ワイヤー矯正

ワイヤー矯正のブラケットの種類について

矯正で使用するブラケットの種類について

ワイヤー矯正で使用する装置であるワイヤーとブラケットの種類についてご説明します。

矯正治療で使用するブラケットの種類とは

ブラケットの種類について

矯正で使用するブラケットは、大きく分けると結紮タイプ(※)と、セルフライゲーションタイプの2種類があります。ブラケットには歯列矯正を行うアーチワイヤーを通す溝(スロット)や、結紮を引っ掛けるウイングというものが備わっています。

※結紮(けっさつ)とは、ワイヤーをブラケットに固定する方法で、細いワイヤーを使う場合とカラーゴムを使う場合があります。

結紮タイプは、金属による結紮、モジュールと呼ばれるゴムによる結紮があります。金属の場合は、アーチワイヤーや、結紮線が非常に摩擦抵抗に優れているため、歯の動きを阻害しません。ただ、セルフライゲーションタイプより、治療期間が長くなる可能性があります。

モジュールの場合は、ゴムの色が様々あるため、矯正治療をよりカラフルに楽しみたい方には向いております。ただ、ゴムにより、歯の動きを阻害や劣化、着色汚れなどが目立ちます。また、歯の動きが悪いケースでは、治療期間が延長する可能性があります。

ブラケットの名称とは

ブラケットの種類について

結紮で使うブラケットの名称をご紹介します。

  • アーチワイヤー・・歯を矯正するメインのワイヤーで、目に付く部分です。
  • スロット・・アーチワイヤーが入る部分で、溝の部分です。
  • ウイング・・結紮線をひっかける部分です。

メタルブラケット

メタルブラケット

昔からよく用いられている一般的な金属製のもので、主に歯の表側につける矯正装置のことです。

銀色で目立つのでメタル製を避ける患者さんもおられますが、欧米では矯正をしていることが一種の社会的ステータスなので、目立つことは寧ろ誇らしいことで、現在でも一般的に使われています。

メリット

  • 歯の表側につける場合は様々な症例に対応できる
  • 他の装置と比べると治療費が安い
  • 金属でできているため丈夫で壊れにくい

デメリット

  • 銀色の金属なので目立つ
  • 金属アレルギーの方には使えない

審美ブラケット

ワイヤー矯正

周囲の人に装置が見えてしまうのは抵抗があるという方も多いです。目立たない装置としては、材質がプラスチックやセラミックの白や透明のものををおすすめします。

プラスチックブラケット

透明なので目立ちにくく、他の種類よりも料金が安いというメリットがあります。ただ、樹脂で作製された装置の為、吸水性があるという特徴があります。着色して変色したり、摩耗しやすいため、強度が気になるというデメリットがあります。

セラミックブラケット

金属と白のブラケットとワイヤー

金属アレルギーの方にはおすすめです。何より目立ちにくい特徴があります。セラミック製で歯の色に近く、メタルやデーモンより目立ちにくいのがメリットです。費用はやはりプラスチックよりは、少し高くなるのがデメリットです。

メリット

  • 歯の色に近い白色なので目立たない
  • アレルギーになりにくい

デメリット

  • メタルと比べると費用がやや高くなる
  • メタルよりも強度がやや劣る

セルフライゲーションブラケット

結紮タイプと違い、ゴムやワイヤーではなく、シャッターで蓋をするタイプで、ワイヤーの摩擦が起きにくい組み合わせとなっています。摩擦が起きにくければ弱い力でも歯は動き、痛みが軽減し、歯根吸収などのリスクを減らすことが可能です。歯の動きがスムーズなので治療期間も通常より短いものになります。また、歯科医師が結紮する時間が必要ないため、わずかですが診療の時間が短くなるというメリットがあります。

デーモンシステム

アメリカの矯正歯科医Dr.Damonが考案したシステムです。先程ご紹介したシャッターで蓋をするブラケットの他に、最新のテクノロジーが駆使された形状記憶合金のハイテクワイヤーと呼ばれるワイヤーで矯正を行います。

クリッピーブラケット

シャッター(クリップ)で蓋をするセラミックで作製されています。弱い力で歯を動かしていくという特徴の為、痛みが軽減されます。また、歯肉や口内の歯周組織に優しいというメリットがあります。

