
インビザラインはマウスピース矯正装置の一種で、1日に22時間の装着が必要です。食事と歯磨きの際にはアライナー(マウスピース)を外して、その後、マウスピースを洗ってから歯に再装着します。しかし、外出先などで、歯磨きが出来ない場合はマウスウォッシュで対応しても良いのでしょうか? 外出先で歯磨き出来ない場合についてご説明します。
目次
インビザライン装着中の口腔ケアの基本
インビザラインのアライナーは、1日22時間以上装着することが推奨されています。そのため、飲食後の口腔内の清潔を保つことがとても大切です。基本的なケアの流れは以下の通りです。
- 食後は必ず歯磨きをする
- アライナーを装着する前に口腔内を清潔にする
- 歯垢が溜まらないように、アライナー自体も清掃する
では、外出中に歯磨きができない場合、マウスウォッシュだけで済ませてもよいのでしょうか?
マウスウォッシュだけで大丈夫?
結論から言うと、マウスウォッシュだけでは不十分です。なぜなら、マウスウォッシュは口臭の抑制や細菌の増殖を防ぐ効果はあるものの、歯の表面に付着した歯垢や食べかすを完全に除去することはできないからです。
マウスウォッシュの主な働き
マウスウォッシュには、主に以下のような働きがあります。
1. 口臭予防
マウスウォッシュを使うと、口の中の細菌を減らし、口臭を予防することができます。
特に、朝起きたときや食後、外出前などに使用すると、すっきりした爽快感を得られます。
口臭の原因となるもの
- 口腔内の細菌の繁殖(歯垢や舌の汚れ)
- 食べかすの分解によるガスの発生
- 唾液の分泌不足による乾燥
マウスウォッシュには殺菌成分が含まれているため、細菌の増殖を抑えて、口臭の発生を防ぐ効果が期待できます。
2. 虫歯予防
フッ素入りのマウスウォッシュを使用すると、歯の表面を強化し、虫歯を予防することができます。特に、歯磨きだけでは届きにくい部分(歯と歯の間など)にもフッ素が行き渡るため、歯全体の虫歯予防に役立ちます。
ただし注意点として、マウスウォッシュだけでは、歯の表面に付着した歯垢や食べかすは落とせません。虫歯予防には、歯磨きをしっかり行ったうえで、補助的にマウスウォッシュを使うのが効果的です。
3. 歯周病予防
歯周病の主な原因は、歯垢や細菌が歯ぐきに炎症を引き起こすことです。
殺菌作用のあるマウスウォッシュを使用すると、細菌の繁殖を抑え、歯ぐきの炎症を予防する効果が期待できます。
歯周病対策におすすめの使い方
- 歯磨き後に、歯ぐきをマウスウォッシュでしっかり洗い流す
- 歯周病予防成分(グルコン酸クロルヘキシジンやCPCなど)が含まれたものを選ぶ
- 歯科医院での健診と併用する
ただし、すでに歯ぐきが腫れている場合や出血がある場合は、歯科医院での診察が必要です。マウスウォッシュだけでの改善は難しいため、早めの受診をおすすめします。
4. 口腔内の清潔を保つ
食後や外出先で歯磨きができないときにマウスウォッシュを使うと、一時的に口腔内を清潔に保つことができます。
特に、以下のようなシーンで活用すると便利です。
- 外出中や仕事の合間
- 朝起きたときの口臭対策
- 就寝前の細菌繁殖予防
ただし、マウスウォッシュは食べかすや歯垢を完全に除去できるわけではないため、できるだけ早めに歯磨きをすることが大切です。
マウスウォッシュのメリット
とはいえ、マウスウォッシュには以下のようなメリットがあります。
- 細菌の増殖を抑え、口臭を予防できる
- 水がない場所でも手軽に使用できる
- フッ素配合のものなら虫歯予防に役立つ
そのため、歯磨きができない状況では、一時的な対応としてマウスウォッシュを活用するのは良い方法と言えます。
マウスウォッシュのデメリット
一方で、マウスウォッシュには以下のようなデメリットもあります。
- 歯垢や食べかすは完全に落とせない
- アルコール成分が強いと、口腔内が乾燥しやすい
- マウスウォッシュ後すぐにアライナーを装着すると、薬剤がアライナーに付着する可能性がある
そのため、マウスウォッシュはあくまで補助的なものと考えるのがベストです。
マウスウォッシュは、お口の中の汚れを洗い流し、爽快感を味わうことが出来ますが、歯の表面や歯と歯の間の汚れを落とすことは出来ません。
マウスウォッシュの使い方は、20~30秒間お口の中に行き渡らせて、吐き出すというものです。ブラッシングの必要はありませんが、すぐに吐き出してしまうと効果が薄れますので、ゆっくりとお口の中に行き渡るようにしましょう。
