小児矯正

子供の受け口治療

子供の受け口治療

受け口の子供の治療は何歳から始めればいいのかとよくご質問を頂きます。今日は受け口の子供の治療方法についてご説明します。

3才の子供の受け口治療

受け口はなるべく早く治した方が良いです。当院では、3歳からの治療をお勧めしています。3歳の子供はまだ小さいので、そんな小さな子供に矯正治療ができるのかと思われるかもしれません。3歳の子供への受け口治療は以下のような装置を使います。

1. ムーシールド

子どもの0期治療ムーシールド

3歳の子供への矯正治療は、受け口の場合はムーシールドという名前の矯正装置を入れて治します。対象年齢は3~8歳までとなっていますが、、実際にはムーシールドは6歳位まで使用しています。

ベストな年齢は3歳から5歳です。低年齢の子供の受け口治療に使っている装置が、ムーシールドです。この装置を使うと、受け口が半年から1年位で治ってきます。

ムーシールドを口の中に入れ、マウスピースのくぼんだ部分に舌を乗せると、舌が正しい位置に置かれます。舌が正しい位置に置かれると、舌が上顎の前歯の裏側に当たります。舌は筋肉なので、筋肉で上顎を強い力で押すと、舌の力で上顎は前に出ます。

受け口の大きな原因は、上顎の劣成長(=成長してない)のことが多いのですが、舌が当たって上顎を押すことにより、上顎を成長させます。

そしてマウスピースの前面の前歯を覆う部分は、前歯が舌に押されて前に飛び出して出っ歯になることを防いでいます。下顎については、ムーシールドは全く影響しませんので、上顎が大きくなることで下顎も自然に大きくなります。

このような簡単な装置で、3~5歳位の子供はこの方法で受け口を治す事が出来ます。

2. プレオルソ、T4K

プレオルソとT4K

プレオルソやT4Kという装置もよく使われています。この装置の対象年齢は3~10才までといわれていますが、実際には5、6才~10才位までの子供が対象です。

ムーシールドより年齢が上がった子供が対象ということになります。プレオルソの原理は、ムーシールドと同様です。

3. 上顎前方牽引装置(じょうがくぜんぽうけんいんそうち)

上顎前方牽引装置

上顎前方牽引装置(じょうがくぜんぽうけんいんそうち)というものも極めて有効な装置です。下顎が前に出てしまう受け口の原因は、下顎自体が出てる場合もありますが、上顎が成長してない場合が多いです。

受け口といっても原因は色々あり、上顎の劣成長(成長していないこと)により、相対的に受け口になるという事も多いいです。その場合に上顎を前に引っ張って成長させる装置が上顎前方牽引装置です。

上顎は1歳で成長が終わります。それに対して下あごは、16~18歳まで成長します。そこで10歳までの間に上顎前方牽引装置を使用します。この装置は7歳から使えますが、7~10歳の短い時間しか使えない装置です。

上顎前方牽引装置は上顎を引っ張ることで上顎を確実に前方へ成長させます。受け口は横顔にも影響があって、下顎が目立つ子供の場合、それは上顎が成長をしていないからです。この装置で上あごを前に出すと上あごが成長しますので、相対的に受け口が治ります。横顔はもちろん、正面からも口元を綺麗にできるという事になります。

4. チンキャップ

チンキャップ

年齢が少し上がり、おおよそ小学校高学年から中高生位になると、チンキャップという装置を使う治療法もあります。

下あごにこんなキャップのようなものを置いて、頭蓋骨を固定源にして、頭蓋骨から下あごを後ろに引っ張る装置です。それにより、下あごが前に成長するのを防ぐ事が出来ます。

10年程前までは、この装置を頻繁に使っていました。ただ、この装置を使用すると、顎関節に異常が出るケースもあります。そのようなリスクがあるため現在では使用頻度は減りましたが、効果はありますので、下あごの成長が目立つ子供には使用する事もあります。

いずれにしても、子供の受け口は早くから治療を行えば効果があります。下あごが成長し終えてから治そうとすると、対象年齢を過ぎてしまっているため、チンキャップも使用できません。

【動画】矯正歯科医が教える 子供の受け口治療


子供の受け口治療に関するQ&A

Q

受け口治療に最適な年齢は何歳からですか?

A

受け口治療の適切な対象年齢は3歳から8歳までとされていますが、特に3歳から5歳の間が最適です。

Q

受け口治療に使用される主要な装置は何ですか?

A

主要な装置はムーシールド、プレオルソ、T4K、上顎前方牽引装置、チンキャップです。これらの装置は上顎の成長を促進し、受け口を治すのに役立ちます。

Q

ムーシールドとはどのような矯正装置で、どの年齢層に適していますか?

A

ムーシールドは3歳から8歳までの子供に使用される矯正装置で、舌の位置を調整し、上顎の成長を促進して将来受け口になるのを防ぎます。最も効果的な年齢は3歳から5歳です。

まとめ

歯のキャラクター

大人になって、18才になってからの受け口の治療では、残念ですが骨格は治りません。歯の矯正治療で歯の前後関係の位置を治す事はできますが、骨格自体を後ろに下げる治療は出来ません。特に骨の成長が完全に終わって大人になってしまうと、もうできないです。受け口に関しては低年齢からの治療をおすすめしています。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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