インビザライン

インビザラインは食いしばり癖があっても可能?

インビザラインは食いしばり癖があっても可能?

大阪矯正歯科グループ 歯科医師 松本 正洋

「インビザラインは食いしばりの癖があっても可能かどうか」というご質問を受けたことがあります。インビザラインは人気のマウスピース型矯正治療ですが、食いしばりや歯ぎしり等、無意識で歯をぎゅっと噛んでしまう癖のある方は、治療に支障は出ないのでしょうか?
癖がある方の場合、不向きな矯正装置があるという事をご説明します。

食いしばりがあるとインビザラインでの矯正は難しい

インビザライン

食いしばりの癖をお持ちの方が、インビザライン(マウスピース矯正)で矯正を行う事はあまりお勧めできません。その理由は以下のようなものです。

インビザラインとは、周囲から見えにくい矯正で、透明なマウスピースによる取り外しが可能な矯正装置です。毎日22時間程度の長時間装着を行い、定期的に新たなアライナー(マウスピース)へ交換していくことで歯を動かす矯正治療法です。歯ぎしりから歯を守るためのナイトガードと呼ばれるマウスピースと違い、矯正治療用のマウスピースは、お口の違和感を少なくするために薄く作製しているのが特徴です。

食事中にぎゅっと噛んでしまう時にかかる負荷は60㎏程度で、睡眠中の無意識下で行われる場合は体重の2倍程度の負荷がかかるといわれています。これではアライナーが壊れてしまいます。

食いしばりを治せるならインビザラインができる?

癖は無意識に行ってしまう事が多く、自分は食いしばる癖はないと思いの方でも、もしかしたら日常的にではなくても強く噛んでしまっていることがあるかもしれません。無意識で行ってしまうため、気をつけて癖を失くすということも、なかなか難しいのが実情です。

しかし実際問題として癖を治すことが難しいならば、マウスピースにこだわらず、ワイヤーとブラケットを歯に付けるワイヤー矯正での矯正をお勧めします。

癖のある人はマウスピース型のリテーナーも壊してしまうことがある

食いしばり癖のある方でインビザラインで矯正をしたい方は、食いしばりによって矯正用のアライナーが割れやすくなる傾向があります。矯正終了後につけて頂くリテーナー(保定装置)が噛みしめなどの癖で破損してしまった例もあります。

その場合はアライナーの再作製を行わなければなりません。再作製のお時間が追加でかかるため、始める前に治療計画で提示した期間よりも、結果的に治療期間が長くなってしまいます。

歯ぎしりや食いしばりは、無意識的なストレス解消の可能性があるため、そう簡単に治るものではないのも事実です。癖をお持ちの方は、インビザライン矯正を予定通りの期間で行うのは難しいかもしれません。癖がかなり強く、あまり改善が見込めない場合は、インビザラインではなくワイヤーやブラケットの矯正で治療するなどの選択で、より安心して治療を受けられます。

インビザラインのアライナーはとても薄い

インビザラインは僅か0.5mmの薄さ

インビザラインは人気のマウスピース型矯正で、1日に22時間以上マウスピース(アライナーと呼びます)をはめることで歯を動かしていきます。

歯ぎしりや食いしばりから歯を守るためのマウスピースと違って、インビザラインのアライナーはより違和感がないように薄く作られています。その厚さは僅か0.5ミリ。透明なポリウレタンの素材で出来ており、アライナーを装着していても他人には殆どわからないのが特徴です。

とても薄く繊細なインビザラインのアライナーは、歯に力を入れて噛むこととは相性が悪そうです。

あなたは食いしばりをしていませんか?

あなたは今、ぐっと力を入れて噛んでいませんか? スマホを触っていたり、テレビを見ていたり、何か集中している時に、上下の歯が当たった状態になっていないか、ご自身で観察してみて下さい。

上下の歯は、食事の時以外はお互いが当たることはありません。上の歯と下の歯には常に2mm程度の隙間が出来ています。それに加えて、舌先が上顎についている(歯には触れません。)というのが歯と舌の正しいポジションです。

食事以外でぎゅっと噛む癖がある方は、常に顎に力を入れている状態ですので顎関節症を起こしやすく、歯並びにも悪影響があるといわれています。

食いしばりと歯ぎしりの違いって?

「食いしばり」と「歯ぎしり」はどちらも舌や歯列が正常な位置におらず、常に強い力で噛みしめている状態です。その二つの違いは、行う時間が異なるということです。

一般的に歯ぎしりは、夜間就寝中に音を立てて自分でぎりぎりと噛む行為です。寝ている間に無意識に行っているので、歯や顎関節に悪いとわかっていても、なかなか止めることが出来ず、夜の間だけナイトガードと呼ばれるマウスピースをはめている方もおられます。

一方で食いしばりは、夜間だけではなく朝でも起きてしまう行為です。つまり時間に関係なく行う悪癖ということになります。

食いしばりで歯に影響があるの?

ぎゅっと噛む癖は、①歯の詰め物や被せ物が取れてしまうケース②噛み合わせが深くなる過蓋咬合という不正咬合になり顎関節症を引き起こすケース、どちらのリスク要因ともなります。その他にも、強い力がかかることで歯根にひびが入って抜歯しなければいけなくなったり、骨が過剰に発達し、固いこぶのようなものが出来る骨隆起というトラブルが起こる可能性があります。

食いしばりの原因とは?

ギュッと噛む癖はどうして起こるのでしょうか?原因については、様々なものが考えられます。ストレスや、喫煙、飲酒などの生活から起こる要因が悪影響を及ぼしたり、歯並びの悪さによる口腔内の状態から起こる事も考えられます。また、うつぶせ寝や運動が歯を噛む癖に繋がることも考えられます。

https://www.osaka-kyousei.com/column/1274.html

インビザラインは食いしばり癖があっても可能かに関するQ&A

Q

食いしばりの癖があっても、インビザラインでの矯正は可能ですか?

A

癖の影響でアライナーが割れる可能性があります。そのため、出来るだけ癖を治してから矯正治療を受けて頂いた方が、アライナーを壊すことなく治療計画通りに歯並びを治すことが出来ます。

Q

食いしばりの癖を持つ人にインビザラインでよく起こりがちなトラブルは何ですか?

A

癖がある場合、インビザラインのアライナーが割れやすくなる可能性があります。また、リテーナーの破損も起こり得ます。アライナーの再作製に時間がかかるため、治療期間が延びる可能性もあります。

Q

食いしばりの癖を治すことが難しい場合、他の矯正方法はありますか?

A

癖を改善することが難しい場合は、インビザラインよりもワイヤーやブラケットのワイヤー矯正を検討することがおすすめです。

まとめ

インビザライン一式

歯を食いしばるの癖がある方にとっては、インビザラインの矯正装置はあまり向かないという事がお分かりいただけたと思います。もちろん、インビザラインはメリットの多い矯正装置ですので、どうしてもインビザラインでの矯正をご希望という方は、担当医に対応をご相談ください。

綺麗な歯並びになれば、咬み合わせ等の問題解決以外に、大切な歯のブラッシングが楽になります。それにより、後々起きやすいと考えられる歯周病や、虫歯などの数々のトラブルが減らせます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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