部分矯正

部分矯正は目立たないやり方でできる?

部分矯正は目立たないやり方でできる?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

前歯の気になる歯並び部分だけを治す部分矯正をするときに、出来るだけ目立たない矯正装置で行いたいとおっしゃる患者さんは多いです。部分矯正を目立たないやり方で行う方法についてご説明します。

部分矯正とは?

そもそも部分矯正とは、歯全体ではなく前歯など特定の部分だけを動かす矯正治療のことです。例えば、前歯の隙間や軽度の歯列の乱れを整えたい方に向いています。

メリット

  • 治療期間が短い(数ヶ月〜1年程度)
  • 費用が全体矯正よりも抑えられる
  • 歯の動かす範囲が少ないため、負担が軽い

しかし、「矯正装置が目立つのが嫌」というお悩みもありますよね。そんな方のために、目立たない方法についてご紹介します。

目立たない部分矯正の方法

部分矯正での治療方法は、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正です。部分矯正では抜歯しませんので、基本的にこれらのどの装置でも治療が可能です。

1. ワイヤー矯正

金属と白のブラケットとワイヤー

従来のワイヤー矯正でも、白いワイヤー透明なブラケットを使用すれば、目立ちにくくすることができます。
歯の色に近いため、金属の装置よりも自然な見た目になりますよ。

  • 目立ちにくさ:★★★☆☆(少し目立つが気になりにくい)
  • 治療期間:3ヶ月〜1年程度
  • 注意点
    • 金属ワイヤーに比べると強度が落ちることがある
    • 近くでよく見ると装置が分かる

「できるだけ目立ちにくくしたいけれど、コストも抑えたい」という方に向いています。

ブラケットという小さなボタンのようなものを前歯の表側に貼り付け、それにワイヤーを通して、力をかけます。

従来、ワイヤー矯正では、金属製の銀色のブラケットとワイヤーを使用し、喋ったり笑ったりするととても目立つことが大きなデメリットとなっていました。

近年では、セラミックの白いブラケットや、透明のブラケット、そして白い樹脂を巻いたワイヤーなどが主流になっており、歯にブラケットとワイヤーをつけていてもあまり目立たなくなっています。

ワイヤー矯正での前歯の部分矯正

写真のように、歯並びの治療を行う前歯にだけ矯正装置をつけます。この方の場合は前歯6本の歯並びを治療しています。

部分矯正(ホワイトワイヤー矯正)

2. 裏側矯正

裏側矯正装置

歯の裏側に矯正装置を装着する方法です。
外側からは全く見えないため、見た目の心配はありません!

  • 目立ちにくさ:★★★★★(完全に見えない)
  • 治療期間:6ヶ月〜1年程度
  • 注意点
    • 装置が舌にあたるため、慣れるまで違和感を感じることがある
    • 一般的な表側矯正よりも費用が高め

「絶対に装置を見せたくない!」という方にはピッタリの選択肢ですね。

前歯の裏側にワイヤーとブラケットをつけるのが、裏側矯正です。歯の裏側なので、他人から見えにくいのが特徴です。ワイヤー矯正よりは少し治療費が高くなりますが、出っ歯を引っ込めるのに効果的です。

3. マウスピース矯正

インビザラインアライナー

透明なマウスピースを使用するため、周りからほとんど気付かれません。
食事や歯磨きの際には取り外しができるため、日常生活の負担も少なく、人気のある方法です。

  • 目立ちにくさ:★★★★★(ほぼ気付かれない)
  • 治療期間:3ヶ月〜1年程度
  • 注意点
    • 1日20時間以上の装着が必要
    • 適応できる症例が限られる

「矯正しているのを気づかれたくない!」という患者さんには、最もおすすめの方法かもしれません。

マウスピース矯正では、透明なマウスピースを歯に装着して歯を動かしていきます。マウスピース自体が透明ですので、つけていても目立ちません。

マウスピースは食事と歯磨きの時は外して、1日22時間以上装着します。装着時間が少ないと、歯が動きにくかったり、後戻りを起こしたりします。

2週間程度で新しいマウスピースに交換して、少しずつ歯を動かしていきます。マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも痛みが少ないといわれますが、患者さんご自身でマウスピースの装着時間をしっかり守ったり、洗浄して清潔にするなどの管理をしなければなりません。

どの方法が最適?

