部分矯正では抜歯を行いませんので、歯を動かすスペースを作るために歯を僅かに削ることが多いです。これをディスキング(ストラッピング、スライス)と言います。部分矯正で歯を削ることについてご説明します。
目次
矯正治療で歯を動かすスペースを作る方法
矯正治療で歯並びをきれいにするためには、歯を動かすスペースを作る必要があります。スペースを作るには主に4つの方法があります。
- 小臼歯の抜歯を行う(抜歯矯正)
- 歯を後方に移動させる
- 歯列弓を広げて大きくする
- 前歯のエナメル質を削る(IPR、ディスキング、スライス)
部分矯正では、主に前歯だけを動かしますので、スペースを確保するために、④の「エナメル質を削る」処置を行います。これをIPR(ディスキング、スライス)と呼びます。
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矯正治療でエナメル質を削るIPR
歯を動かすためのスペースを作るのに、前歯の両側のエナメル質の部分を僅かに削る処置をIPRと呼びます。部分矯正やマウスピース矯正では良く行われる方法です。
本来は歯を削らないに越したことはないのですが、部分矯正のディスキングで歯を削るのは、最大でも0.5ミリと、歯に影響を与えないように、ごく少ない量を削ります。削るのはエナメル質のみですので、痛みはなく、麻酔の必要もありません。
IPRで歯を削ることは、抜歯したり他の歯を動かしたりせずにスペースを作れるため、部分矯正では殆どのケースでIPRを行います。
IPRで歯を削るデメリット
歯のエナメル質を削ることについては、デメリットもあります。削った断面がザラザラしているので、そこから虫歯になりやすいです。虫歯にならないよう、ディスキングの後、削った歯面が滑らかになるように削ります。
エナメル質を削る量は最大でも0.5ミリですので、通常は知覚過敏になったり、歯の寿命が短くなるということはありません。しかし、元々エナメル層が薄くなっている方の場合は、IPRを行うことで知覚過敏の症状が出る場合があります。
IPR後に歯がしみる痛みを感じたら、担当医にご相談ください。
部分矯正で歯を削ることのメリット
IPRを行って歯を削ることで、抜歯せずに歯を動かすためのスペースが作れますので、抜歯せずに治療が出来る範囲が拡がりました。抜歯を行いませんので、抜歯矯正と比べると治療期間を短縮出来ます。
部分矯正のどの段階で歯を削るのですか?
歯の重なりやガタガタが大きい場合は、治療の初めに歯を削ることがあります。重なりやガタガタが軽度の場合は、治療が少し進んでから歯を削ることが多いです。
歯を削る時は痛みがありますか?
部分矯正で歯を削るのは、エナメル質の部分だけです。しかもほんの少し削るだけですので、痛みが出ることはありません。
虫歯の治療で歯を削る時には、エナメル質の内側にある象牙質も削りますので、痛みが出る可能性があるために麻酔をします。
しかし、部分矯正のためのディスキングでは、麻酔の必要はありません。
歯を削った後の注意点について
虫歯予防のために、歯磨きの際にフッ素入りの歯磨き剤を使いましょう。歯ブラシでのブラッシングに加えて、デンタルフロスを使って歯と歯の間の歯垢を落とすことも大切です。
ワイヤー矯正や裏側矯正で固定式の矯正装置を付けている場合は、装置の周囲に歯垢や汚れがつきやすいため、丁寧にケアしましょう。
部分矯正は歯を削るのかに関するQ&A
部分矯正でスペースを作るために歯を削る際、どの程度歯を削るのですか?
部分矯正で歯を削る場合、通常はエナメル質の一部を削ります。このプロセスはディスキング(ストラッピング、スライス)と呼ばれ、歯を動かすスペースを作るために行われます。削る量は通常0.5ミリ以下で、歯にほとんど影響を与えません。
部分矯正で歯を削ることのデメリットは何ですか?
歯を削ることにはデメリットもあります。削った歯面がザラザラしており、虫歯が発生しやすくなる可能性があります。エナメル質を削る量は最大でも0.5ミリであり、知覚過敏や歯の寿命の短縮は通常は起こりませんが、元々エナメル質が薄い方の場合、知覚過敏が起こる可能性があります。
部分矯正のどの段階で歯を削るのですか?
部分矯正において、歯を削るタイミングは症状により異なります。歯の重なりや不正咬合が重度の場合、治療の初めに歯を削ることがあります。軽度の場合は、治療が進行した後に歯を削ることが一般的です。
まとめ
部分矯正では歯を削ってスペースを作って歯を動かしていくケースが多いです。IPRで歯を削る時は、エナメル質を最大で0.5ミリ削りますが、エナメル質の厚さは2.5ミリ程度ありますので、通常は歯を削ったことによる影響はありません。