
マウスピース型矯正装置 インビザラインで治らない出っ歯はありますか? 治らない場合、どうやったら治療できるのでしょうか?
インビザラインで治らない出っ歯もあります!でもそれは歯茎の骨格が前に出ているためにひどい出っ歯に見えるタイプ。逆に骨格は出ておらず歯だけが前に出ている場合なら治ります。
インビザラインと出っ歯についてのご質問におこたえします。
目次
出っ歯はインビザラインで治る?治らない?

出っ歯には様々な原因と状態があります。
- 奥歯の噛み合わせには問題なく、前歯のみが出ているケース。
- 奥歯のかみ合わせが多少ずれていて、前歯も出ているケース。
- 下顎が小さいため、前歯が出ているように見えているケース。
- 骨格が前に出ていることが原因で出っ歯になっているケース。
多いのはこの4つのケースです。
インビザラインは、ガタガタした歯並び(叢生)の治療に適していますが、もちろん出っ歯の治療にも対応出来ます。
前歯の前突の程度にもよりますが、一般的には抜歯を行って歯の動くスペースを作り、マウスピース(アライナー)を装着します。アライナーはコンピュータソフトで治療前から治療終了時の理想的な歯並びになるまでを画面で確認し、徐々に歯列が移動していく途中の段階のデータから平均して15~30枚程度のアライナーが作製されます。患者さんは二週間に一度くらいの間隔でアライナーを交換していき、アライナーの形状に従って少しずつ歯が動いて、徐々に理想の歯並びに近づいていきます。
④の場合は装置による治療だけでは十分な成果があがらない場合が多く、外科手術が効果的なケースとなります。
インビザラインで効果が出にくいかも?セルフチェックリスト
以下の項目に当てはまる数が多いほど、インビザライン単体での治療がちょっと難しい可能性アリ。
※もちろん最終判断は歯科医師による診断が必要ですのでご安心くださいね。
【骨格編】
□ 横顔を見たときに「口元が前に出てる」感が強い
□ 「口ゴボ(口元モコッ)」とよく言われる or 自分でそう感じる
□ 家族にも出っ歯や顎の出っ張りがある人が多い
【歯並び編】
□ 前歯が5mm以上前に出ている(下の歯と比べて)
□ 歯がギュウギュウに重なって生えている
□ 前歯がねじれている or 回転してる歯がある
【咬み合わせ・顎関節編】
□ 前歯でモノがうまく噛み切れない
□ 顎を横にずらすと、カクッと音が鳴る
□ 食いしばり・歯ぎしりの癖がある
【生活・性格編】
□ 装置の装着時間(1日20時間以上)に自信がない
□ マウスピースの装着・取り外しが面倒そうと感じる
□ 通院頻度を極力少なくしたいと思っている
結果の目安
0~2個: インビザライン適応の可能性大!
3~5個: ケースによっては工夫や補助器具が必要かも
6個以上: インビザライン単体では難しい可能性アリ。ワイヤー矯正や手術併用も視野に
「え、結構当てはまった…」って方も大丈夫!
