
インビザラインの特徴の一つに「痛みが少ない」というものがあります。マウスピース矯正は「目立たない」ことがクローズアップされがちですが、ワイヤー矯正と比べて痛みが少ないことも、大きなメリットとなっています。痛みが少ない理由についてご説明します。
インビザライン矯正とは?
インビザライン矯正とは、透明なマウスピースを使用して歯を少しずつ移動させる矯正治療法です。この治療法は、従来の金属ブラケットを用いた矯正治療とは異なり、見た目が目立たず、取り外しが可能な点が特徴です。
さらに、インビザラインは歯列の3Dスキャンを基に作成された個別のマウスピースを使うため、患者さん一人ひとりに合わせた治療が可能です。不正咬合の改善や出っ歯、すきっ歯など、幅広い症状に対応しています。
インビザラインでの矯正が痛くない理由

インビザラインは、従来のワイヤー矯正と比較して治療中の痛みが少ないとされています。その主な理由は以下のようなものです。
1. 緩やかに力をかけて歯を少しずつ動かしていく

インビザラインでの矯正が痛くない一番の理由は「強い力で一度に歯を動かさず、緩い力で少しずつ動かしていく」というマウスピース矯正の特徴によるものです。アライナー(マウスピース)1枚あたりの歯の移動量は歯根膜の厚さと同じ0.2~0.25mmと決められています。
歯根膜とは歯と骨の間にある薄い組織で、歯が噛む力を柔らかく受け止めるクッションの役割をしています。矯正治療では歯根膜に力を加えることで歯を動かしていきますが、強い力をかけて歯を動かそうとすると、痛みを伴います。インビザラインは歯根膜に負担をかけないように設計されていますので、歯が動く時の痛みがかなり少なくなります。
アライナーは1~2週間で交換しますので、0.2~0.25mmを1~2週間で動かすことになり、かなりゆっくりと歯を動かすことがおわかりになると思います。
- 歯への圧力が均一にかかる
- 無理のないペースで進むため歯肉や骨への負担が少ない
2. 患者さんの歯型データによって作成される
インビザライン矯正では、iTeroの3Dスキャン技術を用いて患者さんの歯列を精密に計測します。データを基に、患者さんごとに最適化された治療プランが設計するため、歯にぴったりとフィットし、無駄な圧力や摩擦が少なく、痛みが軽減されます。
- 必要以上に強い力をかけることがない
- 治療の進捗に応じてマウスピースを変更
- 痛みが発生する場合の調整が容易
その結果、治療中の痛みが最小限に抑えられ、快適な矯正体験を提供します。
3. 柔軟な材質を使っている

インビザラインのアライナーは、「SmartTrack」と呼ばれる特別な熱可塑性ポリウレタン樹脂で作られており、これも痛みが少ない理由となります。この材質には以下の特徴があります。
柔軟性と弾力性
SmartTrackは柔軟性と弾力性に優れており、歯に均一な圧力をかけることができます。これにより、歯が少しずつ動かされる際の痛みや不快感が軽減されます。
フィット感
この材質は歯の形状にぴったりとフィットするように設計されています。そのため、アライナーが歯にしっかりと密着し、無駄な動きや圧力の分散が防がれます。これにより、痛みや不快感がさらに減少します。
耐久性
SmartTrackは耐久性が高く、変形しにくい材質です。これにより、アライナーが長期間にわたって適切な力を保持し続けることができ、痛みの原因となる不均一な力のかかり方を防ぎます。
滑らかな表面
SmartTrackの表面は非常に滑らかで、口内や歯肉への摩擦を最小限に抑えます。これにより、口内炎や歯肉の炎症といった痛みの原因を減少させます。
4. 取り外し可能

食事や歯磨きの際に取り外すことができるため、歯や歯肉への直接的な圧力や摩擦が少なくなります。また、口内の清潔を保ちやすく、炎症や痛みの原因となる感染症のリスクも低減します。
5. ワイヤーやブラケットを使用しない
ワイヤー矯正ではブラケットやワイヤーを使いますので、粘膜に装置が当たったり刺さったりして口内炎になることがあります。しかしマウスピース型の装置は口の中を傷つけることはありません。
マウスピースの縁は念入りに研磨して滑らかにしてありますが、万が一バリが残っていて歯茎に当たって擦れる感じがするときは、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
※マウスピースを外して食事をする際に、歯の表面についているレジンのアタッチメントが頬の粘膜に当たって痛むということが起こる場合もあります。
- 金属が原因の痛みや傷がない
- 舌や頬への刺激を最小限に抑えるデザイン
- アレルギーのリスクが低い
6. 個別に設計された計画的な治療
インビザラインの治療はデジタルでのシミュレーションに基づいて計画されており、治療の進行状況や歯の動きを予測しやすいため、無理な力を加えることなく、計画的に治療が進められます。
これらの特徴によって、インビザラインは痛みが少ない矯正治療法として評価されています。
痛みを最小限に抑えるための注意点
インビザライン矯正の痛みをさらに軽減するためには、以下の点に注意することが重要です。
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装着時間を守る
毎日22時間以上の装着を続けることで、計画通りに治療が進みます。 -
痛みがある場合は歯科医に相談
初期段階やマウスピースを交換した直後に軽い痛みを感じることがありますが、通常は数日で軽減します。それ以上続く場合は歯科医に相談しましょう。 -
マウスピースの取り扱いに注意
熱湯で洗うと変形の原因になります。適切な方法で清潔を保つことが大切です。
まとめ

インビザラインで治療中の痛みが少ない理由は、歯をゆるい力で小さく動かしていくというマウスピース矯正ならではの特徴によるものであることがわかりました。痛みを殆ど気にすることなく治療を進めていけるのは、マウスピース型矯正装置インビザラインの大きなメリットです。