インビザライン

インビザラインを始めてから口臭が強くなった

インビザラインを始めてから口臭が強くなった

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

インビザラインで歯並び矯正の治療を始めてから、口臭が強くなり、口が臭うのが悩みだとおっしゃる方がおられますので、対処方法をご説明します。

インビザライン矯正を始めてから、「なんだか口臭が気になる…」という方は意外と多いです。透明なマウスピースでの矯正は見た目が自然で快適ですが、装着時間が長いため、口の中の環境が変わりやすく、それが口臭の原因になることがあります。

インビザラインで口臭が強くなった理由は?

インビザライン

インビザラインでの治療中に口臭が強くなる場合は、まず、アライナーがきれいに洗えていないことが考えられます。

1. マウスピースの中が湿度が高くなり、細菌が繁殖しやすい

インビザライン治療で歯が動いていくと、歯と歯の間に新たな隙間ができたり、歯磨きが難しくなることがあります。これが歯垢の蓄積を招き、口臭を悪化させる場合があります。

インビザラインは1日22時間以上装着するため、マウスピース内が細菌にとって快適な環境になりやすい。

    口の中はもともと多くの細菌が存在している
  • マウスピースを長時間つけることで、湿度や温度が高くなり、細菌が繁殖しやすくなる
  • これにより、口臭の原因となるガス(硫化水素やメチルメルカプタンなど)が発生する

💡 対策

  • 1日2回以上の歯磨き+フロスで口内環境を清潔に保つ
  • マウスピースを毎日洗浄し、清潔に保つ

2. 食べかすや歯垢がマウスピースの内側に溜まる

マウスピースをつけたままだと、食べかすや歯垢が外へ流れにくくなる

  • 普通の状態なら、唾液が自然に食べかすを流し、口臭を防ぐ働きをする
  • しかし、マウスピースを装着していると、唾液が行き渡りにくく、食べかすや歯垢が残りやすい
  • その結果、口臭の原因となる細菌が増殖し、悪臭を放つようになる

💡 対策

  • 食事後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着する
  • 水をこまめに飲み、口の中を乾燥させないようにする
  • デンタルフロスを使って歯と歯の間の汚れもしっかり除去する

3. マウスピース自体の汚れやニオイ

マウスピース

マウスピースは1日に合計22時間装着して、食事や歯磨きの時には外します。外したマウスピース(アライナー)はきれいに洗浄して、歯磨きも済ませてから、再度アライナーを装着します。

アライナーは専用のクリーナーなどで洗ってきれいに乾かす必要がありますが、洗浄が十分でなかったり、濡れたままケースにしまって、ケース内で雑菌が繁殖することがあります。

更に、外出先での食事や間食の後、外したマウスピースが洗えないこともあるでしょう。洗えないことがわかっているために、マウスピースをつけたままで、連続装着時間が長くなったために、マウスピースに汚れが付着して臭いの原因になることもあります。

  • 使い続けるうちに、マウスピースの表面に細菌が付着し、ヌメリや臭いが発生
  • マウスピースが汚れていると、口内の細菌が増え、口臭が悪化しやすくなる

💡 対策

  • マウスピースを毎日専用の洗浄剤で洗浄する
  • 水洗いだけでなく、超音波洗浄機を使うとより効果的
  • 歯磨き粉でマウスピースを磨くのはNG(傷がつき、細菌が繁殖しやすくなる)

4. 口の乾燥(ドライマウス)

アライナーを付けたまま時間が経つと、お口の中が乾燥しやすくなります。特にマウスピースと歯の間は唾液による潤いが不足しますので、乾燥しやすくなります。

唾液がしっかり出るように、唾液腺マッサージを行うなど、お口の中が乾燥しないようにしないと、乾燥した状態では、細菌が繁殖しやすくなります。

  • 唾液には「口内の細菌を洗い流す作用」があるため、分泌が減ると細菌が増殖し、口臭が発生しやすくなる
  • 特に、就寝中は口の中が乾燥しやすく、朝起きた時に口臭を感じることが多い

💡 対策

  • 水をこまめに飲んで口の中を潤す(1日1.5L以上が目安)
  • ガムを噛んで唾液の分泌を促す(シュガーレスがおすすめ)
  • 鼻呼吸を意識する(寝るときにマスクをつけると口の乾燥を防げる)

5. 食事後のマウスピース再装着時の臭い

食事後すぐにマウスピースを装着すると、口の中に残ったニオイがこもる

  • ニンニクやタマネギなど、ニオイの強い食べ物を食べた後、すぐにマウスピースをつけると、ニオイがこもりやすい
  • 口臭の原因がマウスピース内に閉じ込められ、長時間残ることも

