
前歯の部分矯正を上下顎ともに行うことは可能でしょうか。上下の前歯の部分矯正についてご説明します。
目次
上下顎の部分矯正とはどういう状態?
「歯の上顎下顎の両方を部分矯正で治療する」とは、上顎(うわあご)と下顎(したあご)の歯並びの一部に限定して治療を行う方法を指します。部分矯正は、全体矯正(歯全体を動かして整える治療)と異なり、特定の部位や歯列に問題が集中している場合にその部分だけを整える治療法です。
どのような状態が部分矯正の対象になるの?
軽度の不正咬合
- 特定の歯が少し傾いている、捻れている、またはわずかに重なっている状態。
- 歯並び全体ではなく、部分的に目立つ歯のズレがある場合。
すきっ歯(空隙歯列)
- 上顎や下顎の歯に隙間がある状態。隙間が一部に限られている場合は部分矯正が適用されることがあります。
前歯の歯並びが悪い
- 上下どちらかの前歯だけがズレている場合(見た目に影響しやすい部分)。
- 奥歯は問題なく、前歯だけが動かす必要があるケース。
噛み合わせの微調整
- 上顎と下顎の特定の歯の噛み合わせが合っていない場合に、それを改善するために行う治療。
上下の部分矯正と全体矯正の違い
部分矯正と全体矯正の違いは以下のようなものです。
- 全体矯正・・全ての歯を正しい位置に動かす。重度や中程度の不正咬合の症例や、奥歯の噛み合わせも改善する
- 部分矯正・・前歯のみを動かす。軽度の不正咬合を改善する
部分矯正の特徴
1. 対象範囲
部分矯正は、主に見た目に影響を与える前歯など、特定の歯や歯列のみを対象としています。対象となるのは通常、上または下の前歯6~8本程度です。上下の前歯を同時に治療することも出来ます。
2. 治療目的
主に前歯の部分的な歯並びを整えるため、審美的な見た目の改善を目的としています。歯並びやかみ合わせの軽度から中等度の問題を解決し、笑顔の印象を美しくすることが期待されます。
3. 治療期間
歯全体を動かす場合と比べると期間は短く、数ヶ月から1年程度で終了することが多いです。
4. 費用
対象となる歯が主に前歯の6~8本程度と範囲が限られているため、全体の歯並びを整える場合に比べて費用は低めです。
全体矯正の特徴
1. 対象範囲
口腔内の全ての歯を対象としており、上下の歯列全体の歯並びやかみ合わせの問題を解決します。
2. 治療目的
審美的な改善だけでなく、機能的な改善も目的としています。歯並びやかみ合わせの問題を根本から解決し、噛む機能の改善や顎関節症の予防など、口腔内の健康全体を向上させます。
3. 治療期間
全ての歯を動かすことと、抜歯が行われることが多いため、期間が長くなりがちです。一般的には2年から3年程度を要します。
4. 費用
治療範囲が広く、期間も長いため、費用が高くなります。
部分矯正を上下とも行うのは可能?
部分矯正は主に前歯の軽度のガタガタや前突を治すための治療なので、上の前歯のみを治療する方が多い傾向があります。しかし、もちろん下の歯並びにも行えますし、上下の前歯を同時に治療することも可能です。
下の前歯は上の前歯ほどは他人からはっきり見えません。そのため、上下の歯並びを部分的に治療する場合に、上の前歯は裏側矯正で、下の前歯はワイヤー矯正で治療をされる方もおられます。
上下前歯を同時進行で行うメリットとは?

1. 治療期間の短縮
上の前歯と下の前歯の部分矯正を別々に行わずに同時に行うことで、全体の期間を短縮出来ます。
2. 費用の削減の可能性
上下同時に行うことで、別々に治療を行う場合に比べて費用が抑えられる可能性があります。
3. 治療の統一性
同一の治療計画に基づき、矯正を行うことで、上下の歯並びのバランスを確認しながら治療を進められるなど、より一貫性のある結果を期待出来ます。
部分矯正の治療法

歯並びを治すには、全体矯正・部分矯正(MTM)と二種類があります。MTMは略称で、Minor Tooth Movementが正式名称です。費用はすべて保険適用外で自由診療となるため、医院によって料金の設定は異なります。
歯全体を動かす場合は、小臼歯の抜歯をしてそのスペースを活用します。部分的な治療を行う場合はスペースを作るために前歯の側面を少し削る処置を行います。これをIPR(ディスキング、スライス)と呼びます。
部分矯正の装置
歯並びを整える為に歯に付ける装置は、部分矯正でも全体矯正でも同じで、下記の種類を取り扱うクリニックが多いです。
- ワイヤー矯正
- 裏側矯正
- マウスピース型矯正
1. ワイヤー矯正
- 歯の表側にブラケットという小さな装置を貼り付け、そこにワイヤーを通す方法
- 他の方法と比較して安いのがメリットだが、審美性と言う点では目立つというのがデメリット※白いワイヤーを使用することも出来る
2. 裏側矯正
- 歯の裏側にブラケットという小さな装置を貼り付け、そこにワイヤーを通す方法
- 他人から装置が見えにくいのがメリットだが、オーダーメイドのワイヤーを海外で作製するため費用が高く、発音や発声に慣れるのに時間がかかるのがデメリット
3. マウスピース型装置
- 患者さん自身で取り外しが可能なマウスピース型の装置
- 食事前に外して普段通り噛むことができ、見た目で治療中とわかりにくい審美性が特徴
- 1日22時間以上の装着が必要で、装着時間を守らなければ歯の動きが遅くなり、治療期間が延びるデメリットがある
部分矯正の注意点
適応範囲が限られる
部分矯正はあくまで軽度の不正咬合や歯列不正が対象で、全体的な噛み合わせの問題や複雑なズレには不向きです。
上下のバランスが重要
上顎と下顎の部分矯正を同時に行う際は、歯の動きが相互に影響しやすいため、経験豊富な歯科医による慎重な計画が必要。
みんなはどんな動機で矯正を始めるの?

まとめ

部分矯正を行いたいと思われる際は、質問などをしやすい担当医がいる・レントゲンや歯科用CTなどの環境の整った医院・通院しやすいなどを基準に、クリニックを選択しましょう。また、保定の期間もきちんとリテーナー(保定装置)を装着し、歯列が後戻りをしないようにしっかりと固定することも必要です。