歯科矯正全般

口ゴボを自力で治すことはできるの?

口ゴボを自力で治すことはできるの?

口ゴボを自力で治すことが出来るのか、知りたいと検索されたことはありませんか。口元が突出している見た目に悩まれ、改善したいと思われる方は多いです。自力で治す方法があるのか、専門的な治療が必要な場合はどんなものかについて詳しくご紹介いたします。

口ゴボとは

 横から見た際に鼻先と顎先を線で結んだら上下の唇が線より前方に突出し、口元がくのような角度になる状態を口ゴボと言います。専門的に上下顎前突と呼びます。SNSにはさまざまな情報が溢れていますが、自力で口ゴボを治そうとするのは危険です。どんなリスクがあるのか、果たして効果はないのかなどについてご説明します。

口ゴボの原因

口ゴボは、前歯などの歯並びや骨格的なずれにより起きている2パターンが考えられます。先天性の遺伝的要素や歯並びの問題、後天性の口腔習慣(口呼吸や舌の位置)により生じることが考えられます。

口ゴボへ効果のないSNS情報

SNSを見ていると下記のようなことをすれば口ゴボへ効果があるかもと書いてあります。残念ながら自力で治すことはできません。医学的根拠がない情報が多いのも現状です。

  • お口周りを鍛える体操
  • 舌を動かす体操
  • 指で前歯を押す

お口周りを鍛える体操

口角を上げる口元を意識した体操を行うと口周りの筋肉を鍛える効果はあります。表情筋を鍛えることで、見た目が若く見えるケースはあります。とはいえ、口周りの筋肉がスッキリしたことにより、口元の突出感が目立つ可能性はゼロではなく、お口周りを鍛えれば治まるとは言い難いです。

舌を動かす体操

舌を動かして前歯の裏に押し付けるというものについては、逆効果と言えます。舌の力は強いため、間違った使い方をすると舌癖(ぜつへき)というものになり、噛み合わせが悪くなったり、歯並びが乱れる原因になります。MFTという口腔筋機能療法は、小児矯正などで取り入れられている舌のトレーニングですが、MFTは他の矯正治療と併せて行うものです。MFTのみを自己流で行ったからといって、改善されるわけではありません。

指で前歯を押す

鼻の下のあたりを皮膚の上から思いっきり押したり、指で直接前歯をぐっと力をかけて押すという行為は絶対にやめましょう。口ゴボを治すためには、後方へ下げるためのスペースが必要です。スペースがないのに出ている歯を無理やり押すと、歯や歯根を傷めてひびや割れ目が入ったり、歯の神経(歯髄)が死んでしまう可能性も高いです。歯髄が死んだ歯は色が黒や茶色へと変わってしまい、機能面や審美面においても影響が出てしまいます。

ビフォーアフターの写真が載っていても、角度や場所を変えて撮影されているケースが見られ、改善したかどうかについては疑問が残ります。また、口ゴボは改善されていなくても、お口周りの筋肉を鍛えたことにより変化と感じる場合があるため、一概には言えません。いずれも医学的な根拠が少ないというのが現状で、試すにはリスクが伴うということを覚えておきましょう。

自力で治すのは口腔習慣

自力で治すことができるのは、口腔習慣などです。

  • 正しい姿勢の維持
  • 舌の位置
  • 口腔筋トレーニング

正しい姿勢の維持

姿勢が悪いと、筋肉のバランスが崩れてしまいます。バランスの崩れを上で調整しようとするため、首や肩のあたりが凝ってしまい、その凝りにより、お顔の筋肉に影響を与えます。常に正しい姿勢を意識して背筋を伸ばしましょう。頬杖をついたり、唇を噛んだり、指の爪を噛むなどの習慣はやめましょう。

舌の位置

舌を上顎の正しいスポットへ置くことが大切です。正しいスポットについては、歯科医院でしっかり教えてもらいましょう。

口腔筋トレーニング

口元の筋肉を鍛えることは、口呼吸を防ぐ意味合いがあります。具体的には、唇を閉じて10秒間維持するトレーニングや、口をすぼめて吸ったりするあいうべ体操などがあります。ただし、原因によってこのトレーニングは効果が出ない場合があります。

口ゴボを改善するための治療

口ゴボの方は、唇が閉じにくいことから口腔内が乾燥して虫歯や歯周病になりやすかったり、噛み合わせの悪さからきちんと噛み切れずに胃などの消化器官に負荷をかけてしまいます。原因が歯なのか、骨格なのかにもよりますが、改善するには矯正治療と外科矯正の治療のいずれかが最適です。

①矯正治療

歯並びが原因である場合は、歯列矯正をおすすめします。小臼歯という前から4番目の歯を抜いて、上下顎とも後方へ引っ込めるワイヤー矯正(マルチブラケット矯正)が一般的です。ワイヤー矯正は歯を後方へ移動させることを得意としています。歯の表面にブラケットという突起をつけて、そのブラケットの中にワイヤーを通します。

  • 歯の表側に銀色のワイヤーを付ける普通矯正
  • 歯の表側に白色のワイヤーを付けるホワイトワイヤー矯正
  • 歯の裏側に銀色のワイヤーを付ける裏側矯正

②外科的治療

骨格の問題が原因である場合は、外科矯正が必要となる場合があります。小臼歯とその下の小臼歯部分の顎の骨を切除し、そのスペースを利用して前歯6本と骨を後方へ移動させてプレートで止めるという手術です。上下セットバックという手術で、当院ではカトレア歯科で行っておりますが、口元の突出を骨格から改善でき、非常に有効です。

https://www.osaka-kyousei.com/ope/

まとめ

口ゴボは見た目の問題だけでなく、口腔内の健康に影響を与えるケースがあります。自力でできる対策を試しに実践しても構いませんが、歯周組織を傷めたり、より悪化させる可能性があるというのを念頭においてください。改善が難しいことが多いため、専門的な治療を検討しましょう。ただし、日常生活での態癖をやめるなど予防をし、正しい知識と適切なケアで、美しい口元を手に入れましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
理事長 歯科医師 総院長
松本正洋
クローバー歯科、まつもと歯科 総院長。国立長崎大学歯学部卒業。1989年歯科医師免許取得。1998年医療法人真摯会設立。矯正歯科の認定多数。日本抗加齢医学会 認定医。

▶プロフィールを見る