歯科矯正全般

出っ歯のせいでいびき?口が開く原因は出っ歯?

出っ歯のせいでいびき?口が開く原因は出っ歯?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

いびきと出っ歯は関係があるのでしょうか? 前歯が出ているために、寝ているときに口が開いてしまい、いびきをかく方がおられます。対処方法はあるのか、ご説明します。

出っ歯の人はいびきをかきやすい?その理由とは?

出っ歯とは、上の前歯が前に突出している状態のことを指します。この状態がいびきを引き起こす原因になる理由として、以下の点が挙げられます。

口が閉じにくくなる

出っ歯の方は、前歯が前方に傾いているため、自然に口が開きやすくなります。無意識のうちに口呼吸になってしまい、いびきをかきやすくなるのです。

舌の位置が下がる

正常な歯並びの人は、舌が上顎にしっかりとついた状態を保つことができます。しかし、出っ歯の方は口が開くことで舌の位置が低下し、気道が狭くなりやすくなります。その結果、気道を塞ぐように舌が落ち込み、いびきにつながることがあります。

顎の後退(後方位咬合)

出っ歯の方は、顎の成長バランスが崩れていることが多く、下顎が後退しているケースもあります。この状態だと、舌が喉側に押し込まれる形になり、睡眠時に気道が狭くなっていびきを引き起こしやすくなります。

口が開くのは出っ歯のせい?他の原因は?

出っ歯以外にも、口が開きやすくなる原因はいくつかあります。

1. 口呼吸の習慣

幼少期から口呼吸の癖があると、口周りの筋肉が正しく発達せず、無意識のうちに口が開きやすくなります。口呼吸の習慣がある方は、出っ歯でなくても口が開くことが多いです。

2. 口周りの筋力の低下

口を閉じるためには、口輪筋や舌の筋力が必要です。これらの筋肉が弱いと、意識しないと口を閉じるのが難しくなります。特に、高齢の方や普段から柔らかい食べ物を好む方は、口周りの筋肉が衰えやすくなります。

3. アレルギー性鼻炎などの鼻づまり

鼻が詰まっていると、自然と口で呼吸をするようになります。慢性的な鼻づまりがある方は、口呼吸の習慣がつきやすく、結果として口が開いたままになりがちです。

出っ歯によるいびきを改善する方法

出っ歯が原因でいびきをかいている場合、次のような方法で改善が期待できます。

1. 矯正治療で歯並びを整える

出っ歯を根本的に改善するには、やはり矯正治療が有効です。矯正治療により前歯の位置を正しく整えることで、口が閉じやすくなり、口呼吸の改善につながります。最近では、インビザラインなどのマウスピース矯正も選択肢の一つとして人気がありますね。

2. 口周りの筋肉を鍛える

口輪筋や舌の筋力を鍛えることで、口が開きにくくなります。例えば、以下のようなトレーニングを取り入れてみるのもおすすめです。

  • あいうべ体操 「あ・い・う・べ」と大きく口を動かす体操で、口輪筋や舌の筋力を鍛えます。
  • 舌押しトレーニング 舌を上顎に押し付ける動きを繰り返すことで、舌の位置を正しく保つ筋力を鍛えます。

3. 鼻呼吸を意識する

鼻呼吸を習慣化することで、口呼吸のクセを改善できます。鼻が詰まりやすい方は、鼻うがいやアレルギー対策を行うことも重要です。

4. 寝る姿勢を工夫する

仰向けで寝ると舌が喉に落ち込みやすくなります。いびきがひどい場合は、横向きで寝る習慣をつけると改善しやすいです。

改善方法のまとめ

出っ歯があると、口が開きやすくなり、その結果いびきを引き起こす可能性が高くなります。

出っ歯がいびきの原因になる理由

  • 口が閉じにくい
  • 舌の位置が下がる
  • 下顎が後退し気道が狭くなる

出っ歯以外にも口が開く原因がある

  • 口呼吸の習慣
  • 口周りの筋力低下
  • 鼻づまり

改善方法

  • 矯正治療で歯並びを整える
  • 口周りの筋肉を鍛える
  • 鼻呼吸を意識する
  • 寝る姿勢を工夫する

「いびきが気になるけれど、出っ歯が関係しているの?」とお悩みの方は、一度歯科医院で相談してみるのも良いかもしれません。矯正治療や生活習慣の改善で、いびきを軽減できる可能性がありますよ。

矯正治療はいびき対策になる?

「いびきが気になるけれど、もしかして矯正治療で改善できるの?」とお思いの方もおられるかもしれません。実は、歯並びや噛み合わせの問題が原因でいびきをかいている場合、矯正治療がいびきの改善につながることがあります

では、なぜ矯正治療がいびき対策になるのでしょうか?その仕組みや効果についてご説明します。

いびきの原因とは?矯正治療で改善するの?

