リテーナーは矯正治療が完了してから歯列の後戻りを防ぐために付ける保定装置です。リテーナーを付ける目的についてご説明します。
目次
リテーナーとは何ですか?
リテーナーは保定装置とも呼ばれています。矯正治療が完了すると歯列はきれいに整っていますが、暫くの間は歯が動きやすい為、歯の後戻りを防ぐためにつけるものです。
夜寝ている間のみつける場合と、昼間に外出先でもつける場合があります。固定式、取り外し式ものもがあり、担当医によって適切な種類が選ばれます。一日の間にリテーナーをつけなければいけない時間やタイミングについては、担当医の指示に従いましょう。
歯並びが後戻りするということは、せっかくきれいに整った歯並びが、以前のガタガタに戻ってしまうということです。
リテーナーを付ける目的は?
リテーナーをつける最も一般的な理由は、矯正治療が終了した時点での歯の位置を固定させ、歯がその位置に留まるのを助けて治療の効果を維持するためです。装置を外してすぐの歯は、まだ歯の位置がしっかりと骨の中で固まっておらず、動きやすい状態になっています。何もつけないでいると後戻りを起こし、少しずつ元の歯並びに戻ってしまうということが起こります。そのため、治療後はリテーナーを一定期間つけることによって、治療後の歯の位置を安定させなければなりません。
1. 歯の位置の安定化
歯は周囲の筋肉や靭帯からの力を常に受けており、矯正治療後、これらの力が歯を元の位置に戻そうとします。特に治療直後6ヶ月間は後戻りのリスクが高くなります。リテーナーは、これらの力に対抗して新しい歯の位置を維持するために機能します。
2. 骨の再形成サポート
矯正治療中、歯の周囲の骨は一時的に軟化して、歯の移動を可能にします。治療後、この骨が再び硬化して歯が新しい位置にしっかりと固定される必要があります。この過程は通常6〜12ヶ月かかるため、リテーナーをつけて歯の位置を安定させ、骨の再形成を適切に行わせる必要があります。
3. 咬合の安定
適切な咬合(噛み合わせ)は、顎関節の健康と全体的な口腔機能の維持のために重要です。リテーナーは、歯を正しい位置に保つことで、上下の歯が適切に噛み合うようにします。これにより、顎関節症(TMJ)などの問題を予防し、食べ物を効率よく咀嚼することが出来ます。
4. 歯並びの長期的維持
年齢とともに、歯は自然に前方に移動する傾向があります。これは「メジアルドリフト」と呼ばれる現象です。リテーナーの継続的な使用は、この自然な移動を最小限に抑え、矯正治療の結果を長期的に維持するのに役立ちます。
5. 治療結果の保護
リテーナーの適切な使用は、美しい歯並びと健康的な咬合を維持するために不可欠です。適切にリテーナーを使用しないと、数年で歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。
6. 歯ぎしりの予防
多くのリテーナー、特に就寝時に使用するタイプは、歯ぎしり(ブラキシズム)による歯の摩耗を防ぐ効果があります。リテーナーは上下の歯の直接の接触を防ぎます。これにより、エナメル質の摩耗、歯の欠け、顎関節への過度の圧力を軽減できます。
リテーナーはどんな形をしているの?
取り外し式のリテーナーは主に透明なマウスピース型のソフトリテーナーと、プラスチックの床(しょう)が付いたクリアボウリテーナーという2種類があります。装置と同じように、歯と口の上部にフィットするようにカスタムメイドされています。
子どもの床矯正やマウスピース矯正、大人の矯正においても治療を終えて装置を外した後は、少なくとも装置をつけていた期間の2倍程度の間はリテーナーを着用する必要があります。
大人の部分矯正では、前歯の裏側にワイヤーをレジンで接着するタイプのリテーナーを使用することもあります。こちらは固定式ですので、取り外し式のタイプのようにお手入れが要らず、違和感なく使えます。
リテーナーは一日にどれくらいの時間つける必要があるの?
リテーナーは食事、間食、歯磨きの際には外していただき、それ以外の時はずっと着用していただくことをおすすめしています。昼夜問わずつけていただくことで、より歯の位置を安定させることが出来ます。
夜間のみの使用でOKという場合もありますので、担当医の指示に従って装着しましょう。
リテーナーは何年くらいつけなければならないの?
一般的にリテーナーをつける期間は、矯正治療にかかった期間程度です。個人差はありますが、1~3年程度つけていただく場合が多いです。歯の後戻りを防ぐために、必ず矯正医の指示通りに使用してください。
リテーナーのお手入れ
お口の中には細菌や歯垢、食べ物のカスなどがあり、歯磨きでそれらをきれいにします。リテーナーも同じく毎日きれいに洗ってケアをする必要があります。
リテーナーの中には歯磨き粉とブラシで擦ってはいけない種類もありますので、最初に受け取った時に担当医に必ず確認しましょう。うがい薬や入れ歯洗浄剤に浸しておけば、細菌を除去することもできます。
プラスチックのリテーナーは乾燥させすぎると割れることがあるため、お口の中に入れていないときは水に浸しておくことをおすすめします。プラスチックは変形しやすいので、お湯に入れることは厳禁です。
また、ワイヤーで出来たリテーナーは曲げないように気をつけましょう。
リテーナーはなくさないように注意しましょう
リテーナのケアに関する重要なことの一つは、リテーナをなくさないようにすることです。お口に入れていないときは必ず置き場所を決めて、持ち運ぶときはケースに入れましょう。
食事の時に外して紙ナプキンの上などに置き、うっかりそのまま置き忘れると、残飯と共に捨ててしまう場合があります。必ずケースに入れるようにしましょう。
リテーナーの目的に関するQ&A
歯科矯正のリテーナーとは何ですか?
歯科矯正のリテーナーは保定装置とも呼ばれ、歯の後戻りを防ぐために使われる装置です。主に矯正治療後に使用されます。
リテーナーはどんな形をしていますか?
リテーナーには透明なマウスピース型のソフトリテーナーと、プラスチックの床が付いたクリアボウリテーナーの2つの主要な形状があり、カスタムメイドされています。
リテーナーを装着する必要がある理由は何ですか?
リテーナーを装着する主な理由は、矯正治療後の歯の位置を固定し、後戻りを防ぐためです。治療終了直後は歯の周囲の組織が固まっておらず、安定させる必要があります。
まとめ
矯正治療が終わったのに引き続き布袋装置を歯につけるのは、面倒と感じる方もおられるかもしれませんが、治療後のきれいな歯並びをずっと維持するために、リテーナーは必ず必要なものです。治療が終わっても、歯は後戻りします。担当医の指示に従い、一定期間リテーナーをつけて歯のケアをしていきましょう。