インビザラインでの矯正治療では、アライナーの装着時間を守らなければ治療効果が減少し、治療期間も延びる可能性があります。インビザラインを寝るときだけ装着することの影響や、推奨される装着時間を守る重要性についてご説明します。
目次
インビザラインは寝るときだけの装着でも効果ある?
インビザライン治療を検討しておられる方から、「昼間は外して寝るときだけ装着しても効果はありますか?」というご質問を受けることがあります。
しかし、インビザラインの効果を最大限に引き出すためには、決められた装着時間を守ることが非常に重要です。寝るときだけの装着では、歯列全体に対して十分な矯正効果が期待できない可能性があるため、注意が必要です。
インビザラインの装着時間の重要性
インビザライン治療では、通常1日22時間以上の装着が推奨されています。この装着時間を守ることで、歯が計画通りに動き、治療が順調に進みます。装着時間が不足すると、歯が計画通りに動かず、結果として不正咬合の矯正が進まないことが考えられます。
また、装着時間の不足が原因で治療期間が長引いたり、追加のアライナーが必要になる場合もあるため、推奨される装着時間の遵守が重要です。
寝るときだけではなぜ効果が不足するのか
インビザラインは、歯に継続的な力をかけることで徐々に位置を変え、理想的な歯列を目指します。1日に22時間以上の装着が推奨されているので、寝るときだけの装着では、日中に装着を外している間に歯が元の位置に戻る傾向があります。これにより、矯正の効果が低下し、治療が思うように進まない原因となります。
1. 矯正力が不足する
インビザラインは、微細な力を歯にかけ続けることで少しずつ理想的な位置へと動かしていきます。この力が1日22時間以上かかることで初めて計画的に治療が進んでいくように設計されています。
しかし、寝るときだけの装着では、装着時間が1日8時間前後にとどまってしまい、設計通りの矯正力が発揮されません。歯を動かすための力が不十分だと歯が計画通りに動かず、矯正効果が減少します。
2. 歯が元の位置に戻る力が働く
歯は本来の位置に戻ろうとする反発力を持っています。昼間にインビザラインを外している時間が長くなると、その間に反発力が働き、歯が元の位置に少しずつ戻っていきやすくなります。
その結果、夜だけの装着では昼間に戻る力の方が勝ってしまい、理想的な位置に歯を固定することが出来なくなります。アライナーを継続的に装着することが重要な理由は、この反発力に抗うためでもあります。
3. 治療の進行が遅れる
インビザライン治療は、計画通りに歯を動かしながら次のステージのマウスピースへと切り替える形で進行します。しかし、寝るときだけの装着では、計画通りに進まず、マウスピースの交換タイミングがどうしても遅れてしまいます。このため、治療全体が遅延し、予定よりも長期化する可能性があります。結果として、患者さんにとって負担が増し、治療に対するモチベーションが低下することもあります。
4. 矯正力の断続によるデメリット
インビザラインは、断続的に力がかかるのではなく、継続して圧力をかけ続けることで歯の位置を徐々に変える仕組みです。寝るときだけ装着する場合、矯正力がかかっている時間が断続的になり、計画通りの歯の動きが達成されません。
インビザラインを寝るときだけ装着するのは一見便利に思えるかもしれませんが、実際には治療の進行が妨げられ、結果的に治療が遅れて期間が延びるリスクが高まります。
寝るとき以外の時間に装着しづらいときの対策
インビザラインの装着が昼間の生活に影響し、装着するのが難しいと感じる方もおられるでしょう。しかし、インビザラインの効果を最大限に引き出すためには、1日22時間以上の装着が必要です。日常生活での工夫や対策を活用して、装着時間を守りやすくする方法をご紹介します。
1. 装着を意識的に習慣化する
朝の準備と同じように、装着時間も生活リズムに組み込むことで、忘れにくくなります。たとえば、食事や歯磨きの後にはすぐにインビザラインを装着するルールを決めると、習慣化しやすく、外出先でも対応がしやすくなります。
2. 食事や飲み物に気をつける
食事や着色性のある飲み物を摂取する際は外す必要がありますが、それ以外の時間はできるだけ装着するように心がけましょう。特に水を飲む際は装着したままでも問題がないため、水分補給の際には水を選ぶとインビザラインを外さずに済むメリットがあります。アライナーを外す時間を減らすことで、必要な装着時間の確保につながります。
3. 透明で目立ちにくい特性を活かして積極的に装着する
インビザラインは、透明な素材で作られているため、従来の矯正器具に比べて目立ちにくい特徴があります。そのため、職場や学校、社交の場でも周囲に気づかれずに装着しやすく、会話や表情にも影響を与えにくいです。外見を気にする場面でも、できる限り装着することで、治療の継続がしやすくなります。
4. インビザライン専用のケースを持ち歩く
外食などでアライナーを外さなければならないシーンでは、インビザライン専用ケースを持ち歩くと便利です。食事やお茶の場面で外したあと、すぐに衛生的に保管することが出来、紛失防止にもつながります。また、外したらすぐに装着する習慣づけにも役立ちます。
5. 装着が難しい日が続くときは医師と相談する
仕事や学校の関係で日中に長時間外してしまう日が続く場合は、定期健診時に医師に相談してみましょう。装着時間の調整方法や、患者さんのライフスタイルに合った対策を一緒に考えることで、無理なく装着を続けやすくなります。
これらの対策を取り入れることで、日常生活での装着の難しさが減り、インビザラインを活用しやすくなるでしょう。
インビザライン装着を正しく続けるためのポイント
装着時間を確保するための具体的なポイントをいくつか紹介します。これにより、治療が計画通り進みやすくなります。
・習慣化する・・毎日同じ時間帯に装着し、食後に装着するなどのルーティンを作ると、装着時間を守りやすくなります。
・家族や友人のサポートを受ける・・日常的にサポートしてもらうことで、装着忘れを防ぎやすくなります。
・医師と定期的に相談する・・装着時間や治療の進捗について、不安や疑問がある場合は、担当医に相談し、正しい方法を確認しましょう。
まとめ
インビザライン治療を成功させるためには、1日22時間以上という装着時間を守り、計画的に進めることが不可欠です。寝るときだけの装着では、十分な矯正力が発揮されず、歯が元の位置に戻りやすくなり、治療効果が低下するリスクがあります。
そのため、昼間の時間帯も工夫しながら出来る限り装着を続けるようにしましょう。継続的に装着することで、歯が理想的な位置に移動しやすくなり、治療期間の短縮にもつながります。