歯科矯正全般

八重歯は矯正治療で治すべき?

八重歯は矯正治療で治すべき?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

日本では八重歯はチャームポイントとして好まれる反面、欧米ではドラキュラの歯と言われて嫌われます。見た目だけでもメリットとデメリットが存在する八重歯ですが、矯正治療で治した方が良いのかどうかについてご説明します。

文化や好みによっての美意識の違い

アメリカでは真っ白い歯がきれいに並んだ状態をハリウッドスマイルと呼び、ステータスを示すとも考えられています。そのため、子供に矯正治療を受けさせることも積極的に行われています。

一方日本では、八重歯が可愛いと認識され、あまりにも整った真っ白い歯は不自然できれいだとは思わないという価値観があります。

美意識の違いに正解はありませんので、国によってこのように八重歯の見た目の評価が違い、
個人の好みや感覚によっても違うということを認識しつつ、八重歯には機能面ではどのような問題があるのかをみていきたいと思います。

八重歯のデメリット

八重歯

1.虫歯になりやすい

歯並びが悪く歯と歯の重なりが大きいと、その部分には汚れがたまりやすく、また歯ブラシの毛先が届かないために汚れを落としにくいということが起こります。

八重歯の方は歯と歯が大きく重なっており、その部分には歯ブラシが届きにくくフロスも使いづらいため、汚れが溜まったままになりがちです。

お口の中に残った食べカスは時間が経つと細菌が繁殖して歯垢に変わり、虫歯になりやすい環境になります。

2.口臭が強くなる

八重歯の方は歯と歯の重なりが大きく、汚れがたまりやすく落としにくいため、食べカスがお口の中で腐敗して細菌が発生し、強い臭いが発生します。

3.歯周病になりやすい

八重歯はお口の中の清掃が行き届かず、歯に汚れがたまりやすいため、そこに細菌が繁殖しやすくなります。歯周病の原因となる歯周病菌は、空気を嫌うので歯についた汚れの中で繁殖したあと、歯と歯茎の間に潜り込んでいき、歯周ポケットを形成します。

歯の汚れがきれいにならない状態では、歯周ポケット内で歯周病菌がどんどん増殖して、更に歯周ポケットを深くして、歯周病の症状が進んでいきます。

八重歯がそのままの状態では、お口の中の清掃がしにくいという状態がずっと続くため、歯周病のリスクはかなり高くなります。

歯周病が重度になると、歯周病菌の出す毒素が歯槽骨を溶かし、歯がグラグラになって抜けてしまいます。

4.見た目のデメリット

八重歯はかわいいと思う方がおられる一方で、歯がガタガタなので嫌われる場合もあります。美意識は個人の好みにもよりますが、八重歯は歯が重なっているために起こる不正咬合であることはまぎれもない事実です。

八重歯の治療法とは?

八重歯の方の歯をきれいに並べるためには、歯が一直線に並ぶためのスペースがありません。そのため、八重歯の治療のためには、小臼歯と呼ばれる、八重歯の後ろの歯を抜歯してスペースを作る方法が良く使われます。

小臼歯を抜歯すると、上顎では小臼歯2本分のスペースが出来ますので、その隙間へと歯を動かしていって歯をきれいに並べます。

抜歯後に歯に付ける矯正装置は、当院ではワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正の3種類です。

八重歯の程度が軽く、歯の重なりが少ない場合は、非抜歯での矯正が可能な場合もあります。

ワイヤー矯正

金属と白のブラケットとワイヤー

ワイヤー矯正は最もスタンダードな矯正装置で、ブラケットと呼ばれる小さなボタンのようなものを1本1本の歯面に貼り付け、そこにワイヤーを通して負荷をかけることで歯を動かしていきます。

ワイヤー矯正は殆どの不正咬合に対応可能で、歯の重なりが大きかったり、抜歯をしたりして、歯を沢山動かさなければならない場合でも対応できます。

ただ、装置を歯の表側につけるため、見た目を気にする方もおられます。当院のブラケットは白いセラミック製ですので、あまり目立ちませんし、白いワイヤー(※別途費用がかかります)も使用できますので、見た目の問題はかなり改善されています。

治療費は3種類の中では一番安価です。

裏側矯正

歯の形にぴったり添っている

ブラケットとワイヤーを歯の裏側に着けますので、他人からかなり見えにくい状態になります。見た目を気にされる方に人気の治療方法です。

歯の裏側に装置をつけるため、一時的に発音がしにくくなり、装置をつけた状態での声の出し方に慣れていただく必要があります。また、歯の裏側の歯磨きがしにくいという問題もあります。

当院ではインコグニトという名称のオーダーメイドの裏側矯正装置を使用しており、治療費はワイヤー矯正よりも割高になります。

マウスピース矯正

インビザライン

透明な樹脂で出来たマウスピースを1日に22時間装着していただき、歯を動かしていきます。マウスピースは歯にフィットしており、透明ですのでかなり近寄らないと他人からは見えません。他人に気づかれずに矯正治療を受けたい方に人気です。

抜歯矯正のような、歯を大きく動かさなければならない矯正にはやや不向きな面もありますが、食事や歯磨きの時には自分で取り外せる手軽さが人気を博しています。

当院ではインビザラインという名称のマウスピース矯正装置で治療を行っています。

八重歯は矯正治療で治すべきかに関するQ&A

Q

八重歯のデメリットについて教えてください。

A

八重歯にはいくつかのデメリットがあります。まず、歯の重なりが多いため、歯と歯の間に汚れがたまりやすく、虫歯のリスクが高まります。また、汚れが溜まりやすいため口臭が強くなることもあります。さらに、八重歯はお口の清掃が難しく、歯周病のリスクが増加します。

Q

八重歯の治療方法にはどのようなものがありますか?

A

八重歯の治療にはいくつかの方法があります。一般的な治療法には、小臼歯を抜いてスペースを作り、歯を移動させる方法があります。また、ワイヤー矯正、裏側矯正、マウスピース矯正などが選択肢としてあります。八重歯の程度によって適切な治療方法が選ばれます。

Q

八重歯の治療に関して、注意すべきポイントやリスクはありますか?

A

八重歯の治療は個人によって異なりますが、注意すべきポイントとしては、抜歯矯正か非抜歯矯正かなど、治療の適切な方法を選ぶことが重要です。また、治療期間中の歯のケアや清掃が大切であり、専門医の指導に従うことがリスクを軽減するポイントと言えます。

まとめ

歯のキャラクター

八重歯は日本では魅力的な口元であると思われる反面、デメリットもありますので、矯正治療で治すべきかどうか悩む方もおられることでしょう。治療した場合のメリットと治療せずにそのままにした場合のデメリットを比較検討されて、治療するかどうかをお決めいただければと思います。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

▶プロフィールを見る