歯科矯正全般

歯並びの良い悪いはどうやって判断するの?

歯並びの良い悪い歯どうやって判断するの?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

歯科医院ではどのような状態を歯並びが良い、悪いと判断するのでしょうか?不正咬合の種類や原因についてご説明します。

学校検診での不正咬合の判断は?

学校での歯科検診では、虫歯の有無だけでなく、不正咬合もチェックされます。判定結果としては、「問題なし」、「要観察」、「要治療」の3つで判定します。

不正咬合の判定には種類毎に判定基準が設けられています。「要治療」の指摘を受けた際には矯正専門医に相談することをお勧めします。

開咬の判定基準

上下の前歯が垂直的に6ミり以上の空隙のある場合は開咬と判定されます。

過蓋咬合の判定基準

上の前歯が下の前歯が見えないくらい覆いかぶさっていると過蓋咬合と判定されます。

受け口(下顎前突)の判定基準

通常の前歯は上の歯が下の歯に被さる形になっていますが、逆に下の歯が上の歯に被さる形になっており、前歯4歯のうち3歯以上が反対である場合に受け口と判定されます。

出っ歯(上顎前突)の判定基準

上の前歯が8ミリ以上前方に出ている場合に出っ歯と判定されます。

叢生の判定基準

叢生は歯と歯が重なっている状態です。歯の幅の1/4以上重なっている場合に叢生と判断されます。歯の生える位置の異常や、歯が捻じれて生えている歯も叢生と判定されます。

正中離開の判定基準

上の前歯の間に6ミリ以上の隙間があってすきっ歯になっている場合に正中離開と判定されます。

正しい歯並びとは

  • 上下左右の歯がきれいに並んでいて良く噛める
  • 上顎、下顎、及びそれらを動かしている筋肉のバランスが良い
  • 噛む、喋るなど機能的に良好に動く

歯並びが正しく、噛み合わせが良いことを正常咬合といいます。永久歯の歯列は本来きれいな馬蹄形をしており、上下の顎の歯列のバランスが良いことは、健康と密接な関係があります。

「やさしくわかる矯正歯科治療」日本矯正歯科学会 編

もう少し詳しく見ていきましょう。

歯のバランス

  1. 歯の本数に過不足がない
  2. 捻れた状態の歯がない
  3. 歯と歯の間に隙間がない
  4. 正中一致
  5. 上顎の方が下顎よりも僅かに広いバランス
  6. 上の歯が下の歯よりも僅かに前に出ている
  7. 噛み合わせが深すぎない
  8. 左右対称のアーチ
  9. 1歯に対して2歯が接している

お顔のバランス

  1. 出来るだけ左右対称になっている
  2. 美しいE-ラインである

見た目はきれいな歯並びでもしっかり噛んでいない場合もある

良い歯並びと聞いて想像するのは、真っ白い歯がきれいに並んでいる状態だと思います。しかし、歯列にガタガタがなくきれいに並んでいる場合でも、出っ歯だったり受け口だったりしたら、矯正して治したいと思うかもしれません。

また、見た目はきれいに並んでいても、上下の歯がしっかり噛んでいないと良い歯並びとはいえません。見た目はきれいなのに噛み合っていないタイプの代表的な不正咬合は「開咬」と「過蓋咬合」です。

開咬とは?

開咬開咬の場合は、歯並びは上も下も綺麗で上の顎と下の顎の大きさにあまり問題のない方もおられます。

ただ、奥歯を噛んだ状態では前歯に隙間があり、前歯が正しく噛み合っていないという歯並びです。

 

過蓋咬合とは?