マウスウォッシュにはミント、レモン、グレープフルーツ、ゆずなどのフレーバーがありますので、お好きなものを選びましょう。マウスウォッシュの味による効果の違いはほぼありません。
マウスウォッシュの正しい使い方
マウスウォッシュを効果的に使うためには、使用方法を正しく守ることが重要です。
1. 使用するタイミング
- 歯磨き後に使うのが理想的
- 外出先で歯磨きができないときの補助として使用
- 口臭が気になるときや乾燥対策として活用
2. すすぐ時間を守る
- 目安は30秒〜1分程度→ 短すぎると効果が薄く、長すぎると口腔内に負担がかかることも。
- すすいだ後は水で口をゆすがない→ フッ素配合のものは、効果を持続させるために水で洗い流さないようにしましょう。
マウスウォッシュが完全に歯磨きの代用にならない理由
インビザラインを使用している際に外出中の歯磨きに関して、マウスウォッシュだけで対応するのは一時的には可能ですが、歯磨きの完全な代替手段とはいえません。その理由と注意点は以下のようなものです。
1. プラーク除去効果の限界
マウスウォッシュは口内の細菌を殺菌し、一時的に口臭を消す効果がありますが、歯垢や食べ物のカスを除去することはできません。歯垢が残っていると虫歯や歯周病のリスクが高まります。
2. 食べ物のカスを効果的に除去できない
食後のマウスウォッシュは一部の食べ物のカスを洗い流すことができますが、歯と歯の隙間や歯と歯茎の境目に残った食べ物のカスは完全には取り除けません。これらが残ったままになると細菌の繁殖が進み、口臭の原因にもなります。
3. アライナーの内部での細菌の繁殖
インビザラインは歯に密着しているため、アライナーの内側に食べ物のカスや歯垢が残っていると、細菌が繁殖しやすくなります。これにより、虫歯や歯肉炎のリスクが高まります。
外出中におすすめの口腔ケア方法
外出先で歯磨きが難しい場合は、以下のような方法を取り入れることで、より効果的に口腔内を清潔に保つことができます。
携帯用歯ブラシを持ち歩く
- 小型の歯ブラシや折りたたみ式の歯ブラシを携帯しておくと便利です。
- 水がない場合は、ウェットティッシュタイプの歯磨きシートも活用できます。
お水でよく口をゆすぐ
- 食後にしっかり口をゆすぐことで、食べかすをある程度除去できます。
- 特にお茶や水などの糖分を含まない飲み物でゆすぐのが理想です。
マウスウォッシュを活用する
- 歯磨きができないときは、一時的にマウスウォッシュを使用すると口臭予防になります。
- フッ素入りのものを選ぶと、虫歯予防効果も期待できます。
歯間ブラシやデンタルフロスを使う
- 可能であれば、フロスや歯間ブラシを使用するとさらに効果的です。
- 特に、食べ物が詰まりやすい方はフロスを習慣にするのがおすすめです。
外食時に歯みがき出来ない時はどうする?
外食の時も、食事前にはアライナーを外す必要があります。食後は歯磨きをしてすぐにアライナーを再装着するのが理想ですが、食後には歯磨きが出来ないという場合も多いのではないでしょうか?
その場合に、歯磨きの代替案としていくつかの方法がありますので、ご紹介します。
- うがいをする
- デンタルフロスを使う
- 指磨きをする
- マウスウォッシュを使う
- ガムをかむ
インビザラインの治療中の飲食について
インビザラインを付けたままで飲食すると、色がついたり、アライナーの破損にも繋がりますので、飲食時は外します。
そして、虫歯を防ぐために、食後は歯磨きをして、アライナーもきれいに洗ってからから再度装着します。
しかし、どうしても外出先で歯磨きが出来ない時もあると思います。
まとめ

外出中に歯磨きができない場合、マウスウォッシュを活用することは有効ですが、それだけでは不十分です。可能であれば携帯用の歯ブラシやフロスを使用し、水でよく口をゆすぐことを習慣にしましょう。
- マウスウォッシュは補助的に使う
- できるだけ歯磨きをすることが最善
- 水でしっかり口をゆすぐことも大切
インビザライン矯正中の口腔ケアをしっかり行い、清潔な状態を維持することで、矯正治療を快適に進めていきましょう。ご自身に合ったケア方法を見つけて、無理なく続けることが大切です。
外食時にも、必ずアライナーは外しましょう。その後歯磨き出来ない時は、一時的にマウスウォッシュでのうがいなどで対処して、再びアライナーを歯に装着します。帰宅後はなるべく早く歯磨きをして、アライナーもきれいに洗うようにしましょう。