💡 対策

  • 食後は必ず歯磨きをし、口内のニオイをリセットしてから装着する
  • マウスウォッシュを使うと、口臭予防に効果的
  • ニオイの強い食べ物を食べる前後は、特に歯磨きを意識する

インビザラインでの矯正中の口臭予防

口臭の原因は、マウスピースにある場合と、歯や舌の表面にある場合があります。それぞれ丁寧に洗浄することが大切です。

マウスピースの洗浄をていねいに行う

インビザライン アライナーの洗い方

マウスピースの洗い方が不十分だと、アライナーの表面に雑菌が繁殖して口臭の原因になります。マウスピースは10日前後は同じものを装着しますので、きれいに洗って汚れのない状態で使いましょう。

アライナーを外す度に洗って乾かし、次に装着するまでの間はケースで保存するのが理想です。

特に就寝中はお口の中の唾液が減ることから、お口全体に細菌が繁殖しやすい時間になります。そのため、寝る前の歯みがきとマウスピースの洗浄は特に丁寧に行いましょう。

マウスピースの清掃不足が引き起こすトラブル

マウスピースは22時間以上装着することが推奨されており、そのため毎日きれいに洗って装着することが大切です。きれいに洗えていない場合、以下のような問題が発生します。

  • 細菌の増殖
    食べ物のカスや歯垢がマウスピースに付着したままだと、細菌が繁殖し悪臭の原因となります。

  • 着色と匂いの定着
    アライナーに汚れが残ったままになると、マウスピース自体が着色したり、臭いが取れなくなったりすることがあります。

  • 虫歯や歯周病リスクの増加
    マウスピースが汚れた状態で使用を続けると、歯の表面に菌が溜まり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

清掃方法のポイント

  • マウスピースは専用の洗浄剤を使用して1日1回洗浄する。
  • 毎食後に流水で軽くすすぎ、歯磨きの後に装着する。
  • 歯ブラシや研磨剤でゴシゴシ洗わない(傷つき防止)。

歯磨きをしっかり行って汚れを取る

歯磨き

歯磨きはお口の中の環境を良くするために、一番気をつけなければならないことです。歯ブラシだけではお口全体の汚れの6割くらいしか落とせないといわれていますので、デンタルフロスや歯間ブラシも使って、鏡を見ながらきれいに歯垢を落としましょう。

歯石が出来てしまうと、歯磨きではもう落とせませんので、年に数回は歯科医院の定期健診を受けてクリーニングしてもらいましょう。

唾液を増やすようにする

唾液によってお口の中が適度に潤っていると、唾液の持つ洗浄作用や抗菌作用によってお口の中での細菌の繁殖をある程度食い止め、同時に口臭も防ぎます。

舌を動かしたり唾液腺マッサージを行うことが、唾液を出すために効果的です。

お口の乾燥が口臭に与える影響

インビザライン装着中、お口の中が乾燥しやすくなることがあります。

  • 唾液の働きの低下 → 唾液は食べ物の分解や細菌の抑制に寄与していますが、マウスピースが唾液の流れを遮断することで、その効果が弱まります。
  • 舌苔の増加 → 乾燥状態では舌の表面に汚れ(舌苔)が溜まりやすくなります。舌苔は口臭の主な原因の一つです。

対策として

  1. 水分をこまめに摂取する。
  2. マウスピースを外した際に舌ブラシで舌を清掃する。
  3. 必要に応じて口腔内保湿剤を使用する。

まとめ

マウスピース

インビザラインで治療を始めてから口臭が強くなった場合に、主に考えられる原因と、対処方法についてご説明しました。アライナーは取り外した時に水と洗剤できれいに洗って乾かし、歯磨きも行ってから再度装着する必要があります。

  •  毎日の歯磨き+フロスを徹底し、食べかすを残さない
     
  • マウスピースを毎日洗浄し、清潔な状態を維持する
     
  • 水をこまめに飲み、口の中を乾燥させない
     
  • 食後はすぐにマウスピースを装着せず、しっかり口を清潔にする
     
  • 鼻呼吸を意識し、唾液の分泌を促す
     
  • ニオイの強い食べ物を食べた後は、しっかり歯を磨いてから装着する

 

マウスピースと歯の両方をきれいに洗浄して、唾液を出すように気をつければ、口臭はかなり減ると思われます。もし口臭が気になっている方は、これらの対策を試してみてくださいね!

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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