歯科矯正全般

被せ物やブリッジがある場合の矯正治療

被せ物やブリッジがある場合の矯正治療

被せ物やブリッジがある場合の矯正治療には、特別な配慮が必要となります。被せ物やブリッジがある場合の歯列矯正について、その注意点や治療の進め方についてご説明します。

被せ物やブリッジがある歯列矯正

被せ物やブリッジがすでにある場合、歯列矯正は特別な配慮を必要とします。これらの補綴物は歯の形や位置に影響を与えるため、歯列矯正が難しくなることがあります。しかし、適切な治療計画を立てることで、被せ物やブリッジがある患者さんでも効果的な矯正が可能です。

まず、歯列矯正が必要な理由を確認します。一般的には、噛み合わせの改善、歯並びの美しさ、そして口腔衛生の向上を目的として行われます。被せ物やブリッジがある場合、これらの目的を達成するために特別な調整が必要です。

被せ物がある場合の歯列矯正で注意すべきこと

被せ物がある場合の歯列矯正では、特有の注意点があります。これらの補綴物は、歯列矯正のプロセスに影響を与える可能性があります。

1. 被せ物の耐久性と矯正力の影響

被せ物は、通常の歯に比べて硬さや形状が異なります。そのため、矯正治療で歯を動かす際に、被せ物がかかる力に耐えられるかを考慮する必要があります。過剰な矯正力が加わると、被せ物が割れたり、外れたりするリスクがあります。特に、歯列矯正によって歯が大きく動く場合は、被せ物の強度や耐久性に影響を与える可能性があります。

2. 被せ物の適合性と調整の必要性

被せ物は歯の形や位置にぴったりと合うように作られているため、歯が動くことで適合性が悪くなることがあります。その結果、被せ物の調整や交換が必要になる場合があります。このため、矯正治療の前に被せ物の状態を確認し、必要に応じて矯正中に調整を行うことが重要です。

3. 矯正装置との相性

被せ物がある場合、矯正装置の選択や装着に注意が必要です。ワイヤー矯正では、被せ物の表面にブラケットを固定することが難しい場合があり、適切な接着が得られないことがあります。この場合、マウスピース矯正(インビザラインなど)が選択肢となることが多いです。マウスピース矯正は、被せ物の形状に合わせてカスタマイズされた装置を使用するため、より安全で効果的な治療が可能です。

4. 治療前の診断と計画の重要性

被せ物がある場合の矯正治療では、治療前の診断が特に重要です。歯列矯正の計画を立てる前に、被せ物の状態を詳細に評価し、矯正力がどのように作用するかを予測する必要があります。必要であれば、被せ物を事前に調整したり、取り替えたりすることで、矯正治療の効果を最大限に引き出すことができます。

5. 治療中のメンテナンスとケア

被せ物の周囲は、歯垢や食べ物の残りがたまりやすく、特に矯正中は口腔内のケアが重要です。被せ物があることで、矯正装置の清掃が難しくなることがあるため、矯正中の口腔衛生には細心の注意を払う必要があります。定期的に歯科医を訪れ、適切なメンテナンスを行うことで、被せ物の状態を良好に保ちながら矯正治療を進めることができます。

6. 被せ物の交換や修復の必要性

矯正治療が終了した後、被せ物が歯の新しい位置に合わなくなる場合があります。このため、矯正終了後に被せ物を交換しなければならないことがあります。また、矯正中に被せ物が破損したり、外れたりした場合も、早急に修復や交換を行うことで、治療の進行をスムーズに保つことができます。

以上が、被せ物がある場合の歯列矯正で注意すべき主なポイントです。これらの注意点を踏まえて、慎重に治療を進めることで、患者さんにとって最適な結果を得ることができます。

ブリッジがある場合の歯列矯正で注意すべきこと

ブリッジがある場合の歯列矯正には、いくつかの特別な注意点があります。ブリッジは複数の歯を固定するための補綴物であり、その構造上、歯列矯正中の力のかかり方や治療計画に影響を及ぼします。

1. ブリッジの取り外しと再装着

矯正治療の前には、ブリッジを一時的に取り外すか、または橋渡しの部分を切り離すのが一般的です。また、ブリッジを取り外したことで出来るスペースを、歯の移動に使える場合がありますので、ブリッジの扱いに関しては、特に詳しく担当医にきいておきましょう。

矯正治療を行う際には、いったんブリッジを外すことが一般的です。ブリッジの部位によっては、ブリッジを外さずにそのまま矯正治療が可能な場合もあります。

2. ブリッジの構造と矯正力の関係

ブリッジは、両端の健康な歯を支柱として、その間の欠損部を補うための人工歯を固定するものです。このため、ブリッジの支柱となる歯には強い力がかかっています。歯列矯正によってこれらの歯に力を加えると、これらの歯の根が健康な状態であるかも重要なポイントです。

3. 矯正治療後のブリッジの再評価、または再装着

矯正治療が完了した後、ブリッジを作り直したり、支台として使っていた歯の被せ物を作り直す等の治療が必要になることがあります。歯の位置が変わることで、ブリッジや被せ物の適合性が変わることがあるためです。

4. 治療中のケアとメンテナンス

矯正中のケアは、口腔衛生を保つために特に重要です。特にブリッジ周囲は汚れがたまりやすいため、丁寧な歯磨きが必要です。ブリッジを付けたまま矯正治療を受ける場合は、歯周病や虫歯のリスクが高まるため、歯ブラシやデンタルフロスの使用で、丁寧にケアしましょう。また、定期的な歯科受診が推奨されます。

5. 歯科医とのコミュニケーションの重要性

ブリッジがある場合の歯列矯正は、通常の矯正治療よりも複雑になることが多いため、治療前から担当医との十分なコミュニケーションが不可欠です。患者さんの希望や治療のゴールを明確にし、ブリッジの状態や今後の治療計画について詳しくきいておきましょう。

まとめ

被せ物やブリッジがある場合の歯列矯正には、通常の矯正治療以上に綿密な計画と配慮が求められます。治療前の診断や計画、治療中のケア、そして治療後の補綴物の再評価など、すべての段階で細心の注意が必要です。患者さんが安心して矯正治療を受けられるよう、歯科医との十分なコミュニケーションを心がけ、患者さんに合った最適な治療を選ぶことが重要です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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