
「歌をうまく歌えない」「音痴かもしれない」とお悩みの方、あなたの歯並びの悪さが原因という可能性があります。歯並びと歌声がどのように大きく関係しているのかご説明します。
趣味や仕事で歌を歌う方が歯列矯正をする時に気を付けること
「歌を歌うことが好きだけど、矯正治療を始めても大丈夫?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。特にお仕事で歌を歌われる方にとって、矯正装置が発声に影響を与えるのではないかと不安を感じるのは当然のことです。でも、ご安心ください。矯正治療を受けながらも歌を歌うことは可能です。ただし、いくつかのポイントを押さえておくと、より快適に矯正を進められます。
1. 歯列矯正が歌声に与える影響とは?
矯正治療を始めると、特に発声や口の動きに影響が出ることがあります。
舌の動きが制限される
ワイヤー矯正やマウスピース矯正を始めると、舌の動きに違和感を感じることがあります。特に、舌を上顎につけることで発音する「タ」「ダ」「ラ」行の発音に影響が出やすいです。
発声する時の息の流れが変わる
矯正装置が歯の位置を変えることで、口腔内のスペースが変化します。これにより、音の出方や声の響き方、息の流れなどが変わることがあります。
一時的に発音がしづらくなることも
特に矯正装置をつけた直後は、発音がしづらくなることがあります。でも、殆どの方は時間が経つにつれて慣れてきますので、ご安心くださいね。
2. 矯正中の歌唱で気を付けるべきこと
矯正中でも快適に歌うために、以下のポイントを意識しましょう。
口のストレッチを取り入れる
矯正装置による違和感を和らげるために、発声前に口周りのストレッチを行うことをおすすめします。
- 「あ・い・う・え・お」と大きく口を開ける
- 唇をすぼめたり広げたりする
- 舌を前後左右に動かす
これらのストレッチを行うことで、口周りの筋肉がほぐれ、緊張も取れてスムーズに発声しやすくなります。
発声練習の際はゆっくりした母音発声を意識する
特に矯正を始めたばかりの頃は、発声のバランスが崩れやすくなります。まずはゆっくりとした母音(「あ」「い」「う」「え」「お」)の発声練習を行いましょう。
- 「あー」「えー」「おー」など、一定の音程でゆっくりと発声
- 息の流れを意識しながら、無理のない範囲で練習する
このような基礎練習を積み重ねることで、矯正装置を付けたままで歌うことに慣れてきますので、影響を最小限に抑えることができます。
口の乾燥を防ぐ
矯正装置が入っていると、お口の中が乾燥しやすくなります。乾燥すると発声がしにくくなるため、こまめに水分補給をしてお口や喉を潤すことが大切です。
- 水をこまめに飲む
- のど飴をなめる(ただし砂糖が入っていないものがおすすめ)
意外と気づきにくいポイントですが、お口の潤いを保つことで歌いやすさが大きく変わります。
3. 矯正装置の種類による違い
矯正の種類によって、歌への影響が異なります。
表側矯正(ワイヤー矯正)
- メリット・・常に装着しているため、装置に慣れやすい
- デメリット・・口内のスペースが狭くなるため、舌の動きが制限されやすい
表側矯正の場合、特に舌を使う発音が難しくなることがあります。ただし、発声を意識して練習を続けることで改善できますよ。
裏側矯正
- メリット・・外見には影響がない
- デメリット・・舌の違和感が強く、発音が難しくなる
裏側矯正は、特に「サ行」や「タ行」の発音が影響を受けやすいですが、慣れてくると問題なく発声できるようになります。
マウスピース矯正(インビザライン)
- メリット・・取り外しが可能なため、歌う時に外せる
- デメリット・・装着時は若干発音が変わることがある
インビザラインなら、発声練習の時だけ外すことができるため、歌を本格的に歌う方にはおすすめです。ただし、1日22時間以上の装着が推奨されているので、長時間のレッスンや本番の時以外は装着しておいて、装着時間を確保するようにしましょう。
歯並びと歌声の関係
歯並びによって、歌声に影響があるのでしょうか。
前歯、奥歯が並ぶお口の奥は、のどにつながっています。のどは鼻から食道につながる食べ物の通り道の咽頭、呼吸の通り道である喉頭(気道)に分かれます。喉頭の中央部に声帯があり、発声をする際は声帯を使います。
前歯が出っ歯の方が矯正を行うと、前歯が口の中に引っ込むことにより、口の容積は少なくなります。歯の角度を変えても舌の大きさは変わらないため、コンプレックスがなくなり咀嚼機能が上がるというメリットはありますが、舌を噛みやすくなるデメリットがあります。舌を咬むことのないように後方へ引っ込め続けていると、気道の幅にも影響が生じますので、声帯が変化することは考えられます。
歌手や音楽関連など声を仕事をされている方は、声に変化が出ることを理由に、あえて矯正をされない方もいらっしゃいますが、一般的には、矯正を行うメリットが大きいといえます。
歯並びと発声・発音の関係
お顔の見た目以外にも、歯並びは滑舌や発音に関係します。受け口や歯の重なりがあるケースでは、上下の歯が上手く咬み合わず、発声する時や歌を歌うときに、歯列の隙間から空気が漏れます。空気の漏れがある歯並びは、きれいな発音ができなくなります。顎の位置のずれにより、正しく舌を使うことができない場合もあります。
例えば、永久歯に生え変わる時期(混合歯列期)には、乳歯が抜けて永久歯が歯肉から萌出する(生える)までスペースが空いたままです。前歯がそのような状態の場合、サ行やタ行など舌を使用する発音がしづらいということは誰しもが体験されたことあるのではと思います。
サ行は歯擦音(しさつおん)、タ行は破裂音です。サ行の場合は上下の歯を咬んで合わせて歯の隙間から息をし発音を行うので、上下のあごの位置がずれや歯の重なりがあると、滑舌が悪くなります。
歯並びを綺麗にするメリット

