インビザライン

インビザラインでの口ゴボ治療の可能性について

インビザラインでは口ゴボは治らないの?

口元全体が前に出ている状態を口ゴボと呼びます。矯正治療のための装置の中でも人気のあるインビザライン(マウスピース型矯正装置)では、口ゴボは治るのか治らないのか、ご説明します。

口ゴボとは?

口ゴボとは口ゴボとは、上顎と下顎の前歯が前方に突出し、横顔を見ると口元の出っ張りが目立つ状態を指します。この状態は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせが悪かったり発音に問題があるなど、機能面にも影響を及ぼすことがあります。

インビザラインで口ゴボは治るの?

インビザラインは、軽度から中程度の不正咬合に対して効果があるとされています。しかし、重度の口ゴボや骨格的な問題が原因の場合、インビザラインだけでの改善は難しい場合があります。そのようなケースでは、他の矯正治療や、セットバック手術などの外科的治療が併用されることが多いです。

軽度から中程度の口ゴボの場合

インビザラインは、歯を少しずつ動かして歯並びを整える透明なマウスピースです。このマウスピースを連続して使用し、10~14日程度で新しいものに交換することで、歯の傾きを改善し、前歯を後ろに移動させることが可能です。

軽度から中程度の口ゴボの多くは、歯の位置や角度が問題であるため、インビザラインは有効な治療方法となります。また、患者さんの歯並びに合わせてカスタマイズされたマウスピースが使用されるため、治療は精密に行われます。

重度の口ゴボや骨格的な問題が原因の場合

一方で、重度の口ゴボや、顎の骨格自体が前方に突出している場合、インビザラインだけでは十分な改善が難しいことがあります。このような場合、インビザラインによって歯の位置を調整することはできても、骨格自体の問題を解決することはできません。例えば、上下顎の骨格に過成長が起こっていて大きな不調和がある場合、歯の位置を変えても根本的な改善には至らないことがあります。

他の矯正治療や外科的治療の併用

このような骨格的な問題が関与する口ゴボに対しては、インビザライン治療と並行して、ワイヤー矯正や、セットバック手術などの外科的な治療が必要となることがあります。

ワイヤー矯正では、より大きな力をかけて歯を動かすことが可能で、骨格的な不調和をある程度補正することができます。また、セットバック手術では、顎を一部切除することで顎の位置を正しく調整し、骨格そのものを矯正することで、根本的な解決を図ることができます。

インビザラインでの口ゴボ治療の限界と注意点

重度の口ゴボの場合

重度の口ゴボの場合、インビザライン単独では効果が不十分な場合があります。この場合、上下セットバック手術や他の矯正装置と併用する必要があります。

治療期間

口ゴボの治療には通常よりも長い期間がかかることがあります。また、定期的な診察とマウスピースの交換が必要です。

患者さんの協力が必要

インビザラインは取り外しが可能ですが、治療効果を最大限に引き出すためには、1日22時間以上の装着が推奨されます。

インビザラインで口ゴボを治すメリット・デメリット

インビザライン アライナーとケース

今のところ奥歯も含めた全体的な矯正を行うことの出来るマウスピース矯正はインビザラインしかありません。他の名称、メーカーのマウスピース矯正は前歯だけの部分矯正に特化されたものです。

インビザラインで口ゴボを治すメリット

インビザライン装着

インビザラインは透明なマウスピース型の装置です。目立ちにくいため装着していても見えにくいのがマウスピース矯正の大きな特徴です。口ゴボの治療では抜歯を伴うケースになる可能性が高いのですが、抜歯した部分をマウスピースが覆うために、抜歯部分が目立ちにくいというメリットがあります。

抜歯を伴う矯正では、歯を大きく動かすことになります。インビザラインは歯にアタッチメントを取り付けるので歯に力がかかりやすく、歯を自在に動かせるという利点もあります。

インビザラインで口ゴボを治すデメリット

抜歯を伴う矯正では、抜歯した歯の大きさの分だけ前歯を後ろに移動しなければなりません。第一小臼歯一本分のスペースを動かさなくてはなりませんので、インビザラインのみで歯を動かそうとすると、治療期間が長くかかることと、歯が内側に傾くというリスクがあります。

そのため、ケースによってはワイヤー矯正との併用で治療を行わなければなりません。ワイヤー矯正併用にするかどうかは、治療計画を作成する際に決定します。

インビザラインでは一日に22時間の使用が必要になります。決められた時間を守らないと計画通りに歯が動きません。また、インビザラインは他の種類のマウスピース矯正と違ってアタッチメントという突起を歯に付けて、歯にかかる力をコントロールします。アタッチメントは白色のレジンで出来ており歯の色に馴染みますが、何か所もつけるのは嫌だとおっしゃる方も稀におられます。

アタッチメントの説明

アタッチメントをつけずにインビザラインで治療をすると、アタッチメントをつけた場合と比べて歯が動きにくいため、終了までの期間が延びることになります。アタッチメントはインビザラインで理想通りに歯を動かしていくためには大変重要なものですので、メリットの方にも記載しています。

アライナーとアタッチメント

口ゴボになる原因は?