ただ、セルフライゲーションは通常の表側の矯正より高額になる事と、ワイヤーをメタルにする事が多いというデメリットがあります。

ハーモニーシステム

フランスの矯正医Dr.Curielが考案した舌側矯正用のセルフライゲーションシステムです。クリップ式でCAD/CAMを使用した矯正装置と、複雑に曲がったワイヤーでより歯を動かしやすくする方法で、歯の動きを良くするメリットがあります。ただ、シャッター式をブラケット内で内蔵しているため、厚みがあるのが大きなデメリットです。

その他のブラケット

結紮タイプのブラケットで、歯の裏側から矯正を行う装置をご紹介します。金属製ですがアレルギーを起こしにくい金合金を使っていますので、当院でも使用しています。

インコグニト

裏側矯正

インコグニトは歯の裏側に取り付けるタイプの矯正装置で、完全オーダーメイドで歯のカーブに合わせて作製されるためブラケットと歯の間に隙間が殆どなく、歯に接着する面積が広いので外れにくい仕様となっています。

厚さは約2ミリで歯にフィットするように薄く作製されますので、他の舌側矯正装置と比べて舌の違和感が少なく、『S』の発音の問題も改善されています。

金合金なのでアレルギーが少ないタイプです。

装置に慣れるまでの間は、個人差はあるものの、舌が装置に当たる違和感、発音のしにくさ、食事のしにくさがあります。

インコグニトのメリット

装置が見えないので気づかれずに矯正できる
  • 矯正してることに気付かれない
  • むし歯になりにくい
  • 前歯を引っ込めるのが得意
  • 食事のストレスを表側矯正より感じにくい
  • スポーツをする時も制約がない

インコグニトのデメリット

  • 舌が装置に当たる違和感がある
  • 食事が最初はしにくい
  • 発音が最初はしにくい
  • 費用がかかる

ワイヤー矯正で使用するブラケットの種類に関するQ&A

Q

ワイヤー矯正で使用するブラケットの種類にはどういうタイプがありますか?

A

結紮タイプとセルフライゲーションタイプの2種類があります。

Q

結紮の仕方にも種類があるのですか?

A

結紮のタイプには細いワイヤーによる結紮やゴム(モジュール)による結紮があります。

Q

セルフライゲーションブラケットのメリットは何ですか?

A

ワイヤーの摩擦が少ないため歯の動きがスムーズで、治療期間が短くなること、歯根吸収などのリスクが減少することです。

まとめ

歯のキャラクター

今回は「矯正で使用するブラケットの種類」についてご説明しました。歯科医院によっては、どの治療方法を採用しているか異なります。ワイヤー矯正を行う際にどのブラケットを使用するかは、担当医とご相談のうえお選びください。

ワイヤー矯正治療において使用されるブラケットには、さまざまな種類があります。主に、従来の金属製、セラミック製、およびセルフリゲーティングブラケットなどがあります。これらはそれぞれ異なる特性を持ち、治療のニーズや患者の審美的要求に応じて選択されます。

1. 金属ブラケット
金属ブラケットは、耐久性が高く、信頼性の高い治療結果を提供するという特徴があります。金属とステンレス鋼のワイヤーとの間の摩擦抵抗は、エステティックワイヤーやセラミック製を用いた場合と比較して、一般的に低い傾向にあります。これは、治療中の歯の動きをスムーズにし、治療時間を短縮する可能性があることを意味します。【J. Pilon et al., 2019

2. セラミックブラケット
セラミックブラケットは、その審美性により人気がありますが、金属に比べて摩擦抵抗が高いという特徴があります。この高い摩擦抵抗は、治療中の歯の動きに影響を与え、治療時間が長くなる可能性があります。しかし、現代のセラミックブラケットは、摩擦抵抗を低減するための改良が加えられています。【Aryadne Cipreste Mascarelo et al., 2018

これらの種類の選択は、治療の目的、患者のニーズ、および患者の審美的な希望に基づいて行われます。それぞれのに利点と欠点があり、それぞれのケースに最適なオプションを選択することが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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