
裏側矯正の装置をつけると、滑舌が悪くなって喋りにくくなることが多いのですが、滑らかに喋れるようになるにはコツがありますので、ご説明します。
裏側矯正で発音しにくくなる音とは?

裏側矯正を始めたばかりの患者さんの中には、「喋りにくくなるのでは?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか?特にお仕事で人前で話す機会が多い方や、電話対応をする方にとっては、気になるポイントですよね。
でも、ご安心くださいね!確かに発音しづらくなる音はありますが、どの音が影響を受けやすいのかを知っておけば、対策もしやすくなります。
1. 発音しにくくなる原因とは?
裏側矯正では、歯の裏側に装置(ブラケット)が付くため、舌の動きが制限されるのが特徴です。普段は何気なく発音している音でも、舌が装置にぶつかったり、思うように動かなかったりすることで、滑舌が悪くなったように感じることがあります。
特に、舌の先や側面を使って発音する音は、影響を受けやすいです。そのため、装置を付けた直後は「うまく話せない…」と感じるかもしれません。でも、大丈夫です!最初は違和感があっても、少しずつ舌が装置に慣れてくると、発音もスムーズになっていきますよ。
2. 発音しにくくなる代表的な音
では、裏側矯正で特に発音しづらくなる音とはどのようなものなのでしょうか?以下の音は、患者さんが特に苦労しやすいと言われています。
①「サ行(さ・し・す・せ・そ)」
- 舌の先を上の歯茎に近づけることで発音するため、装置が邪魔になりやすい。
- 特に「し」「す」は、舌がブラケットに当たりやすく、空気が抜けにくくなる。
- 例:「しずかに」「すし」などの単語が言いにくく感じることも。
②「タ行(た・ち・つ・て・と)」
- 「ち」や「つ」は、舌の先を上顎(口の天井)に押し付けて発音するため、装置があると舌が正しく動かせず、発音が曖昧になることがある。
- 「つ」が「ちゅ」に聞こえたり、「ち」が「し」に近くなることも。
③「ラ行(ら・り・る・れ・ろ)」
- 舌の先を軽く丸めて発音する音なので、舌が装置にぶつかると、クリアな発音がしづらくなる。
- 「ら」が「だ」や「な」に聞こえやすくなることもある。
- 例:「ラーメン」「りんご」などが言いにくく感じる場合も。
④「ナ行(な・に・ぬ・ね・の)」
- 「ナ行」も舌の先を使って発音するため、ブラケットに当たると舌の動きが鈍くなり、ぼやけた発音になりやすい。
- 「に」が「り」に近く聞こえてしまうことがある。
⑤「ダ行(だ・ぢ・づ・で・ど)」
- 「ダ行」も「タ行」と同じく、舌の先を使って発音する音なので、違和感を覚えやすい。
- 特に「ぢ」「づ」は、日本語の中でも発音が難しい音なので、矯正装置があるとさらに話しづらくなることがある。
裏側矯正は歯の裏側に付けたブラケットとワイヤーによって舌の動きが制限されるため、その状態に慣れるまでの間は、滑舌の悪い状態になる方が多いです。
殆どの方は慣れによって話しにくさは解消しますが、特定の音の発音しづらくなります。
日本語の場合は、前歯の裏側に舌を付けたり、接近させるような動きが必要な、「サ行」「ザ行」「タ行」「ダ行」「ナ行」「ラ行」などの音が発音しにくくなります。
裏側矯正で発音しやすくするためのポイント
これらの音をスムーズに発音するためには、どうすればよいのでしょうか?簡単なコツをいくつかご紹介しますね。
ゆっくり話すことを意識する
→ 装置に慣れるまでは、速く話そうとすると舌が追いつかず、余計に発音しづらくなります。まずは、落ち着いてゆっくり話してみましょう。
発音練習をする
→ 苦手な音を含む単語を何度か繰り返し発音してみることで、徐々に舌の動きを調整できるようになります。
鏡を見ながら話してみる
→ 口の動きを確認しながら話すことで、どの音が言いにくいのかが分かりやすくなります。
舌の位置を意識する
→ 舌をできるだけ装置に当てないようにするだけでも、発音がスムーズになることがあります。
裏側矯正でどうして滑舌が悪くなるの?

