
出っ歯の原因は様々ですが、そのうちのいくつかは子供時代の癖でなってしまったということがあります。また、遺伝や顎の発育の仕方によって出っ歯になってしまうこともあります。どのような癖がある場合になりやすいのかについてご説明します。
出っ歯とは?どうして起こるの?
出っ歯とは、上の前歯が前方に突き出た状態のことを指します。専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれ、
- 遺伝的な要因
- 顎の成長バランスの乱れ
- 口腔習癖(こうくうしゅうへき=日常の無意識な癖)
などが関係しています。特に、子供の頃の癖が長期間続くと、顎の成長に影響を及ぼし、結果として出っ歯になってしまうことがあるのです。
出っ歯になりやすい子供の癖とは?
1. 指しゃぶりの癖

「子供の指しゃぶりは可愛らしい」と思われるかもしれませんが、長期間続くと出っ歯の原因になります。
- 指をくわえることで、上の前歯が押し出される
- 下の顎の成長が抑えられ、上顎とのバランスが崩れる
- 噛み合わせがズレる
特に3歳以降も指しゃぶりが続く場合は、歯並びに影響を与える可能性が高くなります。
長時間指しゃぶりをする癖がある子供は、指を口で吸う力で上の前歯が前に押されて前突になってしまうことがあります。3歳以降も長時間指しゃぶりをしている場合は、出っ歯になりやすいです。
指しゃぶりの癖がある場合は、矯正治療で歯並びを治したとしても、出っ歯の原因である指しゃぶりの癖が治っていないため、また出っ歯になってしまう場合があります。
2. 口呼吸
お口がポカンと開いているお子さん、いませんか?口呼吸の習慣があると、次のような問題を引き起こします。
- 舌の位置が下がり、上顎の発育が促されにくくなる
- 口の周りの筋肉が弱くなり、歯並びが乱れやすくなる
- 乾燥した口内環境により、むし歯や歯周病のリスクが上がる
鼻炎やアレルギーなどで鼻呼吸がしづらい場合は、耳鼻科の診察を受けることも検討しましょう。
3. 舌で前歯の裏側を押す癖
舌で前歯の裏を押し続ける癖がある場合も、指しゃぶりと同じように出っ歯を引き起こす可能性があります。癖を治さない限り、矯正治療で歯並びを治したとしても、また前歯が前突してくる場合があります。
舌の正しい位置はスポットと呼ばれ、前歯の歯茎のやや内側で、舌は歯に触れません。無意識の状態でも舌が正しい位置にあるように、訓練しましょう。

4. 爪を噛む癖
- 下唇を噛む癖 → 上の前歯が前に傾く
- 頬杖をつく癖 → 顎の形が歪み、歯並びがズレる
こうした癖も積み重なることで、歯列不正につながる可能性があります。
指しゃぶりをやめた後、爪を噛むようになる子供がいます。子供だけでなく大人にも爪を噛む癖がある場合がありますが、出っ歯になる(受け口になる場合もある)、前歯の先端が擦り減るなどの悪影響があるため、癖をやめるようにしましょう。
5. 舌を前に突き出す癖
食べ物を飲み込む時、舌を前に押し出す癖があると、前歯に余計な圧力がかかります。その結果、
- 上の前歯が前に押し出される
- 噛み合わせが悪くなり、発音や咀嚼に影響する
無意識に行っている場合が多いため、親御さんが気づきにくいこともあります。
舌を前に突き出す癖がある場合は、出っ歯になりやすいと共に、奥歯を噛んだ時に前歯の上下が開いてしまう「開咬」や、噛み合わせがねじれている「交叉咬合」にもなりやすく、歯並びを乱す原因になります。
子供の癖を改善するためのポイント
「うちの子もこの癖があるかも…」と心配になった方もご安心くださいね。早めに対策を取れば、歯並びへの影響を最小限に抑えられます。
1. 指しゃぶりをやめさせるには?
- 指に絆創膏を巻く、指しゃぶり防止用の塗り薬を使う
- 寝る時に手を握ってあげる
- 代わりの安心できる習慣(ぬいぐるみを抱くなど)を作る
2. 口呼吸の改善方法
- 鼻呼吸を意識させる(「お鼻で吸ってごらん」と声掛け)
- 口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」を行う
- アレルギーや鼻炎がある場合は、医師の診察を受ける
3. 舌の正しい使い方を意識させる
- 食べ物を飲み込む時に「舌を上顎につけて飲む」練習をする
- 舌のトレーニングを行う(舌の先を上顎につける運動)
- 口腔筋機能療法(MFT)を歯科で受ける
4. その他の悪習慣を直す
- 頬杖をつかないようにする
- 唇を噛まないよう注意する
- 姿勢を正しく保つ(猫背も歯並びに影響します)
出っ歯の原因には、子供の頃の何気ない癖が深く関係していることがありますので、親御さんは注意深く子供の仕草を見てみましょう。
- 指しゃぶり・口呼吸・舌突出癖・唇を噛む・頬杖 などの習慣は、出っ歯を引き起こす可能性がある
- 3歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合は注意が必要
- 口呼吸や舌の使い方は、意識的に改善することで予防が可能
- 早めの対策で、歯並びの悪化を防ぐことができる
子供の歯並びを守るために、まずは日常の癖をチェックしてみましょう。「もしかして、歯並びを悪くする癖があるかも?」と思われた方は、一度歯科医院で相談してみるのも良いかもしれませんね。
出っ歯になるその他の原因は?

出っ歯になる原因はいくつかありますが、子供時代の癖以外の原因を4つご説明します。
- 前歯が前に突き出している
- 上顎の過成長による
- 上の前歯が出ていて下顎が引っ込んでいる
- 親からの遺伝
1.前歯が前に突き出ている
前歯の角度が前方に突き出ているように傾いているために出っ歯になっているものです。歯列矯正で歯の角度を変えることで改善します。
2.上顎の過成長による
上顎が下顎と比べて大きく成長しており、上顎の骨格から前に出ていて出っ歯になっているケースです。歯の向きを変えただけでは、口元の突出感がなくなりませんので、外科手術を行うことで口元を下げることが出来ます。
3.上の前歯が出ていて下顎が引っ込んでいる

日本人は下顎が十分に成長しておらず、上顎に比べて下顎が引っ込んでいる方が多く、相対的に前歯が前に出て出っ歯に見えるタイプの方がおられます。
大人の方の場合は、下顎を前に移動させる外科手術を行うことで、上顎と下顎のバランスを取って、出っ歯に見えないようにします。
4.親からの遺伝

親が出っ歯の場合は、子供に遺伝することがあります。両親のどちらかが前歯の前突の特徴がある場合は、子供が成長期のうちに矯正で出っ歯を治すことをお勧めします。小児矯正の場合は、成長を利用して矯正治療が行えるため、顎を縦横に拡大することが可能です。
出っ歯とは?

出っ歯は上の前歯が歯列から前に飛び出している状態のことをいい、上顎前突とも呼ばれます。
特徴としては、横から見た時に下の歯の先端が上の歯の裏側に当たっていない状態で、口が閉まりにくいために口呼吸になっている方もおられます。
また、上の歯が前に出ていなくても、下顎が発達していなくて引っ込んでいるために、相対的に前歯が出ているように見える方もおられます。
まとめ

子供の時の癖が原因で出っ歯になる方が一定数おられますので、どのような癖が前突に繋がるかについてご説明しました。また、癖以外の出っ歯の原因も様々あります。出っ歯に気づいたら、出来るだけ小児矯正での早めの治療をおすすめします。