歯科矯正全般

部分矯正の装置はワイヤー、ブラケット?マウスピース?どちらを選ぶ?

部分矯正をするならワイヤー?マウスピース?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯並びの治療の中でも、部分矯正は特定の歯や場所の歯並びの治療に特化した治療法です。部分的な治療を検討している方にとって、装置はワイヤー、ブラケットとマウスピースのどちらが適しているかは重要なポイントです。それぞれの特徴を比較してご説明します。

前歯の部分矯正の装置はワイヤー?マウスピース?

ワイヤー矯正・マウスピース

前歯の歯並びの治療は、下記のような装置を歯に付けて行います。

ワイヤー矯正での部分矯正

歯の表側にブラケットという小さな装置を貼り付け、ワイヤーを通します。ワイヤーをギュッと絞ることで歯に力をかけて歯を動かしていきます。八重歯や重度のガタガタなど、歯を大きく動かさなければならない場合に効率よく歯を動かせます。

部分矯正の場合は2~8本の歯を動かしますので、基本的に動かす歯にだけブラケットとワイヤーを付けます。

部分矯正(ホワイトワイヤー矯正)

歯の裏側にブラケットとワイヤーをつける場合は、裏側矯正と呼ばれます。

マウスピース型装置(インビザライン)での部分矯正

インビザラインアライナー

インビザラインは透明なマウスピースを使用し、ご自身で取り外して食事や歯磨きが出来るのがメリットです。

部分矯正の場合は主に前歯だけを動かしますが、マウスピースは全部の歯を覆う形になります。ただ、奥歯は動かないように設計してあります。

装置の比較

項目 ワイヤー矯正 マウスピース矯正
見た目 目立ちやすい 目立ちにくい
取り外し 取り外し不可 取り外し可能
治療期間 一般的に長い 比較的短い
快適さ 不快感がある場合が多い 比較的快適
メンテナンス 定期的な調整が必要 定期的な交換が必要
費用 比較的高い やや高い
適用範囲 広範囲の不正咬合に対応 軽度から中等度の不正咬合に対応
食事制限 食事制限あり 食事制限なし
口腔衛生 口腔衛生が難しい 口腔衛生が保ちやすい

部分矯正とは?

部分矯正と全顎矯正の違い

矯正治療は歯列全体を動かして歯の位置を変えることで、歯並びや咬み合わせを治します。そして、前歯の歯並びの気になる部分だけをきれいにするのが部分矯正(MTM)です。

部分矯正で歯を動かすのは前歯だけになりますので、治療期間が短く、費用も安く抑えることが可能です。しかし、部分的な治療だけでは噛み合わせを整えることは出来ません。

部分矯正で歯を動かせる範囲は、主に前歯の2本~8本程度となります。歯を少ししか動かしませんので、通常なら2年半くらいかかる治療期間を、2ヶ月~1年程度に短縮することが出来ます。

但し、部分矯正で治療が可能なのは、軽度の出っ歯や受け口、ガタガタで、重度の不正咬合には適応出来ないため、担当医の診断を受けてご相談下さい。

前歯の不正咬合ってどんな種類があるの?

前歯の気になる部分の歯並びだけを治すのが部分矯正ですが、前歯の見た目だけを治したくても、奥歯も動かさなければいけないケースもあります。

出っ歯(上顎前突)

上顎前突(出っ歯)日本人の不正咬合で多いのは、出っ歯です。前歯が前方に出っ張って口元がこんもりして見えるので、口ゴボと呼ばれる場合もあります。前歯が大きく出ていると、お口が閉じにくかったり、唾液が口から洩れやすかったりします。

お口が常に微かに開いている状態では、お口の中が乾燥しやすかったり、前歯でものを噛み切れないということもあります。

すきっ歯(正中離開)

空隙歯列(すきっ歯)上の前歯の真ん中に隙間があいているのがすきっ歯です。数か所に隙間がある場合は空隙歯列ともいいます。

前歯の中心に隙間があると、目立つことと、その隙間から息が漏れて発音に影響が出る、食べ物が詰まるなどの問題が起こります。2ミリ程度のすきっ歯は、部分矯正で比較的簡単に治ります。

受け口(下顎前突)

下顎前突(受け口)下の前歯が前に突出しているのが受け口です。滑舌が悪かったり、ものを前歯で噛み切れないなどの不具合が起こりがちです。

歯の向きだけが前に出ている場合は歯並びの治療だけでなおりますが、下顎自体が前に出ている、下顎が上顎に比べて大きい場合等は、外科手術の適用になります。

八重歯(叢生・乱ぐい歯)

叢生(八重歯)いわゆるガタガタの歯並びです。その中でも八重歯と呼ばれるのは、犬歯が生えるスペースが足りないために、左右の犬歯が前に大きく飛び出して生えているケースです。

八重歯の治療のためには、小臼歯を抜歯して歯を大きく動かさなければなりませんので、

八重歯は可愛いイメージがありますが、歯並びとしては不正咬合に含まれますし、歯が重なっているために虫歯や歯周病になりやすい、実際に飛び出た歯は位置的に噛む機能がないなど、様々なデメリットがありますので、矯正治療という観点では、不正咬合に対しては治療をおすすめします。

部分矯正をするならワイヤーかマウスピースかに関するQ&A

Q

ワイヤー矯正とマウスピース矯正、それぞれの特徴は何ですか?

A

ワイヤー矯正はブラケットとワイヤーを歯の表側に取り付けて歯を動かす方法で、力をかけて歯を効率的に移動させることができます。一方、マウスピース矯正は透明なマウスピースを使用し、自分で取り外して食事や歯磨きができる利点があります。

Q

部分矯正は主にどの歯を対象に行われるのですか?

A

部分矯正は前歯の歯並びの気になる部分だけを治療対象とします。通常、前歯の2本から8本程度を対象にし、歯列全体を治療するよりも短期間で終えることが出来ます。

Q

ワイヤー矯正の特徴とは何ですか?

A

歯の表側にブラケットとワイヤーを取り付け、歯に力をかけて歯を動かします。この方法は大きな歯の移動に適しており、八重歯や重度の出っ歯、受け口に効果的です。最近では見た目が目立たないセラミックのブラケットやワイヤーも開発されています。

まとめ

歯のキャラクター

部分矯正のための治療法として、ワイヤー矯正、マウスピース矯正があります。部分的な治療では軽度の不正咬合しか治せませんので、ご希望の方は、まず部分矯正で可能かどうかの診断をお受けください。その後、歯並びの状態によって最適な装置がワイヤーかマウスピースか、担当医と患者さんが相談して決めていくことになります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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