
インビザラインは人気のあるマウスピース型の矯正装置ですが、どんな効果が期待出来て、どれ位の治療期間がかかるのでしょうか? 矯正の効果、期間などの情報や、出っ歯などの症例にも本当に可能かなどについてご説明します。
インビザラインとは?特徴と仕組みを解説

インビザラインは、透明なマウスピース型矯正装置を使用する治療法です。従来の金属ブラケットを使用する矯正と異なり、目立たないため多くの患者さんに人気があります。マウスピースは患者さんに合わせてカスタムメイドされ、段階的に歯を動かしていきます。

特徴
- 透明で目立たない
- 取り外し可能で食事や歯磨きがしやすい
- 痛みが少ないことが多い
インビザラインは、見た目に配慮しつつも効率的に歯並びを改善できる治療法として注目されています。
▼インビザラインについてはこちらで詳しく解説しています。
インビザラインの効果はどの程度?

インビザラインは効果が出るのが遅い?
治療を始めて1ヶ月程は、「歯があまり動いている感じがしない」とおっしゃって、矯正の効果が実感できない患者さんもおられます。確かにワイヤー矯正と比べると、マウスピース矯正の歯の動きはゆっくりとしたものと感じられるかもしれません。
それは、マウスピース矯正は1枚のアライナーで動かせるのは、僅か0.25mm程度とされているからです。そのため最初のうちはあまり動いていないと感じられるかもしれませんが、きちんとアライナーを装着し続けて頂ければ、クリンチェック通りに動いています。3ヶ月くらい経過した時に治療開始前の写真と比べてみると、確実に変わっている筈です。
以上のような理由で、インビザラインでの矯正治療の効果を実感できるのは、3ヶ月目くらいからといえます。
インビザラインの効果

効果は、マウスピースが目立たないという特徴と不正咬合を整える能力により、多くの人に選ばれています。どのような効果をもたらすのか、見ていきましょう。
1. 歯並びの改善
インビザラインは、主に軽度から中等度の不正咬合の問題や噛み合わせの問題を改善するために使用され、主に次のような状態を改善することができます。
- すきっ歯・・歯間に隙間がある場合、これらの隙間をなくす、または小さくさせることができます。
- 叢生(ガタガタ)・・歯が密集していて重なったりガタガタになっている場合、適切に配置し直すことができます。
- 出っ歯(上顎突出)・・上の歯が下よりも大きく前に出ていて、骨格が原因の出っ歯以外なら治療が可能です。
- 受け口(反対咬合・下顎前突・・)・・下の歯が上よりも前に出ている状態で、骨格が原因の受け口以外なら治療が可能です。
- 交叉咬合・・上下が正しく噛み合っていない場合は、歯を適切な位置に移動させ、噛み合わせを改善します。
2. 審美的な効果
インビザラインのもう一つの大きな効果は、審美面に関するものです。治療中もアライナー(マウスピース)が透明であるため、目立ちにくく、日常生活において人の目を気にすることなく治療を続けることができます。これは矯正治療中の見た目が気になる患者さんにとっては、大変大きなメリットとなります。
3. 取り外し可能なマウスピースを使用
マウスピースは取り外し可能であるため、食事やセルフケアの際には外すことができます。これにより、普段通りの食事が楽しめ、普段と同じやり方でセルフケアを行うことが出来ます。
4. 矯正治療の結果どうなるかを3Dソフトで予測できる
インビザライン治療は、まずiTeroと呼ばれる口腔内スキャナーで歯型データを取り、3Dソフトに読み込ませて治療の予測を見ることが出来ます。これによって治療前に最終的な結果を視覚化し、具体的にどのように動いていくのかを見ることが可能です。動きの予想が見れるため、患者さんのモチベーションの維持にもつながります。
出っ歯はインビザラインで治療できる?

歯列矯正のご相談で多いのが、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)等のお悩みです。出っ歯は程度によりますが、インビザライン矯正で治療可能です。
インビザラインが出っ歯に有効な理由
- 前歯を後方に移動させる力を適切にかけられる。
- 精密な歯型データを基に治療計画を立てるため、効率的な移動が可能。
- 骨格が原因の出っ歯以外ならば、インビザラインのみで十分に対応可能。
ただし、重度の出っ歯や顎の骨格に関する問題がある場合は、インビザライン単独では対応できず、他の矯正治療法や手術が必要になることもあります。
インビザラインの治療期間はどのくらい?
治療期間は、歯並びの状態や程度により異なりますが、一般的に以下の通りです。
- 軽度の不正咬合の場合・・6か月〜1年
- 中度の不正咬合の場合・・1年〜2年
- 複雑なケースの場合・・2年以上
インビザラインでの治療を計画通りの期間で終えるためには、アライナーを1日22時間以上装着することが重要です。装着時間が短いと、計画通りに動かず治療が長引く可能性があります。
軽度の出っ歯はIPR(歯の側面を削る方法)で対応
IPRとは?

軽度の場合は、IPR(ディスキング、スライス)という方法でスペースを作ります。IPRは前歯の側面を0.25ミリ程度削ってわずかなすき間を作り、そのスペースを利用して治します。
スペースが大きい場合は抜歯で対応
前突が強い方の場合は、小臼歯を抜いて出来たスペースを利用して、全体的に大きく下げていきます。抜歯矯正はインビザラインでも可能ですが、スペースが大きい場合は、ワイヤー矯正の方が一般的に治療期間が短くなります。
奥歯の遠心移動でスペースを確保する方法
矯正で奥歯を喉側に移動させることを遠心移動といいます。ワイヤー矯正などでは遠心移動は難しいのですが、インビザラインは遠心移動が出来るというメリットがあります。それには、親知らずが生えているかどうかや、臼歯を更に奥へと移動させられるスペースがあるかどうかも関係しますので、可能かどうかは担当医にご相談ください。
骨格性の出っ歯はインビザラインで治せる?

出っ歯の原因にはいくつかの種類があり、それによって治療方法が変わる場合があります。特に注意が必要なのは、骨格性の場合です。上顎の過成長によって上顎が大きく前に出ている方は、不正咬合を整えただけでは横顔のラインがあまり改善さず、口元が盛り上がった感じに見えてしまうことがあります。
これを解決するには、セットバック手術などの外科手術で顎骨をカットして出っ張りを減らすことが必要です。セットバック手術を行っている医院は少なく、当グループでは大阪梅田にあるカトレア歯科・美容クリニックでのみ行っています。
骨格性かどうかは、見た目では判断が難しいこともあります。骨格の問題が疑われる場合は、CTやセファロ分析などの精密検査で診断します。まずは矯正専門医にご相談ください。
▼セットバック手術についてはこちらで詳しく解説しています。
まとめ
インビザラインは、透明で取り外し可能なマウスピース型矯正装置を使用し、骨格が原因ではない場合の出っ歯の改善に効果的です。治療期間は症例により異なりますが、一般的に6ヶ月から2年程度が目安です。
「出っ歯が気になるけど、本当にインビザラインで治るのかな…?」と迷っている方も多いかもしれません。ですが、症状によっては十分に改善が可能です。まずはご自身の状態を知るためにも、気軽にご相談いただければと思います。