目立たない部分矯正には、いくつかの選択肢がありますが、どれを選ぶかは患者さんの希望やお口の状態によります。以下のように選ぶと良いでしょう。

条件 おすすめの矯正方法
とにかく目立たないものがいい マウスピース矯正 / 裏側矯正
コストを抑えつつ、ある程度目立たない方法を選びたい ホワイトワイヤー・セラミックブラケット
適用範囲が広く、確実に歯を動かしたい ホワイトワイヤー・裏側矯正

患者さんのライフスタイルやご希望に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。

部分矯正と全体矯正の違い

部分矯正は、歯の一部分の気になる歯のみを動かして歯並びをきれいに整えます。全体矯正では歯全体を動かしますが、部分矯正では主に前歯2本~8本程度を動かします。

部分矯正では前歯だけを動かすので、噛み合わせを治すことは出来ません。また、重度の出っ歯やガタガタ、八重歯、受け口などは部分矯正で治療することは出来ません。

 

歯列矯正で目立たない装置が好まれる理由とは?

「歯列矯正をしたいけれど、装置が目立つのはちょっと…」
そうお考えの患者さんも多いのではないでしょうか?

実は、最近の歯列矯正では「目立たない装置」を選ぶ方がどんどん増えています。

1. 矯正中の見た目が気になる

最も多い理由が、「矯正装置が目立つのが気になる」というものです。
特に、大人の患者さんの中には、「仕事や人前に出る機会が多いから、装置が目立たない方がいい」とお考えの方が少なくありません。

例えば、

  • 接客業や営業職の方は、矯正装置が見えると気になってしまう
  • 結婚式や大事なイベントを控えている方は、できるだけ自然な見た目でいたい
  • 学生の方も、「矯正をからかわれたくない…」と心配されることがある

このように、矯正治療中の見た目は、患者さんにとってとても大切なポイントなのです。

2. 矯正治療への心理的なハードルが下がる

「矯正装置が目立たないなら、やってみようかな」と思える方も多いです。
矯正治療に興味があっても、装置の見た目が気になって一歩踏み出せないという方は意外と多いんです。

しかし、最近は

  • 透明なマウスピース矯正(インビザラインなど)
  • 歯の裏側に装着する裏側矯正
  • ホワイトワイヤーやセラミックブラケット

など、目立たない選択肢が増えています。
そのため、「これならできるかも!」と矯正を始める患者さんが増えているのです。

3. 矯正中のストレスを減らせる

矯正装置が目立つことで、周囲の目が気になったり、人と話すのが億劫になったりすることもありますよね。特に、思春期の方や接客業の方は、「矯正をしていることを知られたくない」と感じることが多いです。

目立たない装置なら、そんなストレスを減らすことができます

  • マウスピース矯正なら、ほぼ気づかれない
  • 裏側矯正なら、表からはまったく見えない
  • ホワイトワイヤー・セラミックブラケットなら、金属ワイヤーより自然に見える

「矯正していることを気にせず、普段通り過ごしたい」という方にとって、大きなメリットになります。

4. SNSや写真映えを意識する人が増えている

今の時代、SNSや動画などで自分の顔を見る機会が増えています。
特に、若い世代の方は、「写真を撮るときに矯正装置が目立つのが気になる」と感じることが多いです。

最近は、成人式や結婚式などのイベント前に矯正を始める方も増えています。
「イベントの写真で矯正装置が目立ちたくない!」という理由で、目立たない矯正を選ぶ方が多いんです。

また、Zoom会議などで顔を映す機会が増えたことも、目立たない矯正の人気が高まっている理由のひとつですね。

5. 目立たない装置でも、しっかり治療できる

「目立たない装置だと、効果が落ちるのでは?」と思われるかもしれませんが、ご安心くださいね。最近の矯正技術は進化しており、見た目の負担を減らしつつ、しっかり歯を動かすことが可能です。

例えば、

  • インビザライン(マウスピース矯正)
    軽度〜中等度の不正咬合に対応し、見た目もほぼ気にならない
  • 裏側矯正
    表側矯正と同じくらいの効果を発揮しつつ、完全に目立たない
  • ホワイトワイヤー・セラミックブラケット
    表側矯正の強みを活かしながら、自然な見た目を実現

つまり、目立たない装置を選んだからといって、治療の質が下がるわけではありません。患者さんの希望に合わせた矯正治療が可能になっているのです。

まとめ

マウスピース

部分矯正でも目立たない方法は、いくつかあります。

  • 透明なマウスピース矯正(インビザライン・Go) → ほぼ気付かれない
  • 裏側矯正 → 完全に見えない
  • ホワイトワイヤー・セラミックブラケット → 目立ちにくいが、やや見えることも

「矯正したいけど、目立つのはちょっと……」という方も、ご自身に合った方法を選べば、安心して治療を進められます。
気になる方は、まずは歯科医院で相談してみてくださいね。

部分矯正の治療は受けたいけれど、目立つ装置は嫌とおっしゃる方が多く、患者さんのご希望を伺ったうえで、矯正担当医が患者さんの歯並びによって効果的な治療の出来る矯正装置をお選びします。目立たない矯正装置で部分矯正を受けたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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