歯科矯正全般

歯列矯正が向いていない人っている?

歯列矯正が向いていない人っている?

矯正って、ホントに“やるべき”なの?

「歯並びが気になるから矯正したい」
「みんなやってるし、やらないとダメかも…」

そんなふうに感じている方、多いんじゃないでしょうか?
最近はSNSでも、マウスピース矯正やワイヤー矯正のBefore/Afterがバズっていて、若い世代を中心に矯正ブームのような空気もありますよね。

でも実は、矯正って“やれば正解”というものではありません。

治療にはメリットだけでなく、負担やデメリットもあるからこそ、
「自分のライフスタイルに本当に合っているか」をしっかり見極めることが大切なんです。

この記事では、歯科医の視点から「歯列矯正が向いていない人」の特徴と、その理由をていねいに解説していきます。さらに、どうすれば“自分に合った矯正”ができるかという選び方のヒントもご説明します。
気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

そもそも矯正って、誰でも受けるべき治療なの?

歯列矯正の目的は、ただ「見た目を良くする」だけではありません。正しいかみ合わせ(咬合)をつくり、虫歯や歯周病の予防、そして全身の健康にもつながる大切な治療です。

…ですが、それと同時に以下のような現実もあります。

長期間にわたって通院やセルフケアが必要

費用負担が大きい(数十万円〜)

健康な歯を削ったり、抜歯が必要になることもある

「こうなるはずだったのに…」とギャップが生まれることも

つまり、メリットがある一方で、生活面や気持ち面での負担も大きいんです。
だからこそ、「全員が矯正すべき」とは言い切れません。

無理に矯正を始めた結果、後悔してしまう人たちも…

実際に矯正を始めたあとに、

「歯磨きがちゃんとできなくて虫歯になった」

「想像より痛みが強くて挫折した」

「思ったより通院が大変でやめたくなった」

「こんなにお金かかるならやらなきゃよかった…」

という声も、少なくありません。
矯正が合わない人にとっては、見た目以上のストレスやリスクを感じてしまうケースもあるのです。

では、どんな人が「矯正に向いていない」といえるのでしょうか?
次の章で、具体的な特徴を見ていきましょう。

えっ、歯列矯正が向いてない人もいるの!?

歯列矯正=みんなに必要なもの、って思っていませんか?
もちろん矯正は見た目だけじゃなく、かみ合わせや全身の健康にも関わる大事な治療。でも、実は「向いてない人」もちゃんといるんです。

1. 歯磨きがめんどうな人

矯正中は、めちゃくちゃ歯磨き大事になります。理由はカンタン。

矯正装置の周りに食べ物が詰まりやすくなる
歯垢がたまりやすく、虫歯・歯周病リスクがUP
毎回の歯磨きに10分以上かかることも
普段から虫歯になりやすい人は要注意!

つまり…
「ざっくり磨いて終わり」なタイプの人は、矯正で口の中がカオスになる可能性が高め。

例えばこんな人は注意!

夜の歯磨きを時々サボってしまう

歯間ブラシやフロスは使わない

「とりあえず見た目キレイならOK」という価値観

矯正中は“歯をキレイに保つ努力”が必須スキルです。
矯正を成功させるには、「自分で口の中をキレイに保つ力」が必要です。
矯正後にキレイな歯並びを手に入れても、虫歯だらけになってしまっては本末転倒ですよね。

https://www.osaka-kyousei.com/column/117.html

2. 通院がめんどくさく感じる人

矯正は一度つけたら終わりではありません。
治療中は1〜2ヶ月に1回の通院が基本で、調整・経過確認・クリーニングなどが必要です。

調整・確認・トラブル対応などで欠かせない
通院をさぼると矯正の進行が止まることも

つまり…
「予定合わせるのムリ」「時間とられるのイヤ」って人にはハードル高めです。

こんなタイプは要注意

仕事やバイトで予定がつまっている

遠方のクリニックを選んでしまっている

予約をすぐに忘れてしまうタイプ

スケジュール管理や通院のモチベが必要!
通院を「ちょっと面倒」と感じるだけなら大丈夫ですが、
「行きたくない」「忘れる」レベルだと、治療が長引いたり失敗するリスクが高まります。

