
歯並びの「ちょっと気になる」は放置しないで!
「歯並びがガタガタだけど、今すぐ矯正するほどじゃないかも」
「見た目の問題だけで、健康には関係ないよね?」
そんなふうに思っていませんか?
でも実は、歯並びの乱れは見た目だけでなく、虫歯・歯周病・消化不良・顎関節症・発音障害・睡眠障害など、全身に影響するトラブルの引き金にもなり得ます。
このコラムでは、
- 歯並びが悪いと何が起こるのか
- 放置することでどんなリスクがあるのか
- どんな治療法があるのか
を、患者さん目線でわかりやすく解説します。
歯並びが悪い状態とは?不正咬合の主な種類と原因
不正咬合とは
歯並びが乱れている状態や、上下の噛み合わせがずれている状態を「不正咬合」と呼びます。以下のようなタイプがあります。
- 叢生(そうせい) → 歯が重なり合って並んでいる状態(ガタガタ)
- 上顎前突 → いわゆる「出っ歯」
- 下顎前突 → いわゆる「しゃくれ」
- 開咬 → 奥歯は噛み合うのに、前歯の上下にすき間がある
- 交叉咬合 → 左右どちらかの歯列がずれて噛み合っていない
原因は?
- 遺伝的要因 → 歯や顎のサイズ・形状のバランスによるもの
- 環境的要因 → 指しゃぶり、舌癖、口呼吸、乳歯の早期脱落、外傷など
https://www.osaka-kyousei.com/column/7223.html
歯並びが悪いことで起こる6つのリスクとは?

1. 虫歯・歯周病になりやすい
ガタガタの歯並びでは歯ブラシが届きにくく、歯垢(プラーク)や食べかすが溜まりやすくなります。
- 歯と歯のすき間に磨き残しが多くなる
- 歯茎が腫れたり出血しやすくなる
- 歯周病が進行すると歯がグラグラに…
→「毎日磨いてるのに虫歯になりやすい…」という方は、歯並びの影響かもしれません。
2. 噛み合わせのズレによる不調(顎関節症など)
噛み合わせがずれていると、食べ物がうまく噛めず、消化器官への負担や顎関節へのストレスがかかります。
- 食べ物をうまく噛み切れない・すりつぶせない
- 顎がカクカク鳴る、痛い、開けづらい
- 首や肩のこり、頭痛の原因にもなる
→「なんとなく体調が優れない…」その原因が噛み合わせにあることも。
3. 発音・会話への悪影響
特に前歯の噛み合わせが悪いと、「サ行」「タ行」などが発音しづらくなることがあります。
- 舌が歯に当たってしまい、音が漏れる
- 「話すのが苦手」な自分を避けるようになる
→ 人前で話すことが多いお仕事や学生さんにとっては、日常生活に支障が出ることも。
4. 顔の輪郭や表情バランスが崩れる
歯並びは、口元やフェイスラインの印象を大きく左右します。
- 出っ歯→口元が前に突き出た印象に
- しゃくれ→顎が強調されて顔のバランスが悪くなる
- 開咬→口が閉じにくく、口呼吸が癖になることも
→ 審美的な悩みがコンプレックスや自信喪失に繋がるケースも。
5. 睡眠の質が低下する可能性も
歯並びや顎の形が原因で、気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。
- いびき、夜間の呼吸停止
- 日中の強い眠気や集中力の低下
- 長期的には高血圧や心臓病のリスクも
→ 「朝起きても疲れてる」…そんな方は歯並びの見直しが必要かも。
6. 精神的・社会的な影響
歯並びの悪さから、人前で笑えない、話せない、積極的になれない…という声もよく聞かれます。
- 笑顔に自信がなくなる
- コミュニケーションが苦手に感じる
- 就職活動や接客業で悩みになることも
→ 歯並びを整えることは、メンタル面の健康改善にもつながります。
放置するとどうなる?歯並びの悪化が招く将来的リスク

