噛み合わせが悪いというのはどういう状態でどんな影響があるのか、咬合の異常は自分でわかるのか、ご説明します。
噛み合わせが悪いとはどういう状態?
良い噛み合わせは、上下本ずつの歯に均等な力がかかって左右のバランスよく噛める状態をいいます。咬合が悪くなっていないかのチェック項目をご説明します。
顎が水平方向にズレていませんか?
鏡の前に立って、割り箸を横向きにして左右の奥歯で噛みます。割り箸が水平になっていれば、顎の水平方向のズレやゆがみはありません。
斜めに傾いている場合は、噛み合わせにズレが生じていることが考えられますので適切な状態に改善する必要があります。
奥歯のバランスは取れていますか?
口を開けたり閉めたりしながら、上と下の奥歯をカチカチと鳴らしてみます。上下の奥歯が当たる感じは左右で同じですか?同じであれば咬合のバランスはとれています。
噛んだ時に奥歯が当たる感覚が左右で違う場合は、噛み合わせが悪い可能性がありますので、正しい咬合へと治療する必要があります。
あごの関節は良く動きますか?
鏡の前に立ちます。人差し指をこめかみの下の耳の付け根あたりのくぼみに当てて、口を「い」の形にして、歯を見ながらゆっくりと口を開けていきます。上下の前歯の中心が左右にずれていませんか?
顎が動きにくいと感じたり、顎関節の部分で関節が鳴って音がすることはありませんか?左右で動かしにくいことや、痛みや違和感がないか確認してみましょう。
片方でばかり噛んでいませんか?
左右どちらかのみで噛む癖がありませんか?左右均等に咀嚼できていますか?噛みやすく感じる方でばかり噛んでいると、片方の歯や顎関節に負担がかかるため、咬合が少しずつずれてきます。
また、片方の顎ばかり使うことで全身のバランスが狂いますので、左右両方の歯を使って噛むようにしましょう。
口がしっかり開きますか?
大きく口を開けるのが日ごろから難しいと感じていませんか? または歯医者での治療や定期健診の際に、お口が開きにくいと感じたことはありませんか? ドクターから「もっとお口を大きく開けれますか?」と言われたことはありませんか?
顎の関節を気にすることなく、無理のない範囲でしっかりとお口を開けることが出来れば、大丈夫です。
ギュッと噛みしめる癖はありませんか?
仕事中や何かに集中しているときに、気が付いたら奥歯をギュッと噛みしめて歯を食いしばっていたということはありませんか?
噛みしめ癖のない状態では、口を閉じた時に上下の歯の間には少しの隙間が空いていて、上下の歯が当たらない状態になっています。そして舌の位置も大切です。舌の位置が①上顎に触れている②舌先が上の前歯の少し後ろに触れている③舌先は前歯には触れていないことを確認してみましょう。
噛みしめの癖は無意識に行っているもので、ストレスによるものが大半です。うつや更年期障害でも強い噛みしめが多く見られますので、出来るだけリラックスできる時間をつくることが大切です。また、あまり噛みしめ癖や食いしばりを意識しすぎるとかえって力みが出てしまって、顎の骨の位置が通常とは違う感じになってしまいますので、リラックスするように心がけましょう。
歯ぎしりをしていませんか?
眠っている間に歯を強い力で擦り合わせ、キリキリと音をたてることを歯ぎしりといいます。噛みしめとよく似ていますが、歯ぎしりは音を立ててしまうので、ご本人は気付いてなくても家族などに指摘されて気づくことが大半です。
眠っている間なのでご本人が歯ぎしりを自覚することは殆ど出来ません。しかし歯ぎしりをしていると、歯にはものすごい力がかかっていますので、歯や被せ物が欠けてしまうことがあります。
歯ぎしりで歯を傷めないためには、ナイトガードと呼ばれるマウスピースを歯に装着して就寝するなどの対症療法となります。噛みしめと同じく、ストレスによるものが多く、リラックスを心がけることが大切です。
噛み合わせとは?
噛み合わせは噛んだ時の上下の歯の接触や、顎を左右に動かした時の歯の接触の状態のことをいいます。
人間の歯は、上顎は頭蓋骨にくっついていて動きませんので、下顎を上下に動かすことで噛むことが出来ます。歯を支えている歯槽骨、歯、咬合筋、顎関節がそれぞれバランス良く動くと、スムーズにものを噛むことが出来ます。
上下の歯の当たり方が悪くなって噛み合わせが悪くなると、口を大きく開ける時に痛みが出たり、顎関節の動きが悪くなったり、歯の一ヶ所が大きくすり減ったり、詰め物・被せ物が外れやすかったり、歯や被せ物が割れることもあります。
咬合の異常に自分で気づける?
咬合に問題があって顎関節症や歯周病のリスクがあっても、自分ではなかなか気づけない場合が多いです。正しく噛み合っていない歯があったとしても、歯と歯槽骨の間にある歯根膜がクッションの役割をして、他の歯と同じように噛める状態にしてくれるからです。
しかし噛み合わせの悪い部分は、他の歯とは違って強い力がかかっています。歯が無理な力を受け続けると、歯に負担がかかり続けた結果、動揺して他の歯を押して歯並びが悪くなってきたり、歯茎や歯の根っこなどの歯周組織の破壊を引き起こすことが少なくありません。
少しでも噛みやすい状態にしようと顎をずらして噛み続けると、今度は顎の筋肉の使い方のバランスが崩れて頭痛や肩こりの原因になることもありますし、顎関節症を発症するリスクも高まります。
顎の筋肉や、顎を支える首や肩の筋肉に症状が出ることで異常を感じ始めて、やっとその原因が歯にあることに気づく場合もありますが、原因不明の不定愁訴として片付けられてしまう場合もあります。
このようにして、噛み合わせの異常によって気づかないうちに顎関節症や歯周病を悪化させることになってしまいます。
噛み合わせが悪い状態に関するQ&A
噛み合わせが悪いとはどのような状態ですか?
上下の歯が適切なバランスで配置されず、正しく噛むことが難しい状態を指します。この状態では、顎の位置や歯の接触が不適切であり、口の健康に関する問題が生じる可能性があります。
正しい噛み合わせとはどのようなものですか?
上下の歯が均等な力を受け、左右のバランスよく噛むことができる状態を指します。これにより、食事を摂る際に歯に均等な圧力がかかり、口の健康を維持しやすくなります。
奥歯の噛み合わせのバランスが取れているかどうかを確認する方法は?
奥歯の噛み合わせのバランスを確認するには、口を開けたり閉めたりしながら、上下の奥歯をカチカチと鳴らしてみます。上下の奥歯が同じ感覚で当たっている場合、咬合のバランスは取れています。異なる感覚がある場合は、問題がある可能性があります。
まとめ
歯を長く健康に保つためには、噛み合わせが悪い場合は調整を行うことが必要です。被せ物が僅かに高い場合は、被せ物を少しだけ削ります。
噛み合わせの治療の多くは口腔外科の領域となりますが、矯正治療で歯並びを整えたあとのゴールとして、最終的な咬合も無視出来ない大切な要素となります。天然の歯を長もちさせるために、良い噛み合わせを手に入れて頂きたいと思います。