
「食いしばり癖があるけど、インビザラインってできるのかな…」
「夜、無意識に歯をギューッと噛んでるって言われたけど大丈夫?」
そんなふうに、不安になって検索された方も多いのではないでしょうか。
実はこの“食いしばり癖”、自覚がない方も意外と多いんです。
「矯正中にアライナー(マウスピース)を壊してしまったらどうしよう」「治療がうまく進まなかったら…」と心配になりますよね。
でも、ご安心くださいね。食いしばり癖がある方でも、インビザライン矯正は可能です。
ただし、いくつかの注意点やケースに応じた対応が必要なため、事前にしっかり理解しておくことが大切です。
このコラムでは、
食いしばりが与える影響
インビザライン治療が可能な理由と注意点
などをわかりやすくご紹介します。
不安を減らして、自分に合った矯正治療を選べるよう、一緒にチェックしていきましょう!
目次
あなたは食いしばりをしていませんか?

あなたは今、ぐっと力を入れて噛んでいませんか? スマホを触っていたり、テレビを見ていたり、何か集中している時に、上下の歯が当たった状態になっていないか、ご自身で観察してみて下さい。
上下の歯は、食事の時以外はお互いが当たることはありません。上の歯と下の歯には常に2mm程度の隙間が出来ています。それに加えて、舌先が上顎についている(歯には触れません。)というのが歯と舌の正しいポジションです。
食事以外でぎゅっと噛む癖がある方は、常に顎に力を入れている状態ですので顎関節症を起こしやすく、歯並びにも悪影響があるといわれています。
食いしばりと歯ぎしりの違いって?

「食いしばり」と「歯ぎしり」はどちらも舌や歯列が正常な位置におらず、常に強い力で噛みしめている状態です。その二つの違いは、行う時間が異なるということです。
一般的に歯ぎしりは、夜間就寝中に音を立てて自分でぎりぎりと噛む行為です。寝ている間に無意識に行っているので、歯や顎関節に悪いとわかっていても、なかなか止めることが出来ず、夜の間だけナイトガードと呼ばれるマウスピースをはめている方もおられます。
一方で食いしばりは、夜間だけではなく朝でも起きてしまう行為です。つまり時間に関係なく行う悪癖ということになります。
食いしばりで歯に影響があるの?

ぎゅっと噛む癖は、①歯の詰め物や被せ物が取れてしまうケース②噛み合わせが深くなる過蓋咬合という不正咬合になり顎関節症を引き起こすケース、どちらのリスク要因ともなります。その他にも、強い力がかかることで歯根にひびが入って抜歯しなければいけなくなったり、骨が過剰に発達し、固いこぶのようなものが出来る骨隆起というトラブルが起こる可能性があります。
食いしばりの原因とは?
ギュッと噛む癖はどうして起こるのでしょうか?原因については、様々なものが考えられます。ストレスや、喫煙、飲酒などの生活から起こる要因が悪影響を及ぼしたり、不正咬合による口腔内の状態から起こる事も考えられます。また、うつぶせ寝や運動が噛みしめ・食いしばりの癖に繋がることも考えられます。
インビザラインは食いしばり癖があっても可能?

インビザラインは可能?その答えは…
→ 可能。ただし「注意点」があります!
食いしばりの癖をお持ちの方が、インビザライン(マウスピース矯正)で矯正を行う事は可能です。しかし、少し注意が必要です。その理由は以下のようなものです。
インビザラインとは、周囲から見えにくい矯正で、透明なマウスピースによる取り外しが可能な矯正装置です。毎日22時間程度の長時間装着を行い、定期的に新たなアライナー(マウスピース)へ交換していくことで歯を動かす矯正治療法です。歯ぎしりから歯を守るためのナイトガードと呼ばれるマウスピースと違い、矯正治療用のマウスピースは、お口の違和感を少なくするために薄く作製しているのが特徴です。
食事中にぎゅっと噛んでしまう時にかかる負荷は60㎏程度で、睡眠中の無意識下で行われる場合は体重の2倍程度の負荷がかかるといわれています。これではアライナーが壊れてしまいます。
食いしばりを治せるならインビザラインができる?

