裏側矯正

裏側矯正は後戻りしにくいの?

裏側矯正は後戻りするの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

矯正治療が終わってから、少しずつ歯並びが元に戻っていくことを後戻りといいます。裏側矯正には歯列の後戻りを防ぐ効果があるのでしょうか? 裏側矯正と後戻りについてご説明します。

裏側矯正は後戻りしにくいの?

前歯を裏側から押す癖のある方は、裏側矯正の装置をつけている間は、舌で前歯を押すことが出来ません。その間に舌の癖をなおすことが出来れば、治療後に舌癖による後戻りを起こさずに済みます。

出っ歯でお悩みの方の中には、舌で前歯の裏側を押す癖のある方がおられます。この癖は自分で直そうとしてもなかなか厄介で、無意識のうちに舌で絶えず前歯を押している場合もあります。

正しい舌の位置正しい舌の位置は、口を閉じている状態では、舌先は上の前歯の付け根から1cm程度離れた場所にあり、歯には触れません。

しかし、舌で前歯を押す癖があると、出っ歯の原因の一つになってしまいます。

もし、舌で歯を押す癖があれば、歯を裏側から前に押す圧力がかかり続け、せっかく矯正を行ってもまた前方に傾いて出っ歯になってしまいます。

裏側矯正は装置を歯の裏側につけるので、前歯の裏を押そうしたときに舌先に装置が当たって違和感を感じます。そのことで、歯に舌を押し当てる癖を抑制する効果が期待できます。

裏側矯正で装置を歯の裏に装着している間に、舌で歯を押す癖を緩和できれば、治療後に後戻りを起こして再び出っ歯になるリスクが減らせます。

裏側矯正で歯列矯正を行うと後戻りしにくい理由とは?

裏側矯正(舌側矯正)を検討されている方の中には、「裏側矯正の方が後戻りしにくいって本当?」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実は、裏側矯正には後戻りしにくいメリットがあると言われています。その理由について、ご説明します。

1. 舌が自然とリテーナーの役割を果たす

裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットを装着するため、矯正中から舌の動きによって歯が正しい位置を維持しやすいと言われています。矯正終了後も、舌が歯の裏に触れることで、後戻りを防ぐ一助になるのです。

2. 矯正力が歯の中心に近いため安定しやすい

歯の移動には、ブラケットの力を利用して歯を動かす必要があります。裏側矯正は、歯の中心に近い部分に力がかかるため、歯の根のコントロールがしやすく、後戻りを最小限に抑えることができるのです。

3. 舌の癖がつきにくく、正しい位置をキープ

通常の表側矯正では、矯正終了後に「舌の癖」によって歯が元の位置に戻ってしまうことがあります。しかし、裏側矯正では、矯正中から舌が正しいポジションに置かれやすく、舌の悪い癖(低位舌など)がつきにくいため、後戻りのリスクが軽減されるのです。

4. 歯の裏側は唾液の影響を受けやすい

唾液には再石灰化を促す作用があるため、裏側矯正では歯の裏側のエナメル質が強化されやすく、矯正後の歯の安定にもつながります。歯の裏側は唾液が多く循環するため、歯が健康的に保たれ、矯正後の歯並びが維持しやすいのです。

5. 裏側矯正の特性上、リテーナー(保定装置)を装着しやすい

矯正後の後戻りを防ぐためには、リテーナー(保定装置)の装着が不可欠です。裏側矯正の患者さんは、矯正中から歯の裏側に装置がついていることに慣れているため、裏側の固定式リテーナーを受け入れやすく、しっかり装着できることが後戻りしにくい理由のひとつと言えます。

 

裏側矯正は、舌の動きや矯正力のかかり方、舌癖のコントロールといった要因から、後戻りしにくい特徴があります。矯正後の歯並びをしっかり維持したい方には、非常にメリットの大きい治療法と言えるでしょう。ただし、どんな矯正方法でも、保定期間中にリテーナーを適切に使用することが大切ですので、ご自身のライフスタイルに合った方法を選ぶことをおすすめします。

目立たない矯正なら裏側矯正

 

最近の矯正装置は昔と比べてかなり目立たなくなってきていますが、職業によってはモデルやアナウンサーや接客業など、矯正装置が見えては困るという方もおられます。

職業で矯正を禁止されていなくても、人に知られずに矯正したい方もおられますので、歯の表側に付けるワイヤー矯正と比べて、裏側矯正は装置を歯の裏側につけるので、目立ちません。

裏側矯正とはどのような治療方法ですか?

裏側矯正はワイヤー矯正で使用するブラケットとワイヤーを歯の裏面につける矯正治療方法です。

装置を歯の裏面に付けるメリットは、何といっても他人から見えにくくなるということです。周囲の目が気になる方や、矯正装置が見えては困るような職業の方に向いています。

後戻りを防ぐ為のリテーナー

矯正治療できれいになった歯並びが再び元に戻ってしまうことを「後戻り」といいます。矯正治療後は後戻りの可能性が常にありますので、それを防ぐ為に「保定装置(リテーナー)」を装着します。リテーナーは治療できれいになった歯並びを維持するためには必要不可欠なものです。

リテーナーはいくつかの種類があり、固定式のものや、毎日つけ外しするものがあります。患者さん自身でつけ外しするタイプのリテーナーは、つけ忘れのないようにしないと、歯列の後戻りが起こってしまいますので、忘れないように毎日つけましょう。

後戻りを防ぐためのリテーナーの種類

可撤式リテーナー

 

歯列の後戻りを防ぐために、矯正治療が終わって装置を外した後は、リテーナー(保定装置)をつけます。リテーナーは大きく分けて「固定式」と取り外しができる「可動式」に分けられます。どちらのタイプも、歯を動かすのではなく、現在の歯列を固定するためのものですので、装着しても痛みはありません。

固定式のリテーナー

固定式のリテーナーは、前歯の裏側にワイヤーを貼り付けるタイプが多いです。歯についたままなので、つけ忘れる心配がないため、前歯の後戻りを防ぐ効果が高いのが特徴です。

一定の期間が過ぎるとワイヤーを歯から外し、取り外しの出来るタイプのリテーナーに変更するケースが多いです。

可動式のリテーナー

可動式のリテーナーは、ワイヤーとプレートで作られたものと、透明なマウスピース型のものがあります。

どちらのタイプも、食事や歯磨きのときには外します。しかし装着をさぼると歯列が後戻りしてしまいますので、装着時間を守ることが大切です。

まとめ

歯のキャラクター

裏側矯正は前歯の裏側に装置をつけますので、舌で前歯を押し出す癖があって出っ歯になっている方にとっては、前歯を押す癖を抑制する効果があります。そのため、舌癖のある方には癖を直す効果も期待出来ます。

矯正装置にはワイヤー矯正やマウスピース矯正もあり、どの装置で治療をしても、装置を外すと歯列は後戻りを起こしますので、治療終了後はリテーナーと呼ばれる保定装置をつけて、歯が動かないようにします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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