口ゴボでお悩みの方の中には上の前歯だけが原因の出っ歯の方もおられますが、多くの方は骨格が前に出ているために出っ歯になり、同時に唇が前に突き出たような形になっています。

レントゲン写真

上下の顎の骨格自体が前方に出ている状態になっていますので、歯科矯正だけでは改善しないケースもあります。横顔で口ゴボがわかるだけでなく、前から見てもお口のまわりが出ていることがわかる場合は、少し重度といえるかもしれません。(上は実際の患者さんのレントゲン写真です。)

口ゴボになる原因は、出っ歯(上顎前突)であるといえますが、上の前歯だけが前方に突き出ている場合、上下の前歯が前方に突き出ている場合、指しゃぶりや舌で前歯の裏側を押す癖がある場合、または遺伝で骨格が前に出ている場合もあり、他にも様々な要因があります。

舌で下顎の前歯をおすと受け口になりますし、出っ歯だけでなく、叢生(ガタガタ)を伴っている場合もあります。

歯列だけを見れば綺麗な歯並びをしておられても横顔に審美的な問題があるのであれば矯正治療の対象になります

口ゴボの治療は歯を抜かなくてはいけないの?

口ゴボは歯が前に飛び出している状態ですので、第一小臼歯を抜歯することによってスペースを作ります。第一小臼歯の大きさは、女性が約7ミリ、男性が約7.5ミリです。小臼歯を抜いて出来たこのスペースを使って前歯を後ろに下げていきます。

少しの歯の重なりなら歯を抜かなくても矯正できるのですが、口ゴボの方は歯を大きく動かさなくては口元のラインが改善されません。

第一小臼歯を抜歯した後は、具体的にはまず犬歯を第二小臼歯と接する位置まで移動させて、その後に前歯4本を後ろに下げていきます。

抜歯矯正は以前はワイヤー矯正単独か、またはインビザラインとの併用で行われましたが、近年はマウスピース単独でも抜歯矯正が可能になりました。ただし、口ゴボの程度にもよりますので、ワイヤー矯正の併用が必要かどうか、カウンセリングで担当医と良く話し合ってお決めください。

重度の口ゴボは輪郭整形(セットバック)で横顔がキレイになる

口ゴボ 術前術後

重度の口ゴボでは、顎の骨を下げない限り見た目はあまり改善されません。そのため、当院では輪郭整形(セットバック)と呼ばれる外科矯正を行っています。

前歯の引っ込む量が多い程、口ゴボはより改善されますので、骨を切って前歯を後ろに下げる方法は大変効果があります。

インビザラインでは口ゴボは治らないのかに関するQ&A

Q

インビザラインを使って口ゴボは治りますか?

A

インビザラインは透明なマウスピース型の矯正装置で、口ゴボの治療に使える可能性があります。ただし、上下顎の過成長による骨格性の口ゴボの場合、マウスピースでの矯正だけでは満足な結果が得られない場合があります。骨格性の場合は、外科手術の適応になります。

Q

口ゴボの治療に抜歯が必要なのですか?

A

口ゴボの治療には抜歯が必要で、第一小臼歯を抜歯してスペースを作り、前歯を後ろに移動させる方法が一般的です。ただし、抜歯の必要性は症状の重さに依存します。

Q

口ゴボが重度の場合、外科矯正はどのように行われるのでしょうか?

A

重度の口ゴボには外科矯正(セットバック)が必要で、顎の骨を切って前歯を後ろに下げる方法が有効です。当院ではセットバックを日帰り手術で行っており、全身麻酔が必要になります。

まとめ

歯のキャラクター

インビザラインでの口ゴボの治療についてご説明しました。口ゴボの矯正には殆どのケースで第一小臼歯の抜歯が必須になります。マウスピースでも出っ歯の治療は可能ですが、口元を大きく下げたい場合にはセットバック手術をご検討ください。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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