元々不正咬合のために滑舌が悪い方は、歯並びの治療をすることで滑舌が改善することが多いのですが、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に付けると、滑舌が悪くなり、発音しにくくなる方が多いです。
その理由は以下のようなものです。
- 装置によって舌の動く範囲が狭くなる
- 特定の音の発音で舌が装置に当たってしまう
- 歯の隙間から息が漏れて発音が変わる
- 装置によって口全体が動かしにくくなる
裏側矯正の装置を着けた後の喋り方のコツ
裏側矯正を始めたばかりの患者さんの中には、「ちゃんと喋れるのかな?」と不安に思われる方も多いのではないでしょうか?実は、裏側矯正では装置が舌に触れるため、最初は発音しにくいことがあります。しかし、ご安心くださいね。少しコツをつかめば、スムーズに会話できるようになりますよ!
1. まずは「慣れ」が大切
装置を着けた直後は、どうしても違和感を感じるかもしれません。でも、舌の動きが慣れてくると、自然とスムーズに話せるようになります。「最初は少し喋りにくいけど、1〜2週間で慣れる」と考えて、焦らず練習していきましょう。
2. 発音しにくい音を意識する
裏側矯正をしていると、特に発音しにくいのが**「サ行」と「タ行」**です。
- サ行(さ・し・す・せ・そ) → 舌が装置に当たりやすく、空気の抜け方が変わるため、発音しにくい。
- タ行(た・ち・つ・て・と) → 舌の動きが制限され、はっきり発音しづらい。
こうした音は、意識してゆっくり発音することが大切です。最初は「滑舌が悪くなった」と感じるかもしれませんが、意識的に発音することで、徐々に改善していきます。
3. 鏡を見ながら発音練習
「自分の発音、変じゃないかな?」と気になる方は、鏡を見ながら発音練習をしてみましょう。
- ゆっくりはっきり話す
- 舌を意識的に動かしてみる
- 口の開け方を確認する
この練習をすると、どの音が言いにくいかが分かりやすくなります。特に「サ行」「タ行」は、最初はオーバーに発音するよう意識すると、スムーズに話せるようになります。
4. 読み上げ練習で舌を鍛える
「舌が思うように動かない…」と感じる方は、簡単な文章を声に出して読む練習をしてみましょう。
- 新聞や本の一節を音読する
- アナウンサーの発声練習を試してみる
- 早口言葉に挑戦する(無理のない範囲で!)
こうした練習を続けることで、舌が装置に慣れ、より自然に発音できるようになります。
5. 「舌の位置」を意識する
裏側矯正では、舌の位置を正しく保つことも重要なポイントです。
- 舌先を上顎(口の天井部分)につけるようにする
- できるだけ装置に強く当てないようにする
- ゆっくり話すことで、舌の動きをコントロールする
普段の発音で、舌を正しく使う意識を持つことで、違和感が軽減しやすくなります。
6. 慣れるまでは「ゆっくり・はっきり」を意識
矯正装置を着けてすぐの時期は、どうしても滑舌が悪くなりがち。でも、無理に速く話そうとせず、「ゆっくり・はっきり」話すことを意識しましょう。特に、電話での会話や人前で話す時は、意識的にゆっくり話すことで、聞き取りやすくなります。
喋りにくさ解消のためのトレーニングとは?
舌のトレーニング
装置によって話しにくい状態を解消するには、舌が動きやすくなるようにトレーニングするという方法があります。
- あいうべ体操・・口呼吸の改善のためのトレーニングとして知られていますが、口元の筋肉が鍛えられるため、滑舌を改善するためにも一定の効果がみられます。
・「あ~」「い~」「う~」「べ~」と口を大きく動かして「べ~」の時には舌を思い切り下方向に伸ばすのを、ゆっくりと繰り返すだけです。声を出しても出さなくても効果があります。 - ガムを使ったトレーニング・・これも口呼吸の改善のためのトレーニングとして取り入れられているものですが、舌の筋肉を鍛えることが出来ます。
・ガムを噛んで軟かくしてから、舌を使って丸くまとめ、上顎全体にはりつけて、舌でガムを後ろに伸ばしていきます。

発声のトレーニング
- 早口言葉
- 母音のみで言葉を話す
母音のみで言葉を話すと、口をしっかり動かす必要があります。しっかりと声を出すには、腹式呼吸がおすすめです。

裏側矯正ってどんな装置をつけるの?

裏側矯正は、舌側矯正、リンガル矯正とも呼ばれ、歯の裏側に装置を付けます。外からは装置が見えないので、職業柄、目立つ装置をつけられない方や、他人から矯正しているとわかるのが嫌な方などにおすすめです。
まとめ

裏側矯正の装置を着けた後は、最初は少し話しにくく感じるかもしれません。でも、次のポイントを押さえれば、徐々にスムーズに話せるようになります。
- 最初の1〜2週間で慣れてくる
- 「サ行」「タ行」が発音しにくいので意識的に練習
- 鏡を見ながら発音をチェック
- 音読や発声練習で舌を鍛える
- 舌の正しい位置を意識する
- ゆっくり・はっきり話すことを心がける
「ちゃんと喋れるようになるかな…」と心配な患者さんも、焦らず少しずつ慣れていけば大丈夫です。意外と短期間でスムーズに話せるようになりますので、ご安心くださいね。
裏側矯正は歯の裏側にワイヤー、ブラケットを付けるため、舌の動きが制限されて発音がしにくくなります。喋りにくさは慣れとトレーニングなどで改善されますが、人と話すことの多い営業職や教師、アナウンサー、セミナー講師などの職業の方は、装置によって話し方に影響が出ますので、事前に担当医にご相談下さい。