
クリニックでワイヤーの矯正をする際、患者様の症例や口腔内の状態によっては、ゴムを使用する事が多いというのはご存知ですか。歯列矯正で使うゴムで有名なものは、青ゴムと、エラスティックと呼ばれるものの2つの種類があります。使用する理由や、矯正治療におけるゴムの効果や役割をご説明します。
目次
ワイヤー矯正を開始する時に使う青ゴムと使う理由は?

青ゴム、またの名をセパレーティングモジュール、セパレーターと呼ぶ歯科医院もあります。言葉通りの青い見た目で、ワイヤーとブラケットを使って全顎矯正を行う場合、奥歯に金属バンドを巻くのが一般的な方法です。
青ゴムを使用する理由として、実際にワイヤー矯正による金属バンドを巻くための隙間が口腔内にある方なんて、抜歯でもされていない限りほとんどいらっしゃらない状態だからです。無理やり入れたとしても、奥歯は力がかかるため装置が外れてしまう事があります。そのため、青ゴムを歯間に入れて隙間を開け、金属バンドの装置を挿入して必要な隙間を開けるという流れになります。
歯科矯正をする際の青ゴムの装着時間は、通常は1週間で、長くても2週間程です。歯の移動が早い方の場合は1週間以内に担当医が装置のバンドを巻く場合もあります。
セパレーターゴムの特徴
- 矯正治療の初期段階で短期間使用されます。
- 装置が装着しやすくなるよう準備する役割があります。
矯正前に使う青ゴム装着時の注意すべき点

注意すべき点は、青ゴムを装着した時に、固い食べもの(おせんべいやフランスパンなど)を食べないように注意する事がポイントです。固い食べ物を食べないことで、口腔内のトラブルを回避できます。
それ以外に気になる問題として、ゴムにより痛みがどれくらい引き起こされるかという事ではないでしょうか。痛みには個人差がかなりありますので、情報としてはあまり鵜呑みにできません。
全然感じないという方もおられれば、ブラケット装着時よりもゴムの方が痛かったと感じられる方もいらっしゃいます。そして、痛む時間も、丸一日ずっと痛かったという方もおられれば、飲食の時だけ痛かったという方もいらっしゃいます。痛みの日数は、約2~3日でだんだん慣れてくるとおっしゃる方が多いですが、長い方は1週間超痛みがひかないケースもまれにあります。
ほとんどの場合、ドクターから処方される痛み止めを服用すれば痛みは治まります。薬を飲んでもどうしても痛みが大きくて引かないという方や、薬が効きにくい体質の方は、早めに担当医もしくはスタッフに相談しましょう。
ただ、青ゴムの扱いに気を付けていても、思わぬ拍子に外れてしまう事もあります。飲み込んでも体に影響を及ぼすものではありませんが、焦らずにお口から取り出しましょう。あと数日で次の診療予約の日という場合は、それまで外していても構いません。予約まで1週間以上開いてしまう場合は、青ゴムで開いた隙間が閉じてしまうので、必ず連絡をし、なるべく早く矯正歯科で再装着をしてもらってください。
エラスティックを使用する理由は?

もう一つ、矯正治療でよく使われるゴムに、エラスティックというものがあります。
これはワイヤー矯正やマウスピース型矯正の際に行う補助的な治療に使うものです。受け口や出っ歯、開咬、過蓋咬合、叢生の症例の方に選択される事のある治療法で、顎間ゴムとも呼ばれます。単にゴムかけと呼ぶ場合もあります。
方法としては、歯に装着しているフックのような引っ掛ける箇所(専門的にはブラケットと言います)や、ワイヤーのフック、アンカースクリューのいずれかに、上下にゴムをかけます。ゴムによってかなり強い力で引っ張られますので、その力を利用して歯を動かします。ゴムは一日一回患者様ご自身で新しいものに付け替えていただきます。これは衛生面と、そして伸びきってしまって縮む力が弱まるのを防ぐ為です。
これを使用せずに治療をすると、上下の噛み合わせや、前歯の真ん中(正中と言います)がずれてしまう可能性があります。見た目としては綺麗な歯並びになっても、歯の機能が改善したとは言えないのではないでしょうか。
咬み合わせが悪いままでは大切な歯にとってはデメリットです。理由として、顎関節症など他の身体的トラブルを引き起こす可能性があるからです。
綺麗な歯並びという目的はもちろんですが、その他に矯正で歯や噛み合わせを正常にし、お口の状態をより良いものにするという事も大切です。咬み合わせや適応症例でお悩みの患者様に行うのには、そのような理由がございます。
エラスティックゴム(矯正用ゴム)の特徴
- ゴムのサイズや強度は、矯正の目的によって異なります。
- 患者さんが自分で取り外しや装着を行う必要があります。
- 例: クラス2ゴム(出っ歯の矯正用)やクラス3ゴム(受け口の矯正用)
https://www.osaka-kyousei.com/column/1131.html
矯正のエラスティックを外していい時は?その理由も教えて

基本的に、エラスティックを行う場合、外していいのは食事と歯磨きの時間だけです。それ以外は、顎間ゴムをずっと装着するとお考え下さい。ただ、患者様のお口の状態によっては、夜間の睡眠時のみかけてくださいという指示の場合もございます。担当医の指示に従ってくださいね。
これらを毎日行うことにより、歯の動きを少し早め、結果的に治療期間の短縮というメリットにつながる場合があります。もし、装着を怠れば、歯の後戻りを助長することになりかねませんので、矯正期間が延びてしまいます。忘れないようにしましょう。
リガチャーゴム
リガチャーゴムは矯正治療で非常に一般的に使用されるゴムで、主にブラケットにワイヤーを固定する目的で使われます。
リガチャーゴムの役割
ブラケットとワイヤーの固定
- ブラケットに通した矯正ワイヤーをしっかりと固定するために用いられます。
- ゴムの力が歯に伝わり、歯を動かす力をコントロールします。
装置の安定化
- ワイヤーがずれたり動いたりするのを防ぎ、治療が計画通りに進むようにします。
リガチャーゴムの種類
素材
- 主にラテックスやシリコンで作られており、柔軟性と耐久性があります。
色のバリエーション
- 透明や白、黒など目立たない色がある一方で、赤や青、ピンクなどカラフルなものもあります。
- 子どもや若い患者さんには好みに応じて色を選べるようにするケースも多いです。
リガチャーゴムの交換
- 通常、1~2か月ごとに交換されます。
- ゴムは時間が経つと劣化するため、定期的に新しいものに取り替える必要があります。
チェーンゴム
歯の間を引っ張り合わせるために使用される連結型のゴムです。
特徴
- 歯と歯の隙間を閉じるために使用されます。
- 引っ張る力が強く、特定の歯を動かすために有効です。
スペシャルゴム(ゴムバンドやエクストラオーラルゴム)
特定の目的に合わせて特注されたゴムや、ヘッドギアなどの補助装置と併用されるゴムです。
特徴
- 強力な引っ張り力を提供します。
- 顎の成長や歯列全体の動きを調整するために使用されます。
まとめ
今回はゴムを使った矯正治療法とそれらを使う理由をご紹介しました。
治療を開始すると決められた場合は、ドクターやスタッフとしっかりと計画を相談しましょう。青ゴムやエラスティックを行う事で不安や疑問が生じても、信頼できる歯医者ならばきちんと返答したり、対応をするはずです。自分に合った矯正歯科を、カウンセリングで見極めてください。