インビザラインは他の治療法と併用することで効果を発揮するケースも多いので、まずは専門の歯科医師に相談してみてくださいね。
出っ歯のタイプとインビザラインの適応
インビザラインは見た目を気にせずに治療を行いたい人に適した矯正治療ですが、すべてのタイプの出っ歯に対応できるわけではありません。
出っ歯のタイプによって、適応性が異なります。上顎前突では、その原因や程度によって治療法を選ばなければなりません。
軽度から中度の出っ歯→適応性が高い
軽度から中度の出っ歯は、インビザライン治療に適しています。このレベルの出っ歯では、マウスピースを使用して効果的に歯を後方に移動させることができ、治療後の歯並びと横顔のラインの改善が期待できます。軽度の出っ歯や単純な咬合不正は、マウスピースで十分に改善が可能です。
重度の出っ歯→適応性が低い
重度の出っ歯、特に顎骨自体の問題で前突が生じている場合は、インビザラインのみでの治療は難しい場合があります。重度の突出や、顎の位置関係に問題がある場合は、治療前や治療中に外科手術が必要な場合もあります。
出っ歯の原因による治療方法の違い
1. 歯のみが原因の出っ歯
歯並びの問題や、歯そのものの位置による出っ歯の場合、インビザラインでの治療が有効な場合が多いです。マウスピースを用いて徐々に歯を移動させ、理想の位置まで導くことが可能です。
2. 骨格の問題が原因の出っ歯
顎の骨格に問題がある場合、例えば上顎が大きく前に出ている場合は、マウスピースだけでは解決が難しい場合があります。このようなケースでは、外科的な手法を含む治療計画が必要になることが多く、インビザラインを補助的な手段として使用する場合もあります。
矯正治療の前に行うべきこと
出っ歯の治療にインビザラインを検討している場合、まずは歯科医師による詳細な診断が必要です。歯科医師は、X線写真や口腔内スキャンを使用して、歯の前突の原因と程度を正確に評価し、インビザラインが適切な治療法であるかを判断します。
その後、患者さんは治療計画の説明や、期待できる結果についても詳しく説明を受けることができます。
インビザラインは多くの歯並びや咬合の治療に効果的ですが、出っ歯のタイプや原因によっては、他の治療法との併用や、別の治療法が推奨される場合があります。
インビザラインで治療が難しい出っ歯のケースとは?
インビザラインは透明なマウスピース型の装置を使用して歯を段階的に動かしていく方法で、多くの不正咬合に対応可能ですが、全ての症例に最適とは限りません。特に以下のような出っ歯(過度の前突)のケースでは、インビザラインだけでは治療が難しいケースがあります。
1. 重度の出っ歯
重度の出っ歯は、単に前歯が前方に突出しているだけでなく、上下の顎の関係が原因である場合が多いです。インビザラインは歯を移動させることはできますが、骨格の問題を修正することは出来ないため、このタイプの出っ歯を完全に治療するのは難しいです。
2. 大きなオーバージェット(上下の前歯の突出量)
正常なかみ合わせでは、上の前歯は下の前歯よりも2~3ミリ程度前に出ています。この出方が過度に大きい(例えば5ミリ以上)場合、インビザラインだけでは調整が困難なことがあります。このようなケースでは、主にワイヤー矯正が推奨されます。
3. 歯の回転や重度の密集
特に前歯が大きくねじれて回転している場合や、歯が密集して重度の重なりが生じている場合、インビザラインでは十分な力を加えることが難しく、理想的な結果を得るために追加的な治療が必要になることがあります。
4. 垂直的な問題の修正
歯を上下に移動する必要がある場合(特に歯の長さを調整する必要がある場合)、インビザラインだけでは力を効果的に加えることが難しい場合があります。
他の歯と高さを合わせるために歯を垂直的に引っ張る場合、顎間ゴムを使用して、歯を本来の長さになる位置に移動させることができます。
5. 顎の骨格が原因
顎の骨格が原因で前突が生じている場合、インビザラインでは顎の位置を修正することができないため、最適な治療法とは言えません。
これらの症例では、インビザライン治療に追加で補助的な器具が必要になったり、別の治療法を併用することが推奨されることがあります。インビザラインを検討している場合は、まずは担当医に相談することが重要です。
インビザラインで治療ができるかの判断基準
治療方針を決定する際、歯科医師は以下のポイントを確認します。