https://www.osaka-kyousei.com/column/145.html

3. 短期間で効果を求めすぎる人

SNSで「3ヶ月で激変!」みたいな投稿を見ると、「私もすぐにキレイになれるかも…」と思ってしまいますよね。

でも、実際の矯正治療はとても慎重に行います。

矯正の一般的な期間

軽度な不正咬合:6ヶ月〜1年

中〜重度のケース:1.5年〜3年

後戻り防止のリテーナー期間:約1〜2年

つまり…
「半年でキレイになりますか?」→ちょっとそれは現実的じゃないかも。

“じっくりキレイになる”を楽しめる人向けです。
“時間がかかる=しっかり安全に動かしている証拠”です。
短期の美しさよりも、長期の健康を目指す治療と理解しましょう。

https://www.osaka-kyousei.com/column/6982.html

4. 健康な歯を削るのがどうしてもイヤな人

歯を並べるスペースが足りない場合、ごく一部の歯の表面(エナメル質)を削る「IPR」や、抜歯が必要になるケースがあります。

健康な歯のエナメル質を少し削る場合がある(IPR)
抜歯が必要なケースもある

つまり…
「健康な歯を1ミリでも触られたくない!」という人には不向きな場合あり。

これが不安な方は多いです…

「健康な歯は絶対に守りたい」

「抜歯なんて怖すぎる…」

「削るって、永久に元に戻らないんでしょ?」

カウンセリング時にしっかり説明を受けて、納得できるかがカギ。
この不安は“正しく理解することでやわらぐ”ことが多いです。
心配な方は、治療の選択肢が豊富なクリニックでカウンセリングを受けてみるのが安心です。

5. 費用に対して覚悟が持てない人

費用の目安(参考)

ワイヤー矯正:70万〜100万円

マウスピース矯正:60万〜90万円

その他:健診代・調整費・リテーナー代なども

つまり…
「え、そんなにかかるの!?」と費用面で悩んでしまう人は、まずお財布と相談を。

金額=“自己投資”として納得できるかが大切です
金額面で「無理なく支払える」ことも大切ですが、
「これだけ払ってでもやりたい理由」が自分の中にあるかも重要な判断基準になります。

 

じゃあ結局、どうすればいい?

矯正が向いてるかどうかは、生活スタイル・性格・モチベーションによって変わります。

自分に合う矯正スタイルを見つけよう

「向いてないかも…」と感じた方も、安心してください。
矯正治療にはさまざまな種類・方法・選択肢が用意されています。

こんな工夫で続けやすくなる!

忙しい人 → 通院回数が少ないマウスピース矯正を検討

歯磨き苦手な人 → 歯磨き指導付きのサポートプランを活用

抜歯したくない人 → 非抜歯矯正が可能か相談してみる

費用が不安な人 → 分割払いや医療費控除の活用も視野に

大切なのは、「あなたにとってムリのない矯正」を一緒に見つけることです。

まずは“矯正相談”から始めよう

気になっているなら、いきなり始める必要はありません。
多くのクリニックでは無料相談やカウンセリングが可能です。

相談でわかること:

自分の歯並びの状態と治療法

抜歯や削る処置の有無

治療期間と費用の目安

あなたに合った選択肢の提示

まとめ

向いてないかも?と思ったら、まずは以下をチェック

歯磨きに自信がある?
月1〜2回の通院に耐えられる?
2〜3年かかる治療でも続けられる?
健康な歯に手を加えることに納得できる?
予算に対して「価値がある」と思える?

矯正は誰にでも必要なわけじゃない。けれど、「やりたい理由」よりも「続けられる覚悟」が大切。自分のペース・ライフスタイルに合った矯正スタイルを選ぶことで、より満足のいく結果が得られます。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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