出っ歯ではないのに口元が前に出ている口ゴボのお悩みの方がおられます。これは上顎、下顎の骨格が前に出ていることが原因と考えられます。出っ歯じゃないのに口が出ている場合の治療についてご説明します。
目次
出っ歯じゃないのに口元が出てるとはどういう状態？
上顎の骨格が前に出ている場合、出っ歯ではないのに出っ歯に見えてしまうということが起こります。口ゴボとも呼ばれ、横顔のラインを見ると、口元だけが前に出ている状態になっています。
これには2つのタイプがあります。
- 上顎の骨格の過成長により上顎が大きい場合
- 下顎が引っ込んでいるせいで上顎が出ているように見えてしまう
どちらも骨格が原因で横顔のシルエットが出っ歯のように見えます。しかし、歯自体は前に出ているわけではないという場合があり、矯正治療をしても出っ歯のように見えるのは治りません。
この状態を治すためには、外科矯正の手術で骨格の形を変える必要があります。
出っ歯じゃないのに上顎が前に出てしまう原因は？
出っ歯ではないのに骨格のせいで口元が出っ張っている場合、どのような原因が考えられるのでしょうか？
考えられる原因はいくつかありますが、一番多いのは、「遺伝」です。遺伝と言ってもその内容は様々で、上顎が大きい、または前方に出ている骨格の場合や、噛み合わせの深い過蓋咬合になっている場合など、様々です。
子供時代の指しゃぶりや、口呼吸、舌で前歯を押す癖などによって上顎が過成長したり、下顎が小さい場合もあります。
骨格が原因の口ゴボは外科手術の対象になる
出っ歯ではないのに上顎、または上下顎の骨格が前に出ている方は、歯の角度などには問題がないため、殆どのケースでセットバックという外科手術の適用となります。
- 上顎の骨格の過成長により上顎が大きい場合→セットバック手術
- 下顎が引っ込んでいるせいで上顎が出ているように見えてしまう場合→オトガイ形成手術
セットバック手術とは？
骨格が原因の場合は、歯の移動では治りませんので、セットバックと呼ばれる外科手術の対象となります。
当院で行っているセットバック手術は、全身麻酔で行いますが、日帰り手術で入院なしで受けることが出来ます。
まず、小臼歯を抜歯して、その歯茎も骨ごと切り取ります。切り取った分だけ顎を後ろに下げると、その分だけ口が引っ込みます。
▼セットバック手術についてはこちらで詳しく解説しています。
セットバック整形でどのぐらい口ゴボが治るか？
癖のある方はそれを治すトレーニングを行いましょう
指しゃぶりや口呼吸などの癖によって口ゴボが起こっていると考えられる場合は、まず癖を治すトレーニングをしましょう。
1. 指しゃぶり中はずっと前歯を押している
子供の歯は動きやすいので、子供時代に指しゃぶりの癖があると、ずっと指で前歯と上顎を前方に押し続けている状態になり、出っ歯や上顎の骨の過成長に繋がり、口ゴボになる可能性があります。
2. 口呼吸の方：舌の位置は正しいですか？
口呼吸になっている方は、舌の位置が下がっている場合が多いため、上顎のスポットに舌先が当たっているかどうかを確かめましょう。
舌がすぐに下に落ちてしまう方は、舌全体を持ち上げてお口の中の天井に押し当てることを繰り返します。
3. あいうべ体操でお口周りの筋肉を鍛えよう
あいうべ体操は、主に口呼吸の方のための筋肉トレーニングです。口呼吸の方は、お口の周りの筋肉があまり使われておらず、力が弱いので、それらを鍛えるために行います。
あいうべ体操のやり方は簡単で、「あ～い～う～べ～」と、ゆっくりとお口や舌を大きく動かしながら、繰り返します。大きく動かすことで、周囲の筋肉を鍛えることが出来ます。
出っ歯じゃないのに口が出ているに関するQ&A
顔を見ると口元が前に出ている状態を指します。出っ歯や受け口の場合もありますが、歯列だけでなく上顎と下顎の骨格が前に出ているため、口が突き出ているように見える状態です。下顎の劣成長で下顎が引っ込んでいる場合もあります。
あいうべ体操は口呼吸の人の口ゴボ改善に補助的に役立ちます。この体操は口周りの筋肉を鍛えるために行われ、筋力の弱さを補う助けになります。
口ゴボが骨格の問題に起因しており歯の角度などに大きな問題がない場合は、セットバックと呼ばれる外科手術が必要です。この手術では、上下顎の骨を後ろに下げて口を引っ込めることが行われます。手術は全身麻酔で行い、当院では日帰り手術として行われます。
まとめ
出っ歯ではないのに口ゴボの状態になっている方の多くは、骨格が原因ですので、セットバックと呼ばれる外科手術の対象になります。
セットバック手術は保険適用にはならず、自費診療です。当院ではセットバック手術を全身麻酔で、日帰りの手術でお受けいただくことが出来ますので、ご興味のある方は、ぜひ一度無料のカウンセリングをお受け下さい。
出っ歯でないにも関わらず口元が出ている状態に関する特定の論文は見つかりませんでしたが、関連する研究を2件ご紹介します。
1. 二顎性歯槽突出の症例におけるミニスクリューインプラントの効果
この研究では、二顎性歯槽突出（上顎と下顎が突出した歯）と唇の突出を持つ21歳の女性の症例が報告されています。この患者は、4本の第一大臼歯の抜歯と、抜歯スペースを利用して顔面の凸状態を減少させる治療が行われました。治療にはミニインプラントが使用され、前歯の後退と顔面の美容面での改善が達成されました。この症例では、歯の突出と唇の突出が顕著に改善されたことが示されています。 [Belchandan et al., 2016]
2. 二顎性突出の骨格的・矯正的治療の組み合わせによる症例報告
この症例報告では、二顎性突出（上顎と下顎の骨格が前方に突出している状態）を持つ女性患者の治療が紹介されています。この患者は凸型の顔貌、前方開咬、唇の不全状態を持ち、顎の相対的な欠如と過活動なmentalis筋が認められました。治療では、外科手術と矯正治療を組み合わせたアプローチが取られ、治療期間7ヶ月で顔貌と前歯の咬合に顕著な改善が達成されました。 [Padhiary et al., 2021]
これらの研究に基づくと、歯の突出がなくても唇の突出がある場合、それは歯槽突出や骨格的な問題に起因する可能性があります。このような症例では、矯正治療や外科手術により顔面のプロファイルや唇の突出を改善することが可能です。
医療法人真摯会