- 骨格の状態・・骨格性の問題がある場合は、他の治療法が必要なことが多いです。
- 歯の動きの範囲・・インビザラインの効果範囲内での歯の移動かどうかが重要です。
- 患者さんの希望とライフスタイル・・取り外し可能な装置が適しているかを考慮します。
インビザラインが適さないと判断された場合、他の治療法が検討されます。
インビザラインで治療できない場合の選択肢
インビザラインで治療が難しい場合、以下のような治療法が候補となります:
1. ワイヤー矯正
一般的な矯正装置で、歯の表面にブラケットを装着します。幅広い症例に対応できるため、重度の出っ歯にも効果的です。
- メリット・・さまざまな症例に対応可能
- デメリット・・目立つため審美性に欠ける
2. 裏側矯正
歯の裏側に装置を取り付ける方法で、審美性を保ちながら治療できます。
- メリット・・矯正装置が見えにくい
- デメリット・・費用が高くなることがある
3. 外科矯正
顎の骨に手術を加える治療法で、骨格性の出っ歯に有効です。
- メリット・・顎の位置や形状を根本から改善
- デメリット・・手術を伴うためリスクや回復期間が必要
他の治療法を選ぶ際の注意点
矯正治療を選択する際には、以下のポイントを考慮することが大切です:
リスクとメリットの比較
- 表側矯正・・効果が確実だが目立つ
- 裏側矯正・・審美性が高いが高額
- 外科矯正・・根本的な改善が可能だがリスクを伴う
治療期間と費用のバランス
- 表側矯正や裏側矯正は治療期間が長くなることがあります。
- 外科矯正は手術費用が追加で発生します。
患者さんの生活スタイルや希望に合った治療法を選ぶことが重要です。
出っ歯治療はインビザラインとワイヤー矯正のどちらで行う?

ワイヤー矯正とインビザラインの比較
ワイヤー矯正 | インビザライン |
自分で取り外し出来ない | 自分で取り外し出来る |
装置が目立つ | 装置が見えにくい |
痛い | 痛みが少ない |
歯ブラシしにくい | 歯ブラシしやすい |
固定式なのでさぼれない | 取り外し式なのでさぼれる |
月1回の通院 | 2~3ヶ月に1回の通院 |
ブラケットが取れた等の緊急対応が必要 | 緊急対応がほぼ必要ない |
矯正以外の出っ歯の治療法はないの?

上顎前突の原因が歯のみ出ている訳ではなく、骨格ごと出ているという症例の方も意外と多いです。いくら矯正で歯並びを引っ込め、咬み合わせを良くし、綺麗になっても、口元全体が前方にふくらんだ感じ(口ゴボとも言います)は改善されません。その理由は、上顎の骨が前方に突出しているからです。
一般的に、鼻の先端と顎の先端を結んだ線上に、唇が触れるくらいが美しい横顔とされています。そのライン上より唇が大きく出てしまっているという方は、出っ歯でお悩みの方が多いです。
セットバック手術での出っ歯治療について

セットバック手術は、外科的手術によって顎骨を切除して出っ歯や受け口を治す方法です。骨格に原因がある場合は、矯正装置で歯並びを整えただけでは口元の突出感が改善されません。そのような方には、セットバックという外科手術をご提案します。
でも、そこまでガッツリやる必要があるのは、ほんの一部の方ですのでご安心くださいね。
セットバック手術は、様々な検査で身体上の問題がないことをしっかりと確認したうえで、全身麻酔をしてから行います。まず左右の小臼歯(犬歯の後ろの位置の歯で、第1臼歯とも言います)を抜歯します。そして、歯を抜いた部分の骨を切除して、前歯の部分を骨ごと後ろに下げます。大学病院などでは入院が必要な術式もありますが、当院では日帰りでセットバック手術ができます。
手術後に腫れがひくまでの期間は、マスクをしていただく必要がありますが、矯正治療と比べて治療期間が短く、骨格が改善されるのが、大きなメリットです。矯正治療では約2~3年必要なのに対し、セットバックでは3時間程度の手術とその後4回程度の受診で終了します。
まとめ
今回は「インビザラインで出っ歯が治らない場合の治療法」について、ワイヤー矯正、マウスピース矯正といった矯正装置を付けての一般的な矯正治療の他に、セットバックという外科的手術を行う方法があることをご紹介しました。
セットバック手術は矯正に比べると、治療費が高額になりますが、それでも早く確実にフェイスラインをきれいにしたいという方は、セットバック手術も選択肢の一つです。
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