セラミック矯正の場合の被せ物の寿命はどれくらい？

セラミック矯正は、矯正装置を歯につけて歯列を動かすのではなく、セラミックの被せ物によって歯並びをきれいに見せる治療法です。被せ物の寿命はどれくらいの期間保つことができるかについてご説明します。

セラミックの歯の寿命とは？

セラミックの被せ物は、10年以上もつことが一般的で、15～20年くらいは問題なく使える場合が多いです。しかし、一定の条件下では、被せ物の寿命が短くなる場合があります。

被せ物の寿命を縮める原因とは

被せ物をした歯の寿命を縮める原因についてご説明します。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりの癖のある方は、歯に大きな力がかかるため、歯が弱くなる原因になります。対合歯（上と下の歯）が常に強く当たっている状態では、歯の噛む面が削れてしまうためです。就寝中に無意識下で歯ぎしりを行うと、セラミックの被せ物は割れる可能性があります。

歯磨きが行き届いていない

歯ブラシやフロスなどを使って歯と歯の間や歯周ポケットの清掃が上手にできていない場合は、虫歯のリスクが高くなります。セラミックの表面はツルツルしていて汚れがつきにくいのですが、歯と歯茎の間に汚れがたまったままになると、虫歯や歯周病が起こる可能性があります。

固い食べ物などの強い衝撃

ナッツ類やおせんべいなどの固い食べ物を思い切り噛むと、セラミックの歯が欠けてしまうケースがあります。

セラミックの被せ物を長持ちさせるには

セラミックの表面は歯垢などの汚れが付着しにくいという特長があり、保険の銀歯と比べると二次虫歯を起こしにくいです。しかし毎日の歯磨きは歯周病や周辺の歯の虫歯を防ぐために重要です。

被せ物を長もちさせるためには、毎日の正しいセルフケアに加えて、数ヶ月おきに歯科の定期健診を受け、その際にプロのクリーニングを受けることをおすすめします。歯科医院での歯のクリーニングでは、歯周ポケット内の歯垢や歯石も落とすことが出来ますので、被せ物を長くもたせるためには必ず定期健診を受けるようにしましょう。

セラミックによる矯正とは

セラミック矯正とは、歯を動かすのではなく、歯を削ってセラミックの被せ物を被せることで綺麗な歯列の見た目にする治療法です。軽度の歯の重なり・すきっ歯（正中離開）、軽度の出っ歯（上顎前突）など部分的な矯正を行いたい方に向いています。それ以外の方法では、ワイヤー矯正やマウスピース矯正があります。

セラミック矯正は審美歯科治療となり、被せ物の種類には、オールセラミック、ジルコニアセラミック、セレッククラウン、ラミネートべニアなどがあります。セラミックの被せ物をした歯は、ケアをしっかり行えば、数十年という長い期間保つことが可能です。

被せ物の治療は、歯を動かして歯並びを整える矯正と違い、通院回数が少なく、短期間で終わるメリットがあります。一方で健康な歯を削って人工の歯を被せるため、歯の寿命を縮める可能性があるというデメリットがあります。

セラミックの被せ物の種類

オールセラミック

被せ物の歯（クラウン）がすべてセラミック（陶器）で作製され、天然の歯と同様の白さや透明感があり、経年劣化がありません。歯垢（プラーク）や食べかすが歯に付着しにくく、二次むし歯が起こりにくいのが特徴です。噛む強度がジルコニアと比べると弱く、硬い食べ物や衝撃で割れる可能性もあります。

ジルコニアセラミック

ジルコニアは人工ダイヤモンドと言われるほどの硬度を誇ります。そのジルコニアを裏打ちし、表面にセラミックを焼き付けたジルコニアセラミックは、審美性が高く、強度を誇ります。噛み合わせる力が強い奥歯のみではなく、前の歯にも使用することができます。

セレッククラウン

CAD/CAMという機械がセラミックのキューブから削り出した歯です。歯科技工士が作製した歯に比べれば審美性は劣り、被せ物を被せるための土台が透けて見える場合があります。オールセラミックに比べると、やや安い料金でセラミックの被せ物が出来るという利点があります。

セラミック以外の矯正とは

歯を動かす矯正治療の場合、以下のような方法があります。

ワイヤー矯正

歯の表側に白いブラケットを装着し、銀色のワイヤーを通すことで歯を動かす矯正方法です。お口を開けるとワイヤーが目立つこと、通院回数が多く、保定装置を含めて終了するまで長い時間がかかるというデメリットはありますが、矯正の費用は安いというメリットがあります。

裏側矯正(舌側矯正）

歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通し歯を動かす矯正方法です。人前でお口を開けても周囲の人に矯正中と気づかれないメリットはありますが、矯正の費用が高く保定装置を含めて終了するまで長く期間がかかるというデメリットがあります。

インビザライン

インビザラインはマウスピース矯正の一つで、アライナー（マウスピース）を交換することで歯を動かして歯列を整えていく矯正方法です。

アライナーは透明で取り外しができ、食事と歯磨きの時には外して行います。今まで通り食事や歯磨きが出来るというメリットはありますが、1日22時間以上の装着が必要で、装着時間が足りないと歯は治療計画通りに動きません。食後には歯磨きとアライナーの洗浄が必要で、面倒と感じる方もおられます。

セラミック矯正の被せ物の寿命に関するQ&A

まとめ

患者様ご自身の日々の歯みがきや、クリニックへの定期健診の回数により、セラミックによる矯正の寿命は短くなるか、長くなるか大きく変わります。食いしばりや歯ぎしりなどはご自分で気づかなくても、歯科治療で指摘されることもあります。