矯正治療でお顔の輪郭は変わるのでしょうか？ 矯正によってお顔の輪郭が変わりやすい顔立ちやフェイスラインの関係についてご説明します。
目次
歯列矯正でフェイスラインがすっきりする可能性
歯列矯正は歯並びや噛み合わせを改善させるための治療で、歯に装置をつけて歯に力をかけて少しずつ動かして見た目や噛み合わせを整えていきます。そのため、美容整形のように顔の形そのものを変える治療ではありません。
しかし、特に抜歯矯正を行った方の場合、歯の本数が減って歯列が小さくなるため、ややお顔のラインがすっきりするということはあり得ます。また、噛み合わせが整ってしっかり噛めるようになることで、お口周りの筋肉が鍛えられてフェイスラインがシャープになるということは大いに期待出来ます。
矯正でフェイスラインがすっきりする人の特徴
歯並びや噛み合わせを整えることによってフェイスラインがすっきりする人にはどのような特徴があるのでしょうか？
1.顎のラインが角ばっている人
フェイスラインにあまり丸みがなく、顎のあたりが角ばっている方は、抜歯矯正によって自然にフェイスラインに丸みが出て、すっきりしたフェイスラインになることがあります。
2.エラが張っている人
エラが張る原因は、「エラの部分の骨格が突出している」場合と、「噛むときに使う咬筋が発達し過ぎている」場合があります。矯正でエラが目立たなくなる可能性のあるのは、後者の場合です。
食べものを噛むときに左右どちらかの片寄った側でばかり噛む癖があったり、片方の奥歯で歯ぎしりをしたり、食いしばる癖がある場合は、左右の筋肉のバランスが悪くなり、エラが張ってしまう方がおられます。
噛み合わせを整えると、歯を左右均等に使って噛むことが出来るようになり、過剰な筋肉がなくなってすっきりしたフェイスラインになる可能性があります。
エラの原因が歯ぎしりや食いしばり等の癖にある方は、癖をやめることが大切です。また、エラの原因が骨格にある方は、矯正治療だけで改善するのは難しいでしょう。
3.お顔の下半分だけがふっくらとしている人
お顔を上下に分けて見た時に、上半分に比べて下半分だけがふっくらとしている下膨れの方は、抜歯矯正でフェイスラインがすっきりする可能性があります。
歯並びや噛み合わせを整えるとフェイスラインが変わる可能性がある
歯列矯正は歯並びを良くして、噛み合わせを改善する目的で行われますが、治療後にフェイスラインがすっきりとされた方もおられます。
しかし、矯正治療が直接的に小顔に繋がるわけではありませんので、そもそも小顔を目的として治療ではありませんので、その点はご注意ください。
- 抜歯矯正による
- 親知らずの抜歯による
1.抜歯矯正による
矯正で抜歯が必要なのは、歯を動かすためのスペースが足りない場合です。出っ歯や受け口などの不正咬合を治すと、歯列の突出がなくなって口元のラインがすっきりと見えるようになることがあります。
また、抜歯によって歯槽骨が痩せて減ってしまいますので、その分だけお顔が小さく見えることもあります。
2.親知らずの抜歯による
矯正治療を始める前に、親知らずを抜歯する場合があります。親知らずが生えてくる時には、他の歯を押して生えてくるため、歯並びが悪くなる原因になります。
また、親知らずが斜めに生えている等の、親知らずの生え方が理由で親知らずを抜歯する場合もあります。
親知らずを抜くと、歯を支えていた顎骨が少しずつ痩せてなくなっていきます。親知らずの抜歯によって周辺の骨が痩せることが、フェイスラインをすっきりさせることに繋がることがあります。
しかし、小顔になることが目的で親知らずを抜歯することはありませんので、ご注意ください。
フェイスラインをきれいにするセットバック手術
出っ歯や受け口の方の場合で、顎骨の過成長によって口元が前に出ているケースは、歯並びだけを整えても口元の突出感が改善しないということが起こります。そのような方にお勧めしているのが、セットバック手術と呼ばれる外科手術の術式です。
セットバック手術は小臼歯を抜歯し、歯茎の骨を切断することで、顎を数ミリ後ろに下げてフェイスラインを整えます。セットバック手術などの外科矯正は、当グループ内のカトレア歯科・美容クリニックにて行っています。
▼セットバック手術についてはこちらで詳しく解説しています
歯列矯正でフェイスラインはすっきりするかに関するQ&A
はい、特に抜歯矯正を行った場合、歯の本数が減少し、歯列が小さくなるため、フェイスラインが少しすっきりする可能性があります。
歯列矯正によってフェイスラインがすっきりする傾向があるのは、顎のラインが角ばっていたり、エラが張っていたり、お顔の下半分がふっくらしている人です
歯列矯正によるフェイスラインの変化は、噛み合わせが正しくなり、筋肉が鍛えられることから一定の効果がありますが、永続的なものではなく、装置を外すと変化が維持されるかどうかは個人差があります。
まとめ
矯正治療でフェイスラインやEラインがすっきりする人の特徴や、抜歯矯正によって小顔効果があるのかどうかなどについてご説明しました。矯正治療は歯並びを整えて噛み合わせを良くするために行うもので、決して小顔目的で行うものではありません。患者さんお一人おひとりからの小顔になるかどうかというご質問にはお答えできませんので、ご了承下さい。
歯列矯正がフェイスラインに与える影響については、以下の研究が参考になります。
1. 機能的装置を用いた歯列矯正による顔面軟組織の変化
歯列矯正は、顔面の調和を達成することが成功の指標とされています。顎の後退によるII級不正咬合を持つ患者において、機能的装置を用いた治療が顔面軟組織プロファイルに及ぼす変化を調べた研究では、使用された装置によって顔面美学が改善されることが示されました。特にフレンケル機能調整装置タイプIが、顔面全体の調和を達成するために最も効果的であることが見出されました。【Stamenkovic, Raičković, & Ristič, 2015】
2. 機能的装置に続いて固定装置を用いた治療の顔面美学への影響
別の研究では、凸面プロファイルを持つII級第1部患者を対象に、機能的装置に続く固定装置を用いた治療が顔面変化に与える影響を評価しました。この研究では、治療による顔面の変化は、正常なプロファイルを持つ患者と比較して、顕著な違いは見られませんでした。【Zouloumi, Tsiouli, Psomiadis, Kolokitha, Topouzelis, & Gkantidis, 2019】
これらの研究から、歯列矯正治療は顔面軟組織プロファイルの改善に寄与することが示唆されていますが、治療による影響は個々のケースによって異なり、必ずしもすっきりしたフェイスラインが得られるとは限りません。
医療法人真摯会