いびきは、主に睡眠時に空気の通り道(気道)が狭くなることで発生します。気道が狭まる原因はいくつかありますが、歯並びや顎の位置が影響しているケースも少なくありません。

矯正治療がいびきに関係する理由として、以下のようなポイントが挙げられます。

1. 出っ歯や受け口による気道の狭まり

出っ歯(上顎前突)の場合

上の前歯が前に出ていると、自然に口が開きやすくなります。その結果、口呼吸になり、舌が下がって気道が狭くなりやすくなるのです。

受け口(下顎前突)の場合

下顎が前に出ていると、舌の位置が通常よりも後ろに押し込まれやすくなります。その結果、舌が喉の方へ落ち込み、いびきをかきやすくなることがあります。

2. 顎の後退(小顎症)による気道の閉塞

顎が小さく後退している(下顎後退)の方は、気道が狭くなりやすく、いびきを引き起こしやすい状態になっています。これは、下顎の位置が後ろにあるため、舌の根元が気道を塞ぎやすくなるためです。

特に、「顎が小さい」「顎が後ろに下がっている」と感じる方は、矯正治療によって顎の位置を適正にすることで、気道が広がり、いびきの改善につながることがあります。

3. 歯並びの乱れによる舌の位置のズレ

歯並びが悪いと、舌の正しい位置(上顎に密着している状態)を維持しにくくなります。舌が後方に落ち込むことで、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなってしまいます。

矯正治療で歯並びを整えることで、舌の位置が改善し、いびきを防ぐ効果が期待できるのです。

矯正治療でいびきが改善するメカニズム

「では、矯正治療をすると、どうしていびきが改善するの?」と疑問に思われるかもしれませんね。具体的に、矯正治療がいびきにどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

1. 前歯の位置を調整して口呼吸を防ぐ

矯正治療により、出っ歯や受け口を改善すると、口を閉じやすくなり、口呼吸のクセが減ることが期待できます。口を閉じて鼻呼吸がしやすくなると、気道が確保され、いびきを防ぐ効果があります。

2. 下顎の位置を適正にして気道を広げる

顎の後退が原因でいびきをかいている場合、矯正治療によって下顎の位置を前に調整することで、気道が広がり、呼吸がスムーズになります。特に、顎の成長が途中の子どもには、骨格の成長を促す治療が効果的です。

3. 舌のスペースを確保する

歯並びが乱れていると、舌の位置がずれやすくなり、結果として舌が喉側に落ち込みやすくなります。矯正治療で歯列を整えると、舌が適切な位置に収まりやすくなり、気道が確保されていびきを防ぐことができます。

どの矯正方法がいびき改善に効果的?

いびき対策として矯正治療を考える場合、どの方法が適しているのでしょうか?以下の矯正治療が、いびき改善に有効とされています。

子供の出っ歯の場合

子供の場合は、歯列を縦横に拡大させることが可能です。また、骨の成長を利用して矯正治療を行えますので、下顎が引っ込んでいる場合は下顎の発育を促進させて前方へ誘導することも出来ます。

引っ込んでいた下顎を前に出すことが出来ると、上下の顎のバランスが取れて出っ歯に見えなくなります。

口呼吸のお子さんは、舌の位置が下がっている場合が多いため、舌の位置が下がらないよう正しい位置にキープするためのマウスピースを寝ている間につけます。

大人の出っ歯の場合

出っ歯

大人の出っ歯の矯正は、抜歯を伴う矯正治療を2年くらいかけて行います。出っ歯を引っ込めることが出来たら、睡眠時にお口を閉じることが出来るようになり、いびきをかかなくなります。

大人の出っ歯の矯正に使用される治療方法は主に3つあります。

  1. ワイヤー矯正・・白いセラミックのブラケットに白いワイヤー(別料金)が可能
  2. 裏側矯正・・インコグニト
  3. マウスピース矯正・・インビザライン
矯正治療種類

中程度~重度の出っ歯の場合は、小臼歯を抜歯して2年程度矯正装置を歯につけて歯並びを治します。

いびきが起こりやすい歯並びってあるの?

いびき

いびきは気道が狭くなって起こりますので、太っている方に起こりやすいといわれています。肥満以外のいびきの原因としては、『顎が小さいこと』があげられます。

顎が小さいことがどうしていびきにつながるのでしょうか。その理由は、顎が小さいと舌を置く場所が十分にないために、舌が後ろに引っ込んでしまうことにあります。仰向けになると、下顎は重力の営業で、起きいる時よりも後ろに下がってしまうため、気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。

もう一つ、いびきの原因になるのは『出っ歯』で、出っ歯の中でも下顎が引っ込んでいる方はいびきをかきやすいです。

まとめ

歯のキャラクター

出っ歯といびきの関連性についてご説明しました。出っ歯で口が開きやすい、または口呼吸でいびきが気になる方は、一度治療をご検討下さい。出っ歯のために眠っている間にお口が開きやすい方は、歯並びを整えることで、いびきが改善される可能性が高いです。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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