癖は無意識に行ってしまう事が多く、自分は食いしばる癖はないと思いの方でも、もしかしたら日常的にではなくても強く噛んでしまっていることがあるかもしれません。無意識で行ってしまうため、気をつけて癖を失くすということも、なかなか難しいのが実情です。
しかし実際問題として癖を治すことが難しいならば、マウスピースにこだわらず、ワイヤーとブラケットを歯に付けるワイヤー矯正での矯正をお勧めします。
癖のある人はマウスピース型のリテーナーも壊してしまうことがある
食いしばり癖のある方でインビザラインで矯正をしたい方は、矯正用のアライナーが割れやすくなる傾向があります。矯正終了後につけて頂くリテーナー(保定装置)が噛みしめなどの癖で破損してしまった例もあります。
その場合はアライナーの再作製を行わなければなりません。再作製のお時間が追加でかかるため、始める前に治療計画で提示した期間よりも、結果的に治療期間が長くなってしまいます。
歯ぎしりや食いしばりは、無意識的なストレス解消の可能性があるため、そう簡単に治るものではないのも事実です。癖をお持ちの方は、インビザライン矯正を予定通りの期間で行うのは難しいかもしれません。癖がかなり強く、あまり改善が見込めない場合は、インビザラインではなくワイヤーやブラケットの矯正で治療するなどの選択で、より安心して治療を受けられます。
食いしばり癖とは?
まず、食いしばり癖について簡単に説明しましょう。
食いしばりの原因
食いしばりは、以下のような原因で起こることが多いです。
- ストレスや緊張:無意識に力が入ることで起こる
- 咬み合わせの問題:不正咬合により特定の歯に負担がかかる
- 睡眠中の癖:無意識のうちに歯を強く噛みしめる
- 生活習慣:長時間の集中作業(デスクワークや運動)で無意識に食いしばる
食いしばりが引き起こす問題
食いしばりが続くと、以下のような影響が出る可能性があります。
- 歯のすり減り・ヒビ割れ
- 顎関節症のリスク増加
- 歯ぐきへの負担(歯肉退縮)
- 肩こり・頭痛などの症状
このような影響があるため、強い食いしばり癖がある方は、注意点を押さえておく必要があります。
食いしばりがある場合の注意点
インビザライン矯正を行う際、食いしばり癖がある方が注意すべきポイントを紹介します。
1. アライナーの破損に注意
食いしばりが強いと、マウスピースに ヒビが入る、または 変形する 可能性があります。
→ 対策
- アライナーを装着している間、日中も意識して力を抜く
- 破損が見られたらすぐに歯科医に相談
2. 歯の動きに影響を与える可能性
強い食いしばりがあると、歯にかかる圧力が変化し、 計画通りに歯が動かない こともあります。
→ 対策
- 定期的に矯正歯科でチェックを受け、計画の調整を行う
- 食いしばりによる異常な圧力を感じたら、早めに相談する
3. 顎関節症のリスク
食いしばりが強いと、顎関節に過度な負担がかかり、 顎の痛みやカクカクする症状 が出ることがあります。
→ 対策
- 必要に応じて ナイトガード(就寝時のマウスピース) を併用する
- 顎のストレッチやマッサージを習慣化する
食いしばり癖がある場合の対策
食いしばり癖がある場合、以下のような工夫をすると矯正治療をスムーズに進められます。
1. リラックスを心がける
- ストレスが原因で食いしばっている場合、 深呼吸やストレッチ でリラックスする習慣をつける
- 寝る前に 顎のマッサージ を行う
2. 姿勢を意識する
- 猫背や前傾姿勢が食いしばりを悪化させることがあります
- パソコン作業時は 画面の高さを調整し、肩の力を抜く
3. ナイトガードを併用

- 夜間の食いしばりが強い場合、 ナイトガード(就寝時専用のマウスピース)を装着すると負担を軽減可能
- 必要であれば インビザラインと併用できるタイプ を歯科医に相談
インビザラインのアライナーはとても薄い

インビザラインは人気のマウスピース型矯正で、1日に22時間以上マウスピース(アライナーと呼びます)をはめることで歯を動かしていきます。
歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためのマウスピースと違って、インビザラインのアライナーはより違和感がないように薄く作られています。その厚さは僅か0.5ミリ。透明なポリウレタンの素材で出来ており、アライナーを装着していても他人には殆どわからないのが特徴です。
とても薄く繊細なインビザラインのアライナーは、歯に力を入れて噛むこととは相性が悪そうです。無理にインビザラインにこだわらず、ワイヤー矯正や裏側矯正で行うという選択肢もあります。
まとめ

インビザラインは食いしばり癖があっても治療可能ですが、注意点を押さえることが重要 です。
- アライナーが破損しやすい点に注意
- 歯の動きに影響を与えないよう、定期チェックを欠かさない
- 顎関節症を防ぐため、必要に応じてナイトガードを活用
- ストレス管理や姿勢改善で食いしばりを軽減
食いしばるの癖がある方にとっては、インビザラインの矯正装置はあまり向かない面があるものの、適切な対応をすれば十分に可能です。インビザラインはメリットの多い矯正装置ですので、どうしてもインビザラインでの矯正をご希望という方は、担当医に対応をご相談ください。