過蓋咬合過蓋咬合は歯並びは上下ともに綺麗なのですが、上の顎と下の顎の大きさに差があり上と下の奥歯はしっかり噛んでいるが、上の前歯が下の前歯に大きく被さっていて、前歯の噛み合わせは下の前歯が上の歯の内側の歯茎と噛んでいるという状態になっています。

開咬や過蓋咬合になると、奥歯しか噛んでいないので奥歯が虫歯や歯周病になりやすいです。

その他の様々な不正咬合

「開咬」と「過蓋咬合」についてはご説明しましたので、それ以外の不正咬合についてご説明していきます。

最も多い不正咬合は前歯のガタガタ(叢生)

叢生(八重歯)悪い歯並びで一番多いのは前歯がガタガタになっている状態です。前歯がガタガタになる原因は、もともと顎の大きさに対して歯が大きい場合や、顎が成長不足で小さいということが考えられます。

歯が大きいのは遺伝によるものが多く、顎の成長不足は口呼吸であることや、やわらかいものばかり食べていることが主な原因としてあげられます。

八重歯

叢生(八重歯)以前、八重歯のあるお子さんのお母さんに歯並びについて話したところ、「八重歯はかわいいから気になりません」と言われたことがあります。

アイドルや芸能人に時々八重歯の人を見かけますが、その人たちを見てかわいいというなら、それは見た目的には良い歯並びになるのかもしれません。しかし、最近は芸能人も八重歯を治す傾向にあるように思います。

八重歯になる理由は、永久歯が生えていく順番にあります。上の犬歯は最後の方に生えるせいで、顎が小さいと犬歯が生えるためのスペースが足りなくなって、歯列の外にはみ出た位置に生えてくるからです。

出っ歯

上顎前突(出っ歯)日本人に多い不正咬合には前歯の出っ歯があります。出っ歯は前歯が大きいなどの遺伝的な要素が考えられます。

遺伝以外では、小さい頃に指しゃぶりをしたり、舌で前歯の裏を押す癖があったことが原因と思われます。

 

きれいな歯並びのメリットは?

きれいな歯並びのメリットはいくつかありますが、まず虫歯や歯周病のリスクが低いことがあげられます。歯がきれいに並んでいると歯磨きがしやすいので、歯と歯の間などに歯垢が溜まりにくく、お口をきれいな状態に保つことが出来ます。

次に、きれいな歯並びは対人関係にもメリットがあります。笑った時にきれいに並んだ白い歯が見えると、相手に好印象を与えます。きれいな歯で笑顔でいれば、面接や接客で有利になります。

口腔に対するメリット

  • 口元が美しくなる
  • よく噛めるようになる
  • 虫歯の予防になる
  • 唇が閉じやすくなり鼻呼吸になる
  • 発音がしやすくなる

全身に対するメリット

  • 顔の形が整う
  • 姿勢が良くなる
  • 体調が良くなる
  • 免疫力が上がる
  • 持続力や集中力がアップする

歯並びの良い悪いの判断方法に関するQ&A

Q

歯並びの評価基準はどのように設定されていますか?

A

歯並びの評価基準は、不正咬合の種類に応じて設けられています。開咬、過蓋咬合、受け口、出っ歯、叢生、正中離開など、異なる不正咬合タイプに対する基準が存在します。

Q

学校検診での不正咬合の判定方法を教えて

A

学校検診では、不正咬合の有無をチェックします。判定結果は通常、「問題なし」、「要観察」、「要治療」の3つに分かれます。不正咬合の種類に応じて、治療の必要性が評価されます。

Q

開咬とはどのように定義されていますか?

A

開咬は、上下の前歯が垂直的に6ミリ以上の空隙がある状態を指します。これは前歯が正しく噛み合っていない状態であり、治療が必要な不正咬合の一つです。

まとめ

歯のキャラクター

矯正治療を受けていない方の中で歯列が一列にきれいに並んでいる方は、実はそう多くありません。特に叢生(ガタガタ)の方は多く、重度でなければ矯正してまで治さない方も多くおられます。

どの程度なら治療すべき、という基準は、歯科医師によって判断が別れますので、不安な場合はかかりつけの歯医者さんに見てもらうことをおすすめします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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