歯科矯正全般

口ゴボの矯正はどの程度の変化が期待できる?

口ゴボの矯正はどの程度の変化が期待できる?

口ゴボを改善するために、まず矯正治療に興味を持つ方は少なくありません。しかし、口ゴボの原因によっては矯正治療では十分な改善が見込めない場合がありますので、注意が必要です。口ゴボの特徴や矯正治療による変化についてご説明します。

口ゴボとは?

口ゴボの定義と特徴

口ゴボとは口ゴボは、口元が前方に突出している状態を指します。この状態では、横顔から見ると、上唇と下唇が出っ張って見えることが多いです。口ゴボは骨格や歯並びの問題が原因で起こり、審美的な問題だけでなく、機能的な問題も引き起こすことがあります。

口ゴボが及ぼす影響

口ゴボは、見た目に影響を与えるだけでなく、以下のような問題を引き起こすことがあります。

  • 発音の問題・・口ゴボがあると、一部の発音がしづらくなることがあります。
  • 歯の健康リスク・・口腔内の清掃が難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
  • 口呼吸の増加・・口元の突出により、口呼吸が習慣化しやすくなります。

口ゴボの矯正治療とは?

治療方法の概要

口ゴボの矯正治療は、主に歯の位置を調整し、口元を後退させることを目指します。具体的な治療方法としては、以下のような手段が取られます。

  • ワイヤー矯正・・ブラケットとワイヤーを使用して歯を動かす従来の方法。力強く、正確な歯の移動が可能です。
  • 裏側矯正・・歯の裏側にブラケットを取り付ける方法で、外見からは器具が見えにくい特徴があります。
  • マウスピース矯正・・取り外し可能な透明なマウスピースを使用する方法で、日常生活において目立ちにくいのが利点です。

矯正治療による改善効果

口ゴボ 術前術後

口ゴボ矯正の効果は、患者ごとに異なりますが、多くのケースで大幅な改善が期待できます。歯列や顎の位置が正されることで、口元が自然な位置に戻り、横顔のラインが整います。

1. 顔全体のバランスの改善

口ゴボは、横顔から見ると顎や口元が前に突出して見えるため、顔全体のバランスが悪くなることがあります。矯正治療によって歯並びや顎の位置が改善されることで、顔の輪郭が整い、より均整のとれた見た目になります。特に、以下のような改善が期待されます。

  • 顎のラインの引き締まり・・治療によって上顎や下顎が正しい位置に移動することで、顎のラインが引き締まり、横顔がシャープになります。
  • 鼻筋や頬骨の強調・・口元の突出が抑えられることで、鼻筋や頬骨がより際立つようになり、顔全体のバランスが改善されます。

2. 自然な口元の形成

口ゴボの状態が改善されると、口元が自然な位置に戻り、口が閉じやすくなります。これにより、以下のような変化が見られることが多いです。

  • 口を閉じたときの違和感の軽減・・口ゴボが原因で口を閉じる際に力が必要だった場合、矯正治療後にはそのような違和感が軽減され、自然な口元を保つことができます。
  • リップラインの改善・・口元が引っ込むことで、上唇と下唇の位置関係が改善され、リップラインが整います。これにより、笑ったときの印象も柔らかくなります。

3. 発音の改善

口ゴボが発音に影響を与えることがありますが、矯正治療によって口元や歯並びが整うことで、発音が改善される場合があります。具体的には、以下のような効果が期待できます。

  • 発音の明瞭さの向上・・口ゴボが改善されることで、口腔内の空間が広がり、発音が明瞭になります。特に、サ行やタ行の音が改善されることが多いです。
  • 滑舌の向上・・歯並びが整うことで、舌の動きがスムーズになり、滑舌が向上します。

4. 口元の健康状態の改善

口ゴボがあると、歯並びが悪いことが多く、歯磨きが難しくなりがちです。矯正治療によって歯並びが整うと、以下のような健康上のメリットが得られます。

  • 虫歯や歯周病のリスク低減・・歯がきちんと並ぶことで、歯ブラシやデンタルフロスが届きやすくなり、口腔内の清掃が効果的に行えるようになります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが大幅に低減されます。
  • 口内炎や咬合不正の改善・・歯並びの悪さが原因で起こる口内炎や、噛み合わせの不正が改善されることで、口腔内の健康状態が向上します。

5. 自己肯定感の向上

口ゴボが改善されると、見た目の変化だけでなく、心理的な効果も得られます。以下のようなポジティブな影響が期待されます。

  • 自信の向上・・顔全体のバランスが整い、笑顔が美しくなることで、自己肯定感が高まり、人前でのコミュニケーションがより積極的になります。
  • 笑顔の自然さ・・口元が改善されることで、笑顔がより自然になり、表情の豊かさが増します。これにより、社交的な場面での印象も良くなります。

6. 矯正治療による口ゴボ改善の限界

一方で、矯正治療だけでは改善が難しい口ゴボも存在します。特に、顎の骨格そのものが原因である場合、外科的手術が必要になることがあります。この場合、治療の計画は慎重に立てる必要があり、専門の矯正歯科医や外科医との相談が不可欠です。

総じて、矯正治療は口ゴボの改善に非常に効果的であり、見た目や機能面での改善が期待できますが、治療の効果は個々の状態によって異なるため、適切な診断と治療計画が重要です。

治療期間と期待される効果

治療期間は通常1年から2年半程度ですが、個々のケースによって異なります。期間が長くなるほど、変化も大きくなる傾向がありますが、適切な治療計画のもとで改善が見込まれます。

治療の限界とリスク

矯正治療で改善が難しいケース

全ての口ゴボが矯正治療で完全に改善できるわけではありません。特に、骨格が原因である場合、矯正治療だけでは期待している効果が得られないことがあります。この場合、外科手術が必要になることもあります。

治療のリスクと副作用

矯正治療にはリスクも伴います。治療中には以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 歯根吸収・・長期間にわたる矯正によって、歯の根が短くなることがあります。
  • 痛みや不快感・・矯正器具による口腔内の痛みや不快感が生じることがあります。
  • 矯正後の後戻り・・矯正治療が終了しても、適切な保定を行わないと、元の位置に戻ってしまうことがあります。

矯正後のケアとメンテナンス

矯正治療が終了した後も、定期的なメンテナンスが必要です。保定装置を使用して歯の位置を安定させることが、効果を長持ちさせるためには不可欠です。

【動画】口ゴボになる理由とは?4つの原因と口ゴボにならないよう防ぐ方法

まとめ

口ゴボの矯正治療は、見た目の改善だけでなく、機能的な改善も期待できます。ただし、骨格が原因の口ゴボの場合は、矯正治療だけでは満足のいく結果にならないケースがあります。その場合はセットバック手術と呼ばれる外科手術が有効な治療方法となりますので、担当医と良く相談のうえ、治療方法を決定することをおすすめします。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

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