テレビで見かけるアナウンサーは、滑舌が良く、発する声が聞き取りやすいです。思い浮かべてみると、多くのアナウンサーで、前の歯列が乱れた不正咬合の方は少ないと思いませんか。
悪い歯並びはお顔の見た目に影響します。例えば噛み合わせがかなり悪い方のケースですと、歯科矯正しないまま成長すると、お口周りの筋肉の発達において左右差が出ます。お顔の左右のバランスにも影響を及ぼします。
見た目の問題以外にも、綺麗な歯並びは、お口の健康につながります。不正咬合の矯正治療を行えば、歯磨きなどのブラッシングが行き届きやすくなり、むし歯や歯周病を防ぐことができます。
矯正治療方法について

一般的にクリニックで行う矯正治療は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正です。歯にワイヤーをつける矯正には以下の3種類があります。
1. 普通矯正(表側矯正)
歯の表側にブラケットを装着し、ワイヤーを通し、歯を動かします。周囲に気づかれやすいということがデメリットです。
2. ホワイトワイヤー矯正
歯の表側にブラケットを装着し、ホワイトワイヤーを通し、歯を動かします。歯の色に近いワイヤーというメリットがありますが、裏側矯正に比べて目立つことがデメリットです。
3. 裏側矯正・舌側矯正
歯の裏側(舌側)にブラケットを装着し、ワイヤーを通し、歯を動かします。歯の裏側から矯正を行うので周囲の人に気づかれにくいが、患者様自身の歯列に合わせたワイヤーを作製するため、費用が高額であることがデメリットです。
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まとめ

口腔内のお悩みがあれば、まず歯科医院の無料カウンセリングを活用し、歯科医師やスタッフにご相談ください。お口を拝見し診察のうえ、精密検査で治療計画を立てます。
歯を動かす時間はきちんと矯正器具を装着し、理想の歯並びに動かしていきましょう。保定期間にはリテーナーを装着し、歯が動かないように固定します。治療期間などの時間や料金は発生しますが、歯列矯正やトレーニングを行えば舌の位置も正しくなり、発音や滑舌はしやすくなります。