小児矯正

子供の矯正は痛い?

子供の矯正は痛い?

子供が矯正の治療を行う際に、痛いのではないかと心配になられる保護者の方がおられます。今日は「子供の矯正は痛いのか」という事について、ご説明します。

子供の矯正の1期治療は痛い?

一期治療は6歳から永久歯に生え変わるまで子供の矯正の痛みについてご説明します。乳歯の時期や、乳歯から永久歯への生え変わりの時期の治療は1期治療と呼ばれ、拡大床やT4K、インビザラインファースト等の装置を使用して顎を大きくしていきます。これらの装置は痛みを感じる事が少ないのが特徴です。

お口の状態によっては急速拡大装置(Hyrax)と呼ばれる固定式の装置をつける場合もあり、この装置は一定期間ごとにネジを回して装置の横幅を大きくしていきますので、その際に一時的に痛みが出る場合があります。

1期治療に使用する主な装置

子どもの1期治療に使用する装置

2期治療の矯正の器具が痛い?

二期治療は12、13才くらいから永久歯が生え揃った子供に対しては2期治療を行います。2期治療は大人の矯正と同じ装置を使い、治療自体も大人と同じ内容になります。

2期治療で痛みを感じる原因として考えられるのは、以下の4つです。

  1. 歯が締め付けられて痛い
  2. 歯に力がかかって痛い
  3. 装置がお口の中の頬の内側や舌等に当たって痛い
  4. 歯が動き時に痛い

いずれの場合も2期治療の器具を装着することにより起こりやすいです。歯を動かして正常な歯の位置にする為、ある程度の力が必要となるので、痛みを感じます。ただ、これらの痛みはどのような処置を行っている時に起こるのかご説明します。

ブラケットを装着した歯にワイヤーで結紮する時
→歯に力がかかって痛い、装置が当たって痛い
インビザライン(マウスピース型装置)をはめる時
→歯が締め付けられて痛い

どちらも2期治療を開始直後や、もしくはワイヤーとアライナー(マウスピース)の調整や交換を行う際に、痛いと思う方が多いです。歯が動く際に痛みが出る場合もあります。ただ、いずれも長期間、器具を装着時にずっと痛みを感じるという事ではありません。

子供はどれくらいの期間で矯正に慣れる?

大人と子供の矯正で異なる点がいくつかあります。特に異なる点は、子供は大人と違い適応能力が大変高いという点です。器具に慣れることが出来ず、治療継続が困難だというケースはほぼありません。すなわち、治療をスタートしてからわずか数日間で、装置をお口の中につけることの違和感に慣れる子供がほとんどです。

2~3日痛みが続く場合はすぐに医院に連絡をしてください。痛いレベルにもよりますが、歯茎や粘膜に装置が食い込んで痛い場合は担当医やスタッフに連絡をとり、早めに歯科医院へご来院ください。

気になる事として、2期治療を行うお年頃は、周囲からの見た目が気になるタイミングでもあります。「見た目が嫌だから矯正治療をあまりしたくない」とデメリットを感じる子供も多いでしょう。

2期から始めたケースでは、歯の土台であるあごの骨がもう成長しています。つまり、治療期間・保定期間を含めると、子供であっても大人と同じ位の年月を要する事になり、人前で笑うのが恥ずかしいなどコンプレックスになる事もあり得ます。

ただ、1期からあごの骨のバランスを整えていると、2期治療を行う事になっても、大人より少し短い時間で終了するというメリットもあります。

矯正を痛いと言う子供への処置や注意点

矯正を痛いという子供には、このような処置や注意点があります。

装置が当たって痛いという場合の処置

装置が当たって痛くて耐えられない場合

お口の粘膜に当たるブラケットやアーチワイヤーの箇所にワックスを付けてもらう治療を行います。歯列矯正用ワックスで装置を覆うと痛みはなくなります。シリコンタイプですぐ固まるものや、そうでないものもありますので、歯科医院へご相談ください。

