部分矯正は主に前歯の気になる部分だけの歯並びを治します。ごく一部分の歯並びが悪い方に適しており、口元の見た目の改善に効果があります。では、軽度の出っ歯は部分矯正で治るのでしょうか? 軽度の出っ歯を部分矯正で直す場合の治療についてご説明します。
目次
部分矯正で治る軽度の出っ歯とはどのくらい?
出っ歯は上の前歯が下の前歯より前に突出している不正咬合のことをいいます。
出っ歯の診断の基準とは?
上の前歯が出ていると気にされている方は多いのですが、上の前歯は下の前歯よりも2~3ミリ前に出ている方が多く、3ミリ以内であれば出っ歯とは診断されません。
4ミリ以上前に出ていると出っ歯と診断されます。部分矯正で治せるのは、ごく軽度の出っ歯のみです。
歯だけが前に出ている出っ歯と、骨格性の出っ歯の違い
骨格性の出っ歯は、横顔を見ると歯だけでなく上顎全体が前に出ています。そのため、歯だけを矯正しても上顎の前突感はあまり変わらない場合が多く、外科矯正で顎骨にアプローチしないと治りません。これは部分矯正でも全体矯正でも同じです。
一方、歯並びだけが原因の出っ歯は、外向きになっている歯を内向きに変えるだけで、突出感はなくなります。
部分矯正とは
部分矯正は一部の気になる部分だけの歯並びを治す矯正治療で、2~8本くらいの歯を動かすことが出来ます。軽度の出っ歯や軽度のガタガタを治すのに最適の治療法です。
歯をあまり大きく動かしませんので、治療期間が短く、2ヶ月位から長くても1年程度の治療期間となります。また、費用面でも価格を抑えられるため気軽に始めることが出来、人気の矯正方法となっています。
部分矯正が可能かどうかは、患者さんのお口の状態によって異なります。事前の検査結果によって矯正担当医が診断し、部分矯正で治るか、または全顎矯正になるかを決定します。
部分矯正で治せる不正咬合とは?
部分矯正で治せるのは軽度の不正咬合のケースに限られます。重度の不正咬合は部分矯正ではあまり改善が見込めません。また、部分矯正は主に前歯の歯並びを部分的に治すものですが、症状によっては奥歯に対して行うこともあります。
- 軽度の叢生(ガタガタ)
- 軽度の上顎前突(出っ歯)
- 軽度の反対咬合(受け口)
- すきっ歯(空隙歯列)
- 軽度の開咬
部分矯正での出っ歯の治し方
歯並びを治すためには、マウスピースやワイヤーを歯に付けることで歯に一定方向の力を加え、少しずつ動かしていきます。
部分矯正の治療に使われる矯正の方法は、装置の種類によって「マウスピース矯正」「ワイヤー矯正」「裏側矯正」の3つがあります。全顎矯正と違い、部分矯正では主に前歯2~8本を動かします。歯を大きく動かさないというのも部分矯正の特徴です。
https://www.osaka-kyousei.com/nayami/deppa.html
マウスピース矯正による部分矯正
インビザラインという透明なマウスピースを約2週間ごとに交換して治療を行っていきます。
マウスピースは1日に22時間以上装着して頂き、食事と歯磨きの際には外して行います。きちんと装着時間が守れるかどうかで、治療計画通りに治療が進められるかどうかが決まります。
https://www.osaka-kyousei.com/kyousei_invisalign/invisalign_mtm.html
ワイヤー矯正による部分矯正
ワイヤー矯正はブラケットとワイヤーと呼ばれる装置を歯の表側に付けてワイヤーによって力を加えて歯を動かしていきます。
部分矯正の場合は前歯の8本程度にブラケットをつけてワイヤーを通します。全顎矯正では全ての歯にブラケットをつけます。
裏側矯正による部分矯正
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着します。歯の裏側にワイヤーをつけると、出っ歯を引っ込めやすいという特徴があります。
当院では主にインコグニトという装置を使用します。
https://www.osaka-kyousei.com/ibraces/
部分矯正では抜歯するの?
全体矯正では、歯が動く場所を作るために抜糸する場合がありますが、部分矯正では抜歯は行いません。
では、歯を動かすためのスペースをどのようにして作るのかといいますと、歯の両端を0.25~0.5ミリ程度削ることがあります。これをスライス(ディスキング)といいます。
歯のエナメル質の厚さは健康な状態では1.5ミリありますので、0.5ミリ程度削っても痛みなどのダメージは起こりません。
部分矯正のメリット・デメリット
部分矯正にはメリットとデメリットがありますので、治療を始める前にしっかりと確認しましょう。
部分矯正のメリット
- 短期間で治療可能
- 前歯8本程度に装置を付けるだけ(ワイヤー矯正の場合)
- 歯を大きく動かさないので痛みが少ない
- 治療費の負担が抑えられる
- 気軽に始められる
部分矯正のデメリット
- 矯正治療後、後戻りしやすい
- 歯を大きく動かすことが出来ない
- 歯を動かすためのスペースがあまり得られない
- スペースを作るために前歯の両端を削らなければならない
- 部分矯正では治らない不正咬合のケースがある
- 噛み合わせを治すことは出来ない
軽度の出っ歯は部分矯正で治るかに関するQ&A
軽度の出っ歯は部分矯正で治すことができますか?
はい、軽度の出っ歯は部分矯正で治すことができます。軽度の出っ歯は上の前歯が下の前歯よりも4ミリ程度前に出ている場合で、奥歯の噛み合わせが悪くない場合は、部分矯正で改善できます。
部分矯正では抜歯が必要なのですか?
部分矯正では一般的に抜歯は行いません。歯を動かすためのスペースを作る場合、歯の両端を0.25~0.5ミリ程度削ることがありますが、これは歯のエナメル質の厚さからみて安全な範囲で、痛みもありません。抜歯は通常、全顎矯正の際に行われます。
部分矯正の治療期間はどのくらいですか?
部分矯正の治療期間は比較的短く、2ヶ月から長くても1年程度です。歯をあまり大きく動かさないため、治療期間が短いのが特徴です。
まとめ
軽度の出っ歯であれば、前歯だけの部分矯正で治る可能性があります。部分矯正は治療期間が短く、費用を抑えることも出来ますので、人気の矯正治療方法です。部分矯正が適用出来るかどうかは、一度ご相談にお越し頂いて、検査をしてから診断いたします。