだわるならホワイトニングも検討

歯並びが整った後、「もっと綺麗な見た目にしたい」と思われる方も少なくありません。ホワイトニングを併用することで、より美しい口元を手に入れることができます。

一度始めたら途中でやめにくい歯列矯正

前歯だけの部分矯正なら3~6ヶ月程度で歯並びが整う方もおられますが、歯全体を動かす矯正治療では、治療期間は2年半~3年半程度かかる方が多いです。

途中で嫌になったらやめればいい、と考えるのは早計です。全体矯正の場合、担当医の治療計画によっては、先の奥歯を後ろに動かし、その後前歯を動かしていくなど、段階を経て治療を行っていく場合があります。

そのため、途中でやめてしまうと、歯を動かしている最中なので、噛み合わせが一時的にずれてしまっている場合があり、ずれたままで噛み続けると顎骨に負担がかかって、顎関節症を起こすリスクがあります。

矯正治療を始めるにあたっては、矯正担当医が、2~3年しっかりとお付き合いの出来る信頼できる医師かどうか、ご自身との相性も含めて考慮することが大切です。

歯科医師としての経歴や実績だけでなく、患者さんご自身にとってコミュニケーションを取りやすい先生かどうかも重要なポイントになります。

まとめ

歯のキャラクター

アンケート調査により、大人になってから矯正治療を始めた方が矯正をしようと思った理由は、外見の問題が圧倒的に多いということがわかりました。

しかし、実際に治療前のカウンセリングで検査をしてみると、噛み合わせが悪かったり、噛みしめがあったり、他にも治療すべき問題がわかることもあります。

大人の場合、既に歯を失ってブリッジやインプラントをした歯がある方の場合は、一旦ブリッジを外したり、インプラントは動かないためインプラント以外の歯を動かして歯列を整えたり、治療計画に一工夫が必要になるケースもあります。

矯正治療に満足できるかどうかは、治療前の準備・治療中の意識・治療後のメンテナンスが大きく影響します。
「思っていたのと違った…」と後悔しないためにも、矯正医としっかり相談し、治療後のケアを継続することが重要です。

「歯列矯正を受けるべきか迷っている…」「矯正後の後戻りが心配…」とお思いの方も、ご安心くださいね。
しっかりと準備をすれば、矯正治療はきっと満足のいく結果をもたらしてくれるはずです。

当院では上記のような様々なケースに対応出来ますので、一度矯正相談をお受けいただくことをお勧めします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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