痛みを少なくするための注意点

早い年齢から矯正治療を始める

中学生になって開始するより、小学生の混合歯列期から治療を開始すると、痛みには慣れやすいと思います。身体の成長に個人差がありますので、一概には申し上げられませんが、早い方が慣れやすいです。

固い食べ物に注意する

固い食べ物(固い肉、フランスパン、玄米など)を避けると痛みが起こりにくくなります。どうしても食べたい場合は、食べ物をあらかじめ細かくしておいてから咬む事をおすすめします。

痛い時は痛み止めを服用する

どうしても痛くてつらいという子供で、次の通院の予約がかなり先という場合には、市販の鎮痛薬を服用させてください。ただし何日も服用し続けないで、歯科医院に連絡して一度診てもらうことをお勧めします。

アセトアミノフェンが成分の胃に優しい鎮痛剤がドラッグストアなどで販売されています。アセトアミノフェンは効き目は緩やかですが、他の成分と比べても副作用が少ない安全な成分と言われています。用法容量をきちんと守って服用する分には問題ありません。

子供の矯正とはどんなもの?

子供の矯正とは、0期、1期、2期と主に3つの期間に分類されます。それぞれの装置には特徴があります。

0期治療

子どもの0期治療ムーシールド
  • 対象の年齢:約3~5歳/乳歯の時期の矯正です。
  • 不正咬合:受け口
  • 使用する器具:ムーシールド
  • 0期からの治療方針:0期の治療を行うケースは、受け口を更に悪化させる口呼吸や、上あごを広げる、また、噛み合わせをなどをマウスピース型装置(ムーシールド)を使って治ししていきます。

1期治療

子どもの1期治療に使用する装置
  • 対象の年齢:約6~11・12歳/生え変わりの混合歯列期の矯正です。
  • 不正咬合:出っ歯・受け口・叢生・開咬・過蓋咬合
  • 使用する器具:インビザラインファースト・PRO矯正・床矯正・急速拡大装置 Hyrax
  • 1期からの治療方針:1期治療を行うケースは、不正咬合(上顎前突・叢生・開咬・過蓋咬合・ガミースマイルなど)の状態の混合歯列期という事です。上下の顎の成長バランスを整え、永久歯が生えるスペースを作っていきます。

2期治療

矯正治療種類
  • 対象の年齢:約12・13歳~/永久歯の時期の矯正です。
  • 不正咬合:出っ歯・受け口・叢生・開咬・ガミースマイル・過蓋咬合
  • 使用する器具:インビザライン・インコグニト・ホワイトワイヤー・ワイヤー
  • 2期からの治療方針:成人と同じような方法で歯の位置を動かしていきます。

子供の矯正は痛いのかに関するQ&A

Q

子供の矯正は痛いのでしょうか?

A

子供の矯正には痛みが伴うことがありますが、その程度は個人差があります。1期治療では痛みを感じにくい装置が一般的ですが、2期治療では歯の移動に伴う痛みが発生することがあります。

Q

子供の1期治療はどのような装置を使用するのでしょうか?

A

子供の1期治療では、拡大床、T4K、インビザラインファーストなどの装置が一般的に使用されます。これらの装置は比較的痛みを感じにくい特徴があります。

Q

2期治療の矯正の器具は痛いですか?

A

2期治療では、歯の位置を動かすために歯に一定の力がかかります。これにより、ブラケットを装着した歯にワイヤーで結紮する際や、インビザラインをはめる際に一時的に痛みを感じることがあります。

まとめ

歯のキャラクター

今回は「子供の矯正は痛いのか」という事についてご説明しました。歯並びを綺麗にすれば噛み合わせも良くなりますので、治療費はかかりますが、咀嚼機能の改善や顎関節症のリスクを減らす事が可能です。子供の歯並びが気になる方は、一度カウンセリングや検査を受けてみられてはいかがでしょうか?

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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