「今はそんなに困ってないし、矯正はまた今度でいいかな」
そんなふうに思って歯並びの乱れを放置してしまうと、思わぬ不調や手遅れリスクに発展することもあります。
ここでは、歯並びを治療せずに長期間そのままにしていた場合に起こりうる将来的なリスクについて解説します。
歯並びの乱れは少しずつ悪化する
歯は日々の生活の中で少しずつ動いています。噛む力・歯ぎしり・加齢による骨の変化などで、歯列は年齢とともにズレやすくなるのが現実。
とくに、
- すでに隙間がある
- 前歯が前後に傾いている
- 噛み合わせに左右差がある
こういった場合は、歯が勝手に動いて悪化しやすい傾向があります。
不正咬合が進行すると、こんなトラブルも…
虫歯・歯周病の重症化
- 磨きにくい場所が増えることで歯垢がたまりやすくなる
- 治療しても再発しやすい
- 重度歯周病になれば歯の脱落リスクも高くなる
咬み合わせの崩壊(咬合崩壊)
- 数本の歯に負担が集中 → 歯が割れる、グラグラする
- 噛める歯が減って入れ歯やインプラントが必要に
- 噛む機能の喪失 → 咀嚼困難、栄養の偏り、認知症リスクも
顎関節症の慢性化
- 噛み合わせのズレが進行 → 顎が痛くなる、音がする
- 慢性的な肩こり、頭痛、睡眠の質低下などが起きやすくなる
歯を失う可能性が高くなる
- 本来かからないはずの負荷が歯にかかり続けることで
→ 歯の根が割れる(歯根破折)/抜歯せざるを得ない
治療がどんどん難しく・高額になることも
歯並びの乱れを長年放置してしまうと…
- 歯の移動スペースが足りなくなり抜歯が必要になる
- 顎の骨格のズレまで進んでしまい、外科手術を伴う矯正になる
- 被せ物や詰め物の再作成、根管治療などを含めて治療費が増大
- 年齢とともに矯正に対する回復力も低下する
つまり、「今よりも手間も費用も増える」可能性が高いということ。
「もっと早くやっておけば…」という声は本当に多い
歯並びの悪化を放置して後悔する人は少なくありません。“まだ軽度のうち”に対処しておくのがいちばん安心なんです。
歯並びの放置は、未来のあなたの生活に影響します
歯並びの問題は、今すぐの見た目だけではなく、将来的な健康・生活の質・医療費にまで影響します。
「少し気になる」くらいの今こそが、行動のチャンス。放置せず、まずは歯科医院で相談してみましょう。
治療の選択肢とその効果
歯並びが悪い場合、矯正治療を受けることで、健康と見た目の両方を改善することができます。矯正治療には、ワイヤーを使ったものからマウスピース矯正、部分矯正など様々な方法があります。治療方法は患者さんの状態やライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
治療を受けることで、見た目の改善だけでなく、虫歯や歯周病のリスクを減らし、顎関節症などの問題を予防することが可能です。また、矯正治療後は、噛み合わせが改善されるため、食事がしやすくなり、消化機能も向上します。
治療方法の例
治療方法の例として以下の選択肢があります。
ワイヤー矯正

歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を徐々に動かす伝統的な方法です。確実な矯正効果が期待できますが、見た目が目立つことがデメリットとなることがあります。
裏側矯正

ワイヤー矯正と同様の原理ですが、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に装着するため、外見からは矯正器具が見えません。審美性を重視する方に適した方法です。歯磨きや発音に注意が必要になりますが、次第に慣れていきます。
マウスピース矯正

透明なマウスピースを用いて段階的に歯を動かす方法です。取り外しが可能で、見た目がほとんど気にならないため、非常に人気があります。インビザラインの場合は1日22時間以上の装着が必要なので、きちんと自己管理できる方でないと続けられません。
部分矯正
全体ではなく、一部の歯だけを動かす矯正方法です。歯並びの問題が軽度である場合や特定の部分のみを修正したい場合に有効です。全体の歯を動かす場合と比べると費用が少なく、治療期間も短いのが特徴です。
比較表
方法 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
ワイヤー矯正 | 歯にブラケットとワイヤーを装着し、力をかけて動かす | 幅広い症例に対応/確実性重視の方 |
裏側矯正 | ワイヤーを歯の裏側につける | 見た目を気にせず矯正したい方 |
マウスピース矯正(インビザラインなど) | 透明なマウスピースを使って段階的に歯を動かす | 取り外し可・目立たない・自己管理ができる方 |
部分矯正 | 前歯など一部だけを動かす | 軽度の歯列不正・コストを抑えたい方 |
まとめ
歯並びの乱れは「健康と心」の両方に影響します
歯並びが悪いことは、単なる「見た目の悩み」にとどまりません。口腔トラブル、体の不調、そして心の元気にまでつながるリスクがあるのです。
「このくらいなら大丈夫」と思って放置すると、
- 将来の虫歯や歯周病リスクが高まる
- 治療費や治療期間が増える
- 心の負担が蓄積する
…なんてことにもなりかねません。
迷ったら、まずは歯科医院で相談を!
矯正治療は、年齢を問わず始められます。
「うちの子は大丈夫?」「大人になってからでも間に合う?」
そんなお悩みも、歯科医がしっかりサポートしてくれます。
あなた自身や大切な人の“未来の笑顔”を守るために、